代々木上原の女 Vol.4

代々木上原の女:27歳、年収450万のOLが転職サイトで知る自分の市場価値とは?


埼玉県出身のユリ、26歳。大手損害保険会社でエリア総合職として勤務。強い自立心を持った彼女が、彼氏と同棲していた港区を抜け出し、代々木上原という地で、迷い、葛藤しながら自分らしさを取り戻す。

南麻布に住む彼氏・聡のレシート明細を見て浮気を知ったユリは、会社の先輩・綾子に憧れ、代々木上原から徒歩圏内の幡ヶ谷エリアに引っ越す。一人暮らしにも慣れ、楽しさを感じていたが、元彼・聡からの連絡でモヤモヤし始めて…?


3年前の服に袖を通すとき。鏡の前には直視したくない現実が…?


明日は、玲子に無理やり取り付けられた食事会の日だ。ユリは大きくため息をついた。南麻布に住んでいたときは、ホームパーティーや食事会に散々行っていたのに今は全く気が進まない。

ー元々、私は食事会に行くようなタイプではないんだ…。

明日着る服を考えながら、そんな思いが頭をよぎる。場所は麻布十番で、商社マンとの食事会だと言っていた。

麻布十番での食事会ー。

少し怯んでいる自分に気づく。華やかでぎらついた港区から離れてから、それは遠い世界のできごとになっていた。

とは言っても、彼氏と別れて1年あまり。そろそろ新しい恋がしたい。そう思い直し、服を選ぶためにクローゼットを開けた。

しかし、クローゼットを開けた途端、手が止まってしまった。そこにあるのは、Tシャツとジーパン、ボーダーの服のオンパレード。色も、白とグレー、ネイビーがほとんどだ。食事会に着ていくような服は見当たらない。

港区在住だったときに無理して買ったラップワンピやジャケットは捨てずに残してあるものの、気合いを入れすぎているようで着ていけない。かと言って、ボーダーのTシャツで行くわけにもいかない。

しかたなく、20代前半で買い込んだアプワイザー・リッシェのワンピースに袖を通す。このブランドの服は、上品な女の子らしいデザインで男性ウケがいい。

しかし、鏡に映った自分を見て愕然とした。24歳のときの“褒められワンピース”が、全く似合わない。

焦って港区時代のラップワンピを着てみた。年齢的には似合って然るべき服なのに、なぜかこちらもしっくりこない。どうあがいても、シンプルなTシャツが一番しっくり来る。

ーこれはマズイかも…。

脱ぎ散らかした洋服の中で、大きくため息をついた。

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