部屋見るオンナ Vol.1

部屋見るオンナ:年収700万の32歳。東麻布での同棲解消後、苦難の部屋探しスタート!

あなたが東京で住みたい街は、どこですか?

なりたい自分に近付ける街、等身大の自分を受け入れてくれる街、お気に入りのレストランがある街……。そう、街選びの基準は人それぞれ。

同棲を解消して部屋探しを余儀なくされたサトコは「家賃15万以内、赤坂の会社まで30分以内」だけを条件に部屋探しを始めた。

サトコはこれらか、どの街に辿り着くことになるのか。

迷えるアラサー女性の行く末をご覧いただこう。


結婚願望皆無の彼と、別れを決断した夜


―こんなはずじゃなかった。

32歳にもなって、行くあてもなく金曜22時に閉店間際のスターバックスにいるなんて。こんな試練、人生に必要なのでしょうか……?―



スターバックス麻布十番店の3階で、抹茶ホワイトチョコレートを飲みながらサトコは大きな溜息を漏らした。

普段はソイラテしか飲まないサトコだが、今日は無性に甘いものが飲みたかった。その理由は明白だ。

今日サトコは、4年付き合った彼と別れる事になり、部屋を出てきたばかりなのである。

面倒なのは同棲していたことだ。2年程前、彼が住んでいた東麻布の1LDKのマンションに転がりこむ形で同棲がスタートした。

赤坂の広告代理店で働くサトコは、取引先として彼と知り合った。デザイン会社の社長で5歳年上。爬虫類系の顔立ちだが妙な愛嬌のある男だった。

付き合いだした当初は結婚願望なんてなかったが、それは次第にむくむくと顔を出すようになり、サトコの中で確実に育っていった。

彼に、それとなく結婚の話を持ちだしても、いつもうやむやにされてしまい、次第に「結婚する気あるの?」とサトコが問い質すようになってしまった。

結婚話をきっかけに二人の間に入った亀裂は、いつしか修復不可能な状況になってしまい、ついにきっぱり別れることになったのだ。

「部屋が見つかるまでここに居ていいよ」

そんな彼の優しさを振り払うように部屋を出た。行き先も決めずにバッグを掴んで、彼の部屋を後にしたのは、ほんの数時間前の出来事だ。

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