2016.07.11
こじらせマン Vol.2数年前からよく耳にするようになった“こじらせ女子”。綾瀬はるか主演のドラマで一気に認知度が上がり、一時は流行語大賞にもノミネートされたこの言葉は、結婚したいのにできない、もしくはしようとしない、少々扱いづらい女性のことを指す。
そこから派生して、これまた最近よく聞くのが“こじらせ男子”。
仕事ではそれなりに成功し、ルックスも悪くない。彼らはごく自然に社会に溶け込んでいて、既婚男性と間違われることもしばしば。
この連載では、近年東カレ界隈で増殖するこの“こじらせマン”の実態を、同じくこじらせ女子であるフリーランスの雑誌編集者の絵美里(30歳)が毎回24時過ぎの都内の居酒屋を舞台に、紹介していく。
前回はモテ男なのになぜか結婚に縁遠い敏腕ディレクター、亮太(36歳)について紹介した。今回のお相手は典型的な草食系こじらせマンだという...
<今週のこじらせマン>
名前:健夫
年齢:40歳
職業:Webデザイナー
年収:800万
住まい:三軒茶屋
出身:埼玉
理想の結婚相手:癒し系のアジアンビューティー
“先回りしてセーフティーネットを張る”のがこじらせマン的処世術
とある7月の平日の深夜、絵美里と健夫は中目黒の『いろは寿司』で肩を並べて寿司をつまんでいた。
Webデザイナーの健夫(40歳)は、絵美里が週1、2は一緒に飲んでいる仲良しオッサングループの1人だ。スタイリストやカメラマン、クリエイティブディレクターなど、業界系こじらせマンで構成されているそのグループの中でも、群を抜いて健夫は恋愛に関して奥手と言える。
ポロシャツにネイビーかベージュのチノパンが定番スタイルの健夫の小奇麗なファッションは、女性から見ても好感度が持てる。身長は172cmと平均的。若干ぽっちゃり体型ではあるが、温厚で大らかな性格のおかげか、そのぽっこりおなかや、まあるい背中からはマイナスイオンすら感じられる。
常に世の中を斜めから見るような、ひねくれ者の多いそのこじらせマン集団の中でも、頼れるアニキ分として絵美里が一番信頼を置いている存在でもある。
社交的で面倒見もいい健夫は友達が多いし、後輩からも慕われている、しかし、こと恋愛となると、一気にその積極性を失う。決してモテないわけではないと思うのだが、絵美里が知る限り、この5~6年で彼女がいたのは1回だけ(しかもたったの2ヵ月)である。
「いや~、もう夏だね。今年はいい出逢いがあるといいな~。健夫さんも今年こそ彼女できるといいね!」
絵美里は3年半交際した彼氏と春に別れたばかりだ。なんとしても今年中にステディな相手を作ろうと意気込んでいる。
「そうだな…。」
「ホントだよな~、今年こそ!」と、いつもならノリのいい返しが来るはずなのに、健夫の様子がどうもおかしい。
「あれっどうしたの? なんかあった?」
レモンサワーをちびちび飲んでいた健夫は、少しの沈黙の後カウンターを見つめたまま再び話し始めた。
「この前はちょっと間が悪くて言い出せなかったんだけど、例の飲み会の話覚えてる? あの時の子と、実はあれから何回か会ってるんだ。」
5対5で行われたその飲み会のお相手は、20代前半の女性陣で、わりとレベルが高く、中でも一番美人の女性がなんと健夫のことを気に入り、しかもそれを皆の前で堂々とアピールしていたらしい。
「健夫さん、その後どうなったんだよ?」と皆に詰められていた健夫は、「お互いにお礼のメールを交わしただけで、その後は連絡を取っていない」とその場では話していた。
「えっうそ!?進展してたの?何もないって言ってたじゃん。」
「一回話しちゃうとさ、その後何かと面倒くさいだろ、あいつら。だからなんか言い出しにくくて…。」
「相変わらずこじらせてるな…。」絵美里は心の中で呟いた。
一緒に飲み会には行くものの、確かに彼らは普段、お互いの恋愛ネタをほとんど話さない。なんなら彼女が出来てもしばらく黙っていたりする。
相手の女性のことを追求されるのが面倒なのか、それともうまくいかなくなったとき同情されるのが嫌なのか…。基本的になんでも報告し合う女友達との関係とまったく異なるアラフォー男子の友情関係に、絵美里は最初、違和感を感じた。
だが、先回りしてセーフティーネットを張ることが、ナイーブなこじらせマン特有の習性だと気づいてからは、あえてそこには深堀りしないように気をつけている。
この記事で紹介したお店
いろは寿司 中目黒本店
【こじらせマン】の記事一覧
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