SPECIAL TALK Vol.30

~経営者はよそ見をせずに突き進むべき事業への想いの強さが結果に繋がる~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、働き方改革実現会議議員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

金丸:名古屋には、自前のコンサートホールもあると伺いましたが。

宗次:「宗次ホール」というコンサートホールを建てまして、毎日のように演奏会を開いています。5年連続で稼働率日本一だと思います。やはりクラシックは、生で聴くのが一番なので。

金丸:講演活動もされているとなると、どのような生活サイクルなのか非常に気になります。いまも早起きされているのですか?

宗次:365日3時55分起きです。

金丸:それは朝じゃないですね(笑)。

宗次:確かに真っ暗ですが、4時1分か2分にはタイムカードを押して。

金丸:打刻までしているんですか?!

宗次:はい、自分の記録として。起きたらすぐジャージに着替えて、4時5分から動き回っています。コンサートホールの周辺を掃除したり、ガーデニングをしたり。

金丸:なかなか真似できませんが、経営の第一線から退かれても、一個人としてボランティア活動などを熱心にされているのは、何が原動力となっているのですか?

宗次:ひとことで言ったら〝感謝〞です。自分のような者でも、ここまでにしていただいたという、社会へのお返しの気持ちです。上場後に会社の株を大量に手放した際、すごい金額が振り込まれていて、通帳を見ながら「これは自分たちのお金じゃないぞ」と。「これは社会から一時的に預かったものだから、社会にお返ししないといけないね」と夫婦で話したんです。それで引退してすぐ考えたのが、いろいろな援助人になろうと。だからこうして、社会に還元しているんです。

夢を見られるのは起業の前段階。一歩踏み出せば現実との戦いがはじまる

金丸:起業を志している方に、アドバイスをお願いします。

宗次:基本的には、やめた方がいいと思います。苦労を買ってでもするのが、経営者です。ですから起業してもいい人は、どんなに辛くても、苦しくても、やり通すという強い意志を持った人。生半可な気持ちでは、絶対にうまくいきません。最初は誰もが夢と大志を抱いて入ってきますが、いったん起業したら、夢なんて見ている場合じゃない。思い描いている条件の半分でスタートできれば、まだいい方です。

金丸:夢を見ていられるのは、起業するまでですよね。はじまってしまえば、そこからは現実との戦いです。

宗次:ただ、人生は一度きりなので、本気でやるつもりなら、明日からでもやった方がいい。自分が頑張れば、すべて結果となって返ってくる世界ですから。

金丸:お話を伺っていると、宗次さんはずっとユニークであろうとされています。普通の人と同じではない道を、敢えて選ぶというか。

宗次:それはありますね。みんなが右に行くなら、私は左に行きたい性格です。我ながら、変わり者を通してきたと思います。

金丸:ですが、変わり者の道というのは、それを選ぶ人が少ないので、実のところ激戦区ではないんですよね。

宗次:まさに、そういうことです。過去の常識なんて、まったく関係ありません。

金丸:誰もが通ってこなかった茨の道だからこそ、勝機がある。宗次さんの半生を伺いながら、信念を持って実直にやり続けることの大切さを改めて感じました。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

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