東京都港区に「F4」と呼ばれ、モテを謳歌する最強のアラサー男たちがいる。
彼らが「F4」と呼ばれるのは、「フラワー」ではなく、「ファブリーズ四天王、ファブリーズ4」の略称。
リーダーの小倉義男を筆頭に、辻啓介、高田大和、渡部和彦の4人で結成され、固い絆で結ばれた彼ら。
既婚者の渡部を除いた3人は、広報部のユイを巡って、ある協定を結んだ。だがある夜小倉は、渡部とユイが仲良く腕を組んで歩く姿を目撃してしまった!
Vol.1:“あれ”が臭いと振られたF4リーダー小倉
Vol.2:「スーツが臭い」と鼻をつままれたモテ男辻
Vol.3:最高の港区Ladyを前に、男の友情が砕け散る!?
渡部とユイの姿を目撃して1週間・・・
六本木で渡部と腕を絡ませながら歩くユイを見て、1週間が過ぎた。
―既婚者の渡部が、なぜ……。
この思いが小倉の頭の中を、何度もループしている。下手に本人に聞く気にもなれず、F4の他のメンバーに相談するのも違う気がして、悶々としながら1週間を過ごした。
クリスマスはもう間近だ。小倉はあれ以来、ユイを見ても声を掛ける事が躊躇われ、自分で言い始めたレースだがやる気が失せてしまっていた。
辻と高田は今も奮闘を続けているようだが、その経過は聞いていない。渡部の裏切りともとれる行為を、二人が知ったらどうなってしまうのか。
最悪の場合はF4存続も危ぶまれる事を覚悟して、小倉はF4のグループLINEを開いた。
ー近いうちに4人で集まれないか?
それだけ送ると、すぐにLINEを閉じて仕事に戻った。
そして翌週、火曜の夜に会うことで話はまとまった。
4人が一堂に会するのは、ユイへのクリスマスレースを決めた時以来だ。
六本木の『ウルフギャング』でワインを飲みながら、タイミングを見て小倉から切り出した。
「ユイちゃんのことなんだけど……」
この言葉に、皆の手が一瞬止まった。渡部にいたっては、小倉の思いすごしかもしれないが、ごくりと喉を大きく鳴らしたように感じた。
次の言葉を待つ3人に向かって小倉はさらに続けた。
「クリスマスが直前に迫っている今、俺はこの中の一人に確認したい事がある」