東京都港区に「F4」と呼ばれ、モテを謳歌する最強のアラサー男たちがいる。
彼らが「F4」と呼ばれるのは、「フラワー」ではなく、「ファブリーズ四天王、ファブリーズ4」の略称。
リーダーの小倉義男を筆頭に、辻啓介、高田大和、渡部和彦の4人からなる「F4」。
彼らは皆、誇り高き外資系メーカーのブランドマネージャーたちだ。
固い絆で結ばれた彼らだが、広報に新しく入った“ユイ”の登場で、4人の関係が静かに動き出す……?
Vol.1:“あれ”が臭いと振られたF4リーダー小倉
早稲田政経出身。帰国子女で行動派な男・辻啓介とは?
「モテるのって、面倒臭いだけだよ?」
そんなことをさらりと言いのけ、羨望と反感を同時に買う男・辻啓介。F4の中では小倉に次ぐNo.2として存在感を放っている。
辻は、商社マン風の爽やか体育会系男子。マイルドな物腰で場の空気を読み、カラオケで脱ぐなど率先して汚れ役も買う男だ。
F4で一番女性の好みが細かく、自分から好きになった相手以外は興味がないため「モテは面倒」と言ってしまうのだった。
現在付き合っている相手はおらず、前回小倉が話題に出した“広報のユイちゃん”を、辻も気に入っていた。
ユイが入社してからというもの、無駄に広報へ足を運ぶことが増えた。ユイはいつも肩まである髪をふわりとカールさせ、時折見せる笑顔でまわりの男たちを翻弄している。渡部曰く「正統派港区女子」とのこと。
一見すると冷めた印象を受けるクールビューティーのユイ。だからこそ彼女が見せる笑顔は特別だ。彼女が笑うと許されたような気持ちになりほっとしてしまう。そして彼女の笑顔を何度でも見たくなってしまうのだった。
社内恋愛は考えていなかった辻が、「ユイちゃんだったら社内でもいいな」と思えてしまうほど気に入っていた。これまで数々のハイレベル女子を手に入れてきた辻だ。本気で狙えば落とせない女性はいない。
空気を読むのが得意な辻。相手が求めていることを汲み取る能力に長け、仕事もプライベートも、結果を出してきた。だが彼も小倉と同じく、苦い経験を経て、現在のF4での地位を築いたのだった。
それは、年末の忙しさにかまけてスーツをクリーニングに出すタイミングを逃していたある日。当時付き合っていた麻衣と久しぶりのデートを楽しんでいる時、彼女に言われたのだ。