2016.12.21
SPECIAL TALK Vol.27フランスの最高勲章を受章。日本を代表する料理人に
金丸:三國シェフのお話を伺っていると、その時その時は先がまったく見えないのに、決断し突き進んでいくことで、ある日突然道が拓けるという感じがします。点でしかなかったものが、その後、線に繋がっていくというのは面白いですね。
三國:振り返ると、とにかく目の前のことを、必死にやってきました。野心とか欲とかなくて、ただひたすらやり続けてきた。だからこそ、今の自分があるのだと思います。
金丸:帰国後は30歳で『オテル・ドゥ・ミクニ』をオープンし、「世界のミクニ」として第一線で活躍されています。今では数えきれないほどの肩書と実績をお持ちですが、なかでも2015年に受勲された、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ(1802年にナポレオン・ボナパルトが創設したフランスの最高勲章)は、日本の料理人初ということもあって、非常に話題になりましたね。
三國:ありがとうございます。これには実は布石があって、2013年の日仏首脳会談の際、首相官邸で行われた安倍晋三首相とのワーキングランチを任されたのが、きっかけでした。
金丸:あのときは、日本のフランス料理のレベルの高さを全世界に示しました。オランド首相も「安倍首相がフランスにいらした際に、エリゼ宮(大統領府)でどのような料理を出すべきか、直ちに検討に入りたい」とコメントしたほどです。
三國:はじめは当然、日本料理でいくと思っていたんですが、安倍首相から「フランス料理でいこう。三國さん、頼むよ」と言われまして、どうしようかと考えましたね。それで、日本料理も取り入れた7品のコース料理がいいんじゃないかと。和食の料理人や日本で活躍するフランス人シェフ、パティシエなど日仏7人の料理人のコラボレーションということで、『菊乃井』の村田吉弘さんや『エスキス』のリオネル・ベカさんらにご協力いただきました。それに、オランド大統領と安倍首相は同じ1954年生まれなので、その年の最高級のデザートワインを、ソムリエの田崎真也さんに選んでもらいました。
金丸:そういった経緯もあっての受章だったのですね。
三國:安倍首相もその後すぐにエリゼ宮に招待されて、おもてなしを受けたそうですよ。
金丸:食事やおもてなしが外交に影響するというのは、いいお話です。
三國:フランスの歴史の大半は、そういう部分で成り立っていますから。
2020年に向けて日本の食文化を伝える役割
金丸:三國シェフは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにも関わっていらっしゃいます。日本の食文化の多様性を世界にアピールする最高のチャンスですね。
三國:そうですね。オリンピックに関する食は基本的に、すべて日本産の食材で賄わなければなりません。しかも、オーガニックに準ずる事という条件がついている。非常にやりがいがあるし、これから楽しみです。ちなみに、1964年の東京オリンピックでは、村上料理長が選手村の料理長を務めたんですよ。
金丸:それはまた縁が巡りますね。
三國:当時集めたシェフは約400人、ロンドンオリンピックは800人。2020年には1500人が必要だと言っているので、すでに全国各地で勉強会を始めています。
金丸:日本流のおもてなしで、世界を魅了してほしいです。最後に、今後の夢を聞かせてください。
三國:子どもたちへの食育を、ライフワークにしていきたいですね。実は16年前から「KIDSシェフ」という、子どもたちの味覚を育てる教室を開いているんです。子どもたちと一緒に地元の食材を使って、コース料理を作ったりして楽しいですよ。もっと全国の学校を回って、味覚や食の大切さを伝えたいですね。それに食育の原点って、やっぱり感謝の気持ちじゃないですか。食育を通じて、子どもたちに思いやりの心が育ってくれればいいなと思っています。
金丸:食は人生を豊かにしますからね。
三國:あとは、常に自然体でいたいなあと思います。私の場合、欲を出してああしよう、こうしようと思うと、大抵失敗しているんですよね。なのでこれ以上、地位が欲しいとかお金持ちになりたいとか、そんなことは望まないようにしています。
金丸:目の前のことに一生懸命取り組むことで、自ずと道が切り拓かれていく。まさにそれを体現されている生き方だと思います。同じ時代の変化の中で、私も前だけを見て突き進んできたので、共感するところがたくさんありました。本日は誠にありがとうございました。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
おすすめ記事
2016.11.21
SPECIAL TALK Vol.26
~自然と調和する文化で育った日本人こそ、世界の食料危機を救える~
- PR
2024.11.20
銀座で女性と過ごす夜。アイリッシュウイスキーが引き寄せた、2人だけの密やかな高揚とは
2016.06.24
MBA医師と学力女王が贈る「圧倒的な勝ち組の最強の勉強法」講演会が開催!
2024.04.11
プロ★幹事
早稲田卒・エリート商社マンがおすすめする良店4選。サプライズのある“隠れ家レストラン”も登場!
- PR
2024.11.18
総勢100名に当たる!西友&東急ストアで「スプリングバレー」を買って東カレ厳選グルメをもらおう!
- PR
2024.11.21
クリスマスは絶景を望むホテルデートへ!彼女がワッと喜ぶ、とっておきの夜を丸の内で過ごすなら…
2016.05.19
この手があった!1か月超ステイなら高級サービスアパートメントという選択肢
2016.04.26
予約受付中!大人のガンダムコラボ ”ザビ家御用達万年筆” で悦に入れ!
2023.06.07
ハラスメント探偵~通報編~
「こんな理不尽なことってある?」突然、泣き出した女性の訴え:ハラスメント探偵【通報編】
2016.07.05
年収1,000万超の秘密とは!人気職業"総合商社"の給料の実態に迫る
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"