2016.07.21
SPECIAL TALK Vol.222020年のニューリーダーたちに告ぐ
女性の「美」を創造する企業として144年の歴史を持つ株式会社資生堂。2014年からそのトップを務めるのが、魚谷雅彦氏だ。同志社大学卒業後、ライオン株式会社、日本コカ・コーラ株式会社などでマーケティングを駆使し、数々のヒット商品を生み出してきた。
外資系企業での豊富な経験を基に、現在は資生堂で「国内事業の立て直し」「働き方改革」「グローバル化」をキーワードに改革を進める。
安定よりも果敢にリスクを取りにいくという魚谷氏の信念とは?そのビジネススタイルから、次世代のリーダーたちが生き抜くヒントを紐解く。
金丸:本日はお越しいただき、ありがとうございます。といっても、資生堂さんが経営するフレンチレストラン『ロオジエ』なので、「お邪魔します」が正しいですかね(笑)。
魚谷:ようこそお越しくださいました(笑)。
金丸:まさに資生堂の企業理念「美しい生活文化の創造」を体現したような空間ですね。今日は食事もお話も楽しみです。ところで、魚谷さんは私と同じ関西出身なんですよね。
魚谷:奈良県の五條市の出身です。自然がいっぱいの田舎で、子どもの頃は魚やザリガニを捕ったり、野球をして遊んでばかりいました。
金丸:私も大阪の枚方市でやんちゃに過ごしていましたが、魚谷社長は野球少年だったのですね。
魚谷:でも中学生のときは、すっかりサッカー少年になりました。
金丸:何がきっかけだったのですか?
魚谷:サッカーの日本代表が銅メダルを獲った1968年のメキシコオリンピックです。杉山選手が左からセンタリングし、釜本選手が胸でトラップして左脚で蹴り込んだシーンは、今でもはっきり覚えています。その興奮が収まらないまま、次の日に学校で「これからはサッカーの時代やで!」と言って、当時なかったサッカー部を立ち上げました。グラウンドが狭かったので、野球部の練習のあと毎日暗くなるまで練習していましたね。
金丸:その後高校でもサッカーを?
魚谷:もちろんです。中高一貫の大阪星光学院高等学校に行ったんですが、進学校だったので部員が足りなくて、中学生との混合チームで試合に出たりしていました。
金丸:なぜ奈良から大阪の高校に進んだのですか?
魚谷:体育の先生のアドバイスですね。その先生にはよく怒られましたが、目もかけてくれていて、「魚谷は地元の高校より、多様な価値観が集まる大阪の私立で揉まれた方が合っているんじゃないか?」と言われたんです。それで、大阪への進学を決めました。そこでも素晴らしい先生との出会いがありました。
尊敬できる先生との出会い。英語の魅力に気づいていく
金丸:どんな先生だったのですか?
魚谷:型破りな先生でしたよ。学校にナイショで塾でアルバイトをしちゃうような(笑)。とにかく英文法の教え方がうまくて、大阪では右に出る人がいないくらいすごい指導者でした。だから英語の勉強がめちゃくちゃ楽しくて、もっと勉強したいと思って、英語、英文の分野で定評のある同志社大学の英文学科に進みました。そして、大学でもインパクトの強い先生との出会いがあり…。
金丸:今度はどんな先生ですか?
魚谷:ボストンに8年間留学していた若い助教授なんですが、ロングヘアにベルボトムの白いジーンズという風貌で、完全にヒッピーなんですよ(笑)。その彼が、「君たちはずっと受験のために英語を勉強してきただろう。そんな君たちに、僕は生きた英語を教えたい」と。私はその頃、文法を必死で覚えたって外国人と話せるようにならないんじゃないかと感じていたので、その言葉にものすごく感動して、さらに英語にのめり込んでいきました。
金丸:素晴らしいことですね。ヒッピーにも少しは憧れたのですか?
魚谷:いやいや。少し髪を長くしたり、ベルボトムを履いたりはしましたけど。でもその後、アイビールックの時代がきたんですよね。私はVANの倉庫で商品管理のアルバイトをしていたのですが、最初の頃は新しい商品が入るたびに「こんなん売れんの?」と思っていましたよ。
金丸:でも、飛ぶように売れたでしょう?
魚谷:売れましたね。VANのジャケットブームを経て、ファッションが分化していくのを目の当たりにしました。あの経験が、私とマーケティングの最初の出会いだと言えます。アルバイト2年目からはデパートでの販売に移ったんですが、1日にダッフルコートを20着売るという学生記録を作りましたね。
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