東京イノセントワールド Vol.6

東京イノセントワールド:変わり続ける東京の片隅で。人の温もりを求めて彷徨う25歳の冬

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

東京出身のマリエに対してコンプレックスを感じている美穂と、遅れて上京してきた慎吾は日々東京に染まっていく。そんな中、慎吾はマリエの誘惑に惑わされ始め、遂に超えてはいけない一線を越えてしまう...


突然の既読スルーの意味


慎吾、と表示された携帯電話の画面を見つめていた。結局、慎吾は電話には出なかった。



優一と箱根に行き、マリエに対する優越感を覚えた途端、お腹が出た40歳くらいの男性は急に色褪せて見えた。もう、彼に用はない。しかし、しつこく迫られ、対応に困っていた。

—ごめん、電話くれた?気がつかなくて—

慎吾から返信が来たのは翌日の夕方だった。電話したんだから、電話で返してくれてもいいのに...そう思いながら、返信を打つ。

—慎吾に相談があって。次会った時に話したいんだけど、次いつ会えるかな?—

数日経っても返事は来なかった。最初は忙しいのかと思い、気にしていなかった。しかし再度LINEを送っても、既読になるが返信は永遠に帰って来なかった。


二週間経って、初めて気がついた。

慎吾からの連絡が途絶えたことを。

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