担々麺と、男の恋愛。
一見、何の繋がりもないこの2つだが、ある男たちにとっては違った。
彼らは、恋愛ツールとして、ネットで買ったWakiyaの担々麺を使う。
女性のタイプを真剣に分析し、3種の味を使い分ける。
彼らは真剣に恋をして、真剣に担々麺を作る。
馬鹿らしくも憎めない、Wakiyaの担々麺を駆使して東京恋愛市場を闊歩する、3人のWakiyaメン。その雄姿をお届けしよう。
突然、高嶺の花と付き合いだした、その意外な理由
「オレ、美優と付き合うことになったから」
オサムからの突然の報告に、准一と雅紀は目を見開いた。
「あの美優ちゃんと?!おい、いつの間に。まさかお前、この前のアレからか?」
勘のいい准一がすぐに思い当たり問い質すと、オサムは照れた表情で「まあな」と言ってこくりと頷いた。
「やっぱりなー!」
「めでたいな、この野郎!」
准一と雅紀が口々に祝福の言葉を述べる。オサムが美優のこと気に入っていたのは、2人ともよく知っている。
「あんな可愛い子、高嶺の花だからオレには無理だよ」
そう言っていたオサムが、見事彼女を射止めたと聞いて、准一と雅紀は自分のことのように喜んだのだった。
オサム、准一、雅紀の3人は、高校からの同級生だ。3人とも大学入学に合わせて仙台から上京してきて、28歳になった今もこうして集まる仲だ。
今日は、オサムに呼ばれて3人で外苑前の『楽記』に集まった。ワインはヴァン・ナチュールしか飲まない雅紀に合わせて、オサムが選んだ店だ。(※『楽記』は、現在閉店しております)
「でもさ、なんか急じゃない?美優ちゃんって、別にオサムのことを好きそうな素振りは見せてなかったよな?」
准一が、雅紀に同意を求めるように言った。
「だよな。オレも超意外。あの時、オサムと美優ちゃん以外のオレらって全員寝てたんだろ?その時、何があったんだよ?」
訝しげな目を向けてくる雅紀に、オサムは口に含んでいたチャーシューをゴクリと飲み込み、ゆっくりと口を開いた。
「それがどうも、アレが効いたみたいなんだよ」
オサムは口に手をあて、得意気な表情でそう言った。
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