チヤホヤされたい東京妻 Vol.12

女に非難される女と、不自由な結婚生活に幸せなフリが出来ない、妻たちの不幸

結婚して妻になった途端、女はオンナでなくなるのだろうか。

かつてはあれほど自分を求めた夫も、結婚後は淡白になり、ただ日々の生活を営むパートナーになった。

妻でありながらも葛藤を抱える、豊洲在住の遥、港区在住のマキコ、目黒在住の亜希、光が丘在住の紗弥香の4人。

淡白な夫と、過干渉気味の義母、迫り来る加齢から目を反らす為に、食事会や男性とのデートにのめり込む豊洲在住の遥。

しかし、その様子を読者モデル仲間に目撃されてしまう。


不運な出来事は、どうしてこうも連続でやってくるのだろうか。

今日は顔見知りの読者モデルが何人も一同に集まる、新製品PRの座談会の撮影である。

普段は撮影の後にお茶を飲んだりすることもある顔ぶれだ。しかし、紗弥香の報告によれば、今目の前にいる女達は「遥が表参道で男と食事をしていた」「不倫をしているのでは」と噂を流しているという。

それを裏付けるかのように先ほどから露骨によそよそしく、巧妙に遥を会話に入れようとしない。だが、編集部の人間がいる時にはこちらにも愛想を振りまいている。

遥は早くこの場から消え去りたくて仕方がなかった。

彼女たちが噂している相手は大学時代の仲間、小林だ。そのことをきちんと伝えれば誤解は解けそうなものだが、あちらが何も言わないのにいきなり弁明に走るのもおかしい。

「仲良く自然に、会話してる感じで。」

カメラマンの指示に、売り出し予定のノンアルコール飲料を片手に皆がにこやかに笑いあう。だが、誰も遥と目を合わそうとはしない。

「じゃ、次は個人ショットね。神尾さんから。」

遥は今にも泣き出しそうな笑顔を、必死で保つので精一杯だった。

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