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商社マン優作 Vol.1

商社マン優作:商社マンは本当に無敵カードなのか?20代商社マンの勘違い

普通のサラリー・20代商社マン


「優作さんって、デートはいつもこうゆう所でお食事されているんですか?」

運ばれてきたグリーンサラダを見ながら、目が笑っていない笑顔でクミが話しかけてくる。表参道の『MERSER CAFFE TERRACE HOUSE』は女子が好きそうな雰囲気満載で、コスパもいいので同期主催の食事会でも良く使う。

「あーそうだね。接待も多いし、日頃からお店はリサーチしてるかな。」

「へぇー商社の方って、毎日豪勢な接待ばかりかと思ってました。」(接待もあるし食事会も多いが、財布事情を考えてから店を決めている。)

商社と言えども、所詮は日系の会社。

30歳になるまでそんな高給取りでもなく、周囲が想像するような年収1,000万越えに辿り着くまでの道のりはかなり遠い。

「私、結婚したら仕事やめて専業主婦になりたくて。優作さんエネルギーですよね?それって、どの国への転勤が多いんですか?」

商社マン狙いの女性は何故か“海外に住みたい”思考が強い。総合商社マンほぼ全員が、入社10年目までに数年海外赴任があるが、その後の海外赴任があるかは分からない。そして、全てが先進国で安全な国とも限らないのに。


「あ、ごめん何?聞いてなかった。」

「もーう」と言って怒るフリをしているクミを横目に、最近新卒で入ってきた麻里子のことを考える。物憂げな雰囲気がある、黒髪の綺麗な子だ。最近気になって仕方ない麻里子は今何をしているだろう、とふと思う。

「あーお腹いっぱいです♫」

もはや徐々に面倒臭くなってきたクミを見つめると同時にお会計が来た。全額払ってもいいが、そこまでの余裕はない 。

「ごめん、3,000円だけ貰ってもいいかな?」

言ったと同時にクミの表情がみるみる曇る。あーこっちタイプか...と思ったが後の祭りだ。

「え〜普段外銀の人達と飲む時、お財布なんて出したことさえないのに。やっぱり、商社って所詮日系なんですね。」

だから頭の悪い女は嫌いだ。

所詮日系で、外銀のようには稼げない。しかし長い目で見たら会社が一生守ってくれる日系商社マンの方がいいに決まっているのに。

100戦100勝だった記録を破られたこと、けなされたことのどちらにアッパーを食らったのか分からないが、こんなハイメンテナンス・ガールはこっちからお断りだ。何だかスッキリしない気分を抱えてお店を出る。

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商社マン優作

ー総合商社に入れば、人生、一生安泰で勝ち組。ー

東京において、商社マンというのは一見、社会的ステータスの高い、万能なカードに見える。

しかし、果たしてそれは事実なのか?

商社という舞台には、外部からは計り知れない様々な人間模様があり、出世レースに関する嫉妬と憎悪に満ちた縦社会のプライド合戦も繰り広げられている。

早稲田大学商学部卒業後、大手総合商社に入社した優作。彼の商社マン人生は、薔薇色なのか、それとも?

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