2016.10.30
結婚ゴールの真実 Vol.1「結婚=ゴール」なんて考えは、古すぎる。
東京婚活市場は、婚活に勤しむ女で溢れかえっているが、当然ながら、結婚はゴールではない。そんなものは、幻想だ。
アンチ結婚主義者、吾郎、独身、34歳。長身イケメン、東大卒、超エリートの企業法務弁護士。
吾郎いわく、結婚をM&Aに例えるならば、M&A実施の調印式=結婚式であり、PMI(買収実施後経営統合)=結婚後の生活となる。東京婚活市場において、PMI軽視の風潮は非常に強い。
滑稽な既婚者たちの結婚生活を、彼独自の目線で、じっくりと観察していこう。
「吾郎。やっぱり、結婚が墓場だっていうのは、ホントだぜ。」
弁護士仲間の松田が、やつれ顔で愚痴をこぼした。はいキタ、と、吾郎は頭の中でゴングを鳴らす。この男は、口を開けば嫁の悪口ばかり言う。聞かされる方も、いい加減、ウンザリだ。
今年も気づけば終盤に突入し、爽やかな秋晴れが続いていた。
この季節、多くの人がテラス席を求めて都内を彷徨うが、オフィス近くの新丸ビル7階の外に広がる空中庭園は、夕日を眺めることもでき、混雑も少ない。吾郎お気に入りのスポットだ。しかも、深夜まで営業している。
「ずーっと家にいて、ずーっと怒ってんだぜ。頭、悪いよなぁ。」
二人は土曜の休日出勤後、ビールを飲み交わしていた。しかし、嫁への敵意で頭が一杯の松田は、この週末の恵まれた天気、美しい秋の空、仕事後の身体に染みわたるビールを、存分に味わうことも出来ない。哀れな男だ。
「いいよなぁ、お前は。自由で。」
振動の収まらないスマホを手にして、松田は大きく溜息をついた。松田の嫁は、彼が応答ボタンを押すまで、永遠に発信ボタンを押し続けるのだろう。
「でも、そんな冴えない人生を選んだのは、お前だろ。」
吾郎は口には出さずに、心の中で返事をしてやった。
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