薔薇色のバツイチ Vol.7

薔薇色のバツイチ:昔の男にもたらされた喪失感。あなたの幸せな姿なんて、見たくない

東京で30代前半のバツイチ女性は、モテる。

とにかくモテて、モテすぎる。

30代前半に限れば、結婚経験のない女性よりもバツイチ女性の方がモテるといっても過言ではないらしい。

計らずともバツイチとなり、落ち込んでいたあゆみ(32歳)だったが、離婚の先には薔薇色のバツイチ生活が待っていた!?

離婚後、急増した男性からの食事の誘い。不思議に思っていると、同じくバツイチの松岡から「バツイチ女性はモテる」と説かれる。

数人の男性とのデートを重ねる中、前回は地元の同級生・桜井と食事に行った。桜井は結婚しているが、誘われるままグランドハイアットの部屋に来てしまったが……。


思い出は、思い出のままが一番


グランドハイアットの一室。あゆみが桜井の左手を見ながら呟いた。

「結婚指輪つけたままこんなことするなんて、最低……」

伏し目がちに言うと、「あ、ごめん」と言って、桜井は指輪を外そうとした。

「外さなくて大丈夫よ、そういう問題じゃないし。私はもう帰るわね」
「え、帰るの?せっかく部屋とったのに」
「うん、ごめんね。桜井くんもバツイチになったらまた連絡ちょうだい」

驚いたままの桜井に、あゆみはにこりと微笑んだ。

ソファに置いていた、セリーヌのベルトバッグを掴むと一度だけ振り返った。桜井はベッドから立ちあがっているが、止めようとする気配はない。

間接照明にぼんやりと映し出された彼の顔にはもう、懐かしい面影はなかった。少しくたびれた様子の、32歳の男がいた。

あゆみは扉を開け、ホテルの長い廊下を歩きながら、今夜桜井と会ったことを後悔していた。

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