Wakiyaメン：きっかけは、高嶺の花との恋。担々麺さえも恋愛ツールにしてしまう男たち(3/3)[東京カレンダー

美女は料理上手な男がお好き？

「あ、Wakiyaの担々麺があるよ。オレ、これが大好きでいつも冷凍庫にストックしてるんだ」

「ワキヤ……？」

「そう、赤坂にある中華レストラン。そこの担々麺をネットで買ってるんだ。締めに食べるのにちょうど良い量だから、どうかな？」

そう聞くと、美優の目は嬉しそうに輝いた。

「私、担々麺大好き！ぜひ食べてみたいな」

担々麺は3種類ある。豆乳、白胡麻、辣香（ラーシャン）だ。どの味がいいか尋ねると、

「うーん、豆乳で！」

と元気な返事が返ってきた。それを聞いて、オサムは妙に納得した。

豆乳は3種類の中で1番まろやかな味だ。まろやかさの中にピリリとしたアクセントがあり、豆乳クリームの奥深い味が楽しめる一品。

それはまさに美優そのものだ。女性らしくやわらかな雰囲気なのに、たまに毒舌を吐き皆を和ませる。可愛いだけじゃない、深い魅力を持つ女性だからだ。

オサムは冷凍庫から担々麺のスープと麺を取り出す。一緒に、担々麺用に冷凍していたひき肉と刻んだネギも取り出した。

マメなオサムはいつでも担々麺が食べられるよう、このセットを常に冷凍庫で保存しているのだ。

手早くひき肉を炒め、器に盛った担々麺に乗せる。最後にネギを振りかけ美優に差し出すと、想像以上に喜ばれた。

「え、すごーい！オサムくんってお料理好きなの？私、料理好きな男子ってすごく良いと思う！」

なんとなくの思いつきで提案した担々麺が、美優の何かを刺激したらしい。

鍋の翌日、美優からLINEで連絡がきた。いつものグループトークではなく、個人的にだ。

『あの担々麺、私も買いたいんだけど、どこで買ってるか教えてくれない？』

その連絡が来たのを良いことに、オサムは美優を食事に誘い、一気に恋人へと昇格したのだ。

美優曰く「あんなに美味しい担々麺を、ササッと作ってくれた優しさに感激した」とのことだった。

◆

「まじかよ」
「そんなことで？」

事の顛末を聞いた准一と雅紀は、にわかには信じがたいという様子だ。

「オレも担々麺作れば彼女できるのかな」

普段は無口な雅紀が言うと

「オレはあの2人に食べさせてみようかな」

と、2人の女性の間で揺れている准一が言った。

こうしてオサムに感化された准一と雅紀は、Wakiyaの担々麺を駆使して幸せを掴みに行くことにったのだった。

次回1月2日（月）更新予定
悩めるモテ男・准一が、担々麺で本当の恋を探し始める！