2016.01.21
SPECIAL TALK Vol.16中国特需にはたよらず、中国市場に打って出る
金丸:いま日本では、中国人の爆買いが話題になっています。化粧品も人気商品のひとつですが、影響は感じていらっしゃいますか?
吉松:もちろん影響はあります。しかし、中国からのお客様が多くなりすぎて、既存顧客にとって居心地の悪い店になっては元も子もありませんので売上の15%程度に抑えるよう努めています。それよりも、中国市場そのものに注目していますね。今年1月に、日本製の化粧品を中国に輸出する「アイスタイルトレーディング」という会社を設立したのですが、非常に好調で、1月から出荷をはじめて、順調に出荷量が伸びています。
金丸:やはり中国市場には、魅力がありますね。中国を含めたアジアのインターネット市場は、8億人規模といわれています。今後化粧品市場は、どうなっていくとお考えですか?
吉松:確実に需要が伸びていくのは、中国だと思います。販売提携をしている化粧品のeコマースに「JUMEI」という会社があって、中国でもかなり大手のサイトなんですが、そこには中国の(化粧品の)ドメスティックブランドは、ほとんどありません。多くを占めているのが、ヨーロッパ製と韓国製で、日本製品のシェアはわずかしかないんです。日本製品に対する関心が高いのに、肝心の商品が市場に出回っていないわけですから、大きな可能性があると思います。
金丸:日本のメーカーは、海外に出て市場を開拓するという意欲があまりないのかもしれませんね。
吉松:そうですね。しかし、世界の化粧品市場は、ますます大きくなっています。10年前の市場規模は約20兆円でしたが、いまでは倍の40兆円にまで拡大しています。その中でアジアだけを見ると、日本は2兆円ほどで、ここ数年は横ばい状態です。一方、中国は昨年ようやく2兆円の大台に乗りました。人口も多く、今後いっそう美容への意識が高まるのは間違いありません。中国には、大きなチャンスがあります。取り逃がすわけにはいかないのです。
化粧品に大事なのはブランド価値やコンテンツ力
吉松:化粧品というのは面白くて、商品そのものの品質も大事ですが、それよりもコンテンツビジネスの側面が大きい業界なんです。金丸 ブランド価値やコンテンツとしての有益性をいかに高めるかが、鍵を握っていると?
吉松:そうですね。「@cosme」に登録している会員数は、320万人。そして、お取引のあるブランド数も、大小合わせると2万5,000を数えます。そんな多くのブランドがある中で、消費者はいったい何を基準に化粧品を選んでいるのかというと、ブランドイメージに左右される部分が大きいのです。だからこそ消費者は、クチコミなどの信頼できる第三者情報を欲っし、そのニーズに支えられて、成長することができたのです。
金丸:「@cosme」のようなサイトは、海外にもあるのですか?
吉松:世界的に見て珍しいですね。実は弊社のようなランキングサイトというのは、アメリカやヨーロッパでは育っていません。日本だけらしいのです。海外だとリコメンデーションの方が圧倒的に強いですから。
金丸:日本人は他人を気にするから、ランキングの価値が高いんでしょうね。ところで、最近のユーザーの志向に変化は見られますか? 先日、高価格帯の化粧品が売れているというニュースを耳にしました。
吉松:まさに二極化していますね。ラグジュアリーな商品とコスパをうたう商品がそれぞれ支持されてきています。飲食業界と似ているかもしれません。
起業をすることのデメリットは意外なほどに少ない
金丸 吉松社長にぜひ伺いたいのが、昨今の学生の安定志向についてです。確かに、いまの学生たちは不況下で育ち、将来に対して明るい見通しを持ちにくいかもしれません。しかし、世の中がこれほど激変しているのに、学生の安定志向はほとんど変わらない。これについて、どう思いますか?
吉松:私も不思議に思います。むしろ安定志向は、強くなっていますよね。
金丸:起業はリスクが高いと感じるのかもしれませんが、いまはリアルな社会とネット社会があり、それを組み合わせた新たな経済圏を作り出すことができる時代です。もっと視野を広くして、このチャンスを逃さないでほしいんです。
吉松:ただ一方で、私は若者に対して楽観視もしています。というのも、私が学生だった頃は、大学生で社長の名刺を持つなんてあり得ませんでした。でもいまは、それが容易にできます。まだまだ少ないのかもしれませんが、局地的に見れば、学生で起業する人は増えています。20年前だったら、アウトロー以外、そんなことはしなかった。絶対値が増えてきていることは確かです。
金丸:起業して成功する確率は、1,000人のうち3人ぐらいだといわれています。であれば、大企業に就職した方が安定を得られるように見えますが、大企業で役員になれる確率は、1000分の3よりも低い。よくて部長止まりという人がごまんといるのです。しかし、起業して大成功を収めなくても、大企業の部長で安定していられるのならいいや、と考えてしまう人が多いのでしょうね。
吉松:そうですね。起業家になるというと、0か100かのように捉えられがちですが、そうではなくて、50の人もたくさんいます。起業イコール不安定、ではないということを、もっと訴えないといけませんね。
金丸:実際のところ、起業のリスクは思っているほど高くありません。それに一度そういう経験をすると、その人のマーケットバリューは飛躍的に上がります。
吉松:これからの社会において、テクノロジーがキーファクターであることは間違いありません。IT業界というのは、たとえ会社が潰れたとしても、あらゆる企業のIT部門が人材を欲しがっているわけだから、需要はいくらでもあるんです。そういう意味でも、ネット関連での起業は、非常にリスクが低い。 私もアクセンチュア時代に、プログラミングを死ぬほどやらされました。当時は、コンサルティング会社に入ったのに、なぜプログラミングを、と思っていましたが、やっていて本当によかった。「@cosme」も初期の頃は、自分で組んでいましたからね。学生にも同じように、プログラミングの重要性を訴えているのですが、なかなか伝わりません(笑)。
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