代理店女子マリア Vol.1

代理店女子マリア:クリエイティブから営業への転落。それでもすがる、“代理店女子”という肩書き

代理店女子としての責任感と、相反する女の欲求


もちろん、考えていないわけではない。コピーライターとしてもう一度腕試しをしたい。たとえ給料が減っても、この会社でのキャリアがあれば、再就職先はいくらだって思いつく。

「でもお前、マジで向いてるもんなあ、この仕事。明日の競合だって頑張ってるし。で、最近プライベートはどうなんだよ?」

柳沢の放つプライベートと言う言葉に、ぎくりとする。学生時代に出会った彼と、入社1年目に別れて以来、特定の彼氏はいなかった。

「うるさいなあ。私だって色々あるんだから……」

そのまま世間話は続き、気づけば時刻はてっぺんを回っていた。会計を済まし、別れを告げてそれぞれの電車のホームへと歩いて行った。

※てっぺん…深夜12:00のこと。広告代理店やテレビ局で使われている業界用語。

LINEを開き、ある人にメッセージを送る。

「お疲れ。今帰り道なんだけど、タイミングが合えば会えない?」

LINEの送り先は、ケイ。担当クライアントのエンジニアだ。3か月前に接待のお食事会で知り合って以来、誰にも言えない割り切った関係が続いている。

25歳、年下のいわゆる理系イケメン。体育会系の代理店男子に囲まれる私には新鮮だった。体を重ねる度に擦り減る心。それでも求めてしまうのは、私が割り切れていない証拠だ。

「いいけど、もう家だからこっち来るなら。」と、いつも通り素っ気ない返事が来た。

それと同時に、無意識に左手で社用携帯を開く。案の定、さっき打ち合わせをしていた社内のプランナーから留守電が来ていた。

「企画書の前段、やはりちょっと書き直そうと思います。まだ社内いらっしゃれば、確認お願いしたいのですが・・・」

大江戸線のホームには、最終電車が到着しようとしている。


マリアはスマホと社用携帯をバッグにしまうと、躊躇うことなくまっすぐと歩き始めた。

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#tokyomaria #代理店女子マリア

『サカナバル グリル』
函館から現地直送の新鮮な海の幸と世界中から集めた個性豊かなワインを豊富に揃え、2014年10月に満を持してオープンした魚介専門バル。オープン当初から人気を博した恵比寿の姉妹店にあたる、2号店。コスパと快い空間に定評があるだけでなく、友人との食事会や女子会、デートなど、幅広いシーンで使えるのは嬉しい。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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