「アドニスタ」
私はどうにか謎を解いて答えを口にすると、浅原さんが大きく反応した。
「アドニスタですって?」
「浅原さん、何か思い当たる事があるのかしら?」
「はい、実はマミがいなくなる前、つまりマミがレストランオーナーに会いに行くと言っていた日ですが、その日は『アドニスタ』というレストランのオーナーである男性が、この店に一人で飲みにいらしてました」
「え、それは間違いありません?」
「ええ、間違いありません。その男性と話した内容も覚えていますから」
「わかったわ。じゃあとにかく、そのオーナーに会いに『アドニスタ』に行かなくちゃね」
言い終ると桜子は、『カッシェロ・デル・ディアブロ』をごくりと一口飲んでウィンクするのだった。ああ、今夜も甘い雰囲気を迎えることなく終了するのか……。
「ところで桜子。今日はどこに帰るんだい?君はホテル暮らしなんだよね。今日はどこのホテルに部屋を取っているんだい?」
さりげなく、桜子に聞いてみた。だが彼女はじっと私を見つめるだけで、しばしの沈黙が訪れた。
「それは、『アドニスタ』に行った後に決めるわ。『アドニスタ』であなたがどんな対応をするのか。それ次第で教えてあげてもいいわよ?」
そう言って、またいたずらっぽい瞳で私を見つめてきた。
「じゃあ、早く向かおう」
私は一息で言うと、桜子の右手を力強く握った。
次回12月3日(土)配信
『アドニスタ』に辿り着くと、これまでの謎を仕掛けた犯人が明らかになる!
■衣装協力:ブルーロングワンピース¥32,000(ソブ)ピアス¥5,500 ネックレス¥6,500 バングル<3本セット価格>¥16,000(すべてダブルスタンダードクロージング アクセソワ/フィルム 03-5413-4141)