2016.10.30
結婚ゴールの真実 Vol.1世間のお膳立てに流され、安易に結婚を決めた、単純な男
松田は、去年の秋に結婚した。
相手は同じ弁護士事務所の秘書だ。事務所の秘書は基本的に、弁護士の嫁になり得る素養を持った女が採用される。(少なくとも、吾郎の事務所では、そうなのだ)
しかし、「素養」と「適性」は、全く違う。採用試験の際に、「適性」まで見抜けるほど、人事部は有能ではないと、吾郎は思っていた。
松田の嫁は、顔はなかなか可愛く愛想も良く、世田谷生まれで女子大育ちの女だ。当時は28歳で、婚活市場においては良案件に属したのだろうが、吾郎にとっては、恐怖を絵に描いたような女だった。
厚塗りで白浮きしたファンデーションに、女子大生のように明るい髪色と服装。facebookのタイムラインには、日々センスのない食べ物や女子会の写真が羅列していて気味が悪かったし、社内でトレードマークと化していた彼女のミニスカートは、自己顕示欲の強さに思えて仕方なかった。
そして、彼女のストッキングが伝線しているのを、吾郎は何度も発見したことがある。業務遂行能力も低く、10の物事を伝えても2割程度しか理解しない、ミスの多い秘書だった。
そんな女が、妻として機能するわけがない。
デューデリ不足は、自己責任。それが吾郎の考えである。
事務所からのお膳立て、透けて見えるほど分かりやすい女の媚び。そして、外堀から埋められていく、巧妙に見えて阿保らしい結婚へのプレッシャー。
難関と言われる弁護士試験を通り、さらに企業法務を担う弁護士になれるほど優秀な男は、東京でもほんの一握りだ。それほど優秀な男であっても、松田は、女の安っぽい攻めに屈し、結婚を決断してしまった。
「敗者が、また一人。」
松田が照れ笑いで結婚報告をしたとき、吾郎は、すかさずそう思ったのだった。
結婚後、専業主婦になり、束縛女と化した嫁
松田の嫁は、結婚と同時に会社を辞め、専業主婦になった。
松田の年収を考慮すれば、別に不自然ではないし、鈍感な女が専業主婦を希望するのは、まぁ当然の流れだ。そして嫁は、ひどい束縛妻となった。
一応秘書経験があるのだから、弁護士の多忙さに少しは理解を示しても良いはずだが、ある種の女には、そんな理屈は通用しない。
自分本位でしか物事を考えられぬ松田の嫁は、深夜帰宅を責め、休日出勤を否定し、わずかな自由時間さえも奪った。週に1日あるかないかの休日は、下らない買い物や、一人単価1万円以上のレストランでの食事に充てられるらしい。
そして、吾郎が何よりも理解できないのは、松田が給与まで嫁に握られているという事実だった。
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