こじらせマン Vol.5

こじらせマン最終回:セント・フォース系女子を追い求めるIT社長が思い描く、新しい男女の形とは?

数年前からよく耳にするようになった“こじらせ女子”。綾瀬はるか主演のドラマで一気に認知度が上がり、一時は流行語大賞にもノミネートされたこの言葉は、結婚したいのにできない、もしくはしようとしない、少々扱いづらい女性のことを指す。

そこから派生して、これまた最近よく聞くのが“こじらせ男子”。

この連載では、近年東カレ界隈で増殖するこの“こじらせマン”の実態を、同じくこじらせ女子であるフリーランスの雑誌編集者の絵美里(30歳)が毎回24時過ぎの都内の居酒屋を舞台に、紹介していく。

今までにはモテ男なのになぜか結婚に縁遠い敏腕ディレクターの亮太や、元肉食系デザイナーの健夫、未婚であることにコンプレックスを抱えている優秀営業マンの幸太郎、アラフォーセレブ社長の修二などのこじらせマンを紹介してきた。

最終回となる今回は...?


<今週のこじらせマン>

名前:将生
年齢:37歳
職業:IT企業社長
年収:1,500万円
住まい:白金台
出身:福岡
理想の結婚相手:サービス精神旺盛な女子アナ系


30歳で恵比寿デビューしたインテリIT社長の理想は正統派のセント・フォース系!?


金曜の深夜、絵美里が行きつけのバー、『Pitfall』に入ると、将生がカウンターの奥に1人で座っていた。

「あれ、将生さん金曜なのに1人?」

「おぅ、絵美里ちゃん。さっきまでここで飲み会してたんだけどさ、いまいち盛り上がらなくってさ。残って1人で飲み直してたところ。誰か来ないかな~と思ってたからちょうどよかった。」

入口がインターホン形式になっているこの恵比寿の隠れ家的バーは、顔なじみの常連客がほとんどだ。その常連の中に仕事関係で知り合った友人が多いため、絵美里も仕事終わりに一杯やるために、よくここを訪れる。そして将生も、その飲み仲間のうちの1人である。

「そうなんだ、盛り上がらないってつまりあれでしょ。お目当ての“セント・フォース系”がいなかったってことでしょ?」

「さすが、おっしゃる通りです(笑)。今日の子はみんなメイクが濃すぎだな…あれじゃ品がないよね。」

「そうなの?」とアイコンタクトするように絵美里がカウンター越しのバーテンに目をやると、彼は半分笑いながら気まずそうに目線を下に落とす。

「そのさ、セント・フォースって響き自体、女子を敵に回すって。もっとオブラートに包んだ言い方すればいいのに。例えば…清楚で透明感のある女性とかさ。白のシフォンブラウスが似合う女性とかさ。」

(※セント・フォースとは正統派美人系のキャスターやリポーターが多数所属する芸能事務所のことである。)

「お~、清楚、透明感、まさにそれだわ! さすが編集者はいい言葉が出てくるね~。今度からそう言い換えるようにするよ。」

二人はハイボールで乾杯を交わす。将生はネット広告の会社を経営しており、恵比寿にオフィスを構えている。決してイケメンと呼べる部類ではないが、その恰幅のいい体にいつもこなれたスーツをカチッと合わせており、今日もシャープなピンストライプのウールスーツに、トレードマークの蝶ネクタイを上手に効かせている。

早稲田の理工学部を卒業し、大手IT企業に新卒で入社してから30歳になるまで、将生はずっと豊洲に住んでいた。キャンパスライフも20代の頃の社会人生活も、至って平凡なものだった。しかし、会社を設立するタイミングで白金台に引っ越してきてから、その生活はがらりと変わることになる。

活動の拠点となるエリアが恵比寿や広尾、麻布十番に変わったことにより、かつては仕事関係の会食で月に数回、新橋や銀座で食事をする以外は、夜はほとんど外出していなかった将生は、毎日のように飲み歩くようになる。

それによって自ずと交友関係も派手になり、ここ数年は飲み会などを通して女性との接点も増えた。小金持ちの将生は、それと同時に奥が深い酒の世界にどっぷりハマり、グルメにも目覚めて行った。いわゆる、だいぶ遅めのデビューである。

「将生さんてさ、休肝日あるの? 本当に毎日飲んでるよね。」

「まぁね、なんかまっすぐ帰るのが寂しくってさ。ついつい誘惑に負けちゃうんだよね~。なんだろうね、高校の時に部室みたいな感じ? 大して用もないのにだらだら入り浸る、みたいな」

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