皆さんは「テキーラ」というとどんなお酒だというイメージをお持ちだろうか?
クラブで煽る酒?アルコール度数が強く、これで女性を潰してしまおうと考えるよからぬ輩もいるかもしれない。
しかし、テキーラは女性を魅了する効力もあるのか、テキーラ・マエストロの資格を持つ女性も存在する。先日、出社前にヨガをする姿を東カレで披露してくれた堀口美奈が、その多面的な顔の一つである「テキーラ・マエストロ」として、本連載ではテキーラについて語る。
ちなみに連載名は、テキーラ堀口(仮)となっているが、これは誤植ではない。この連載が人気連載となった時、()は外れる予定だ。
「私最年少テキーラ・ソムリエになるの!」幼なじみの不二子が持ち前の可愛いハスキーヴォイスで言っていたセリフである。
2年前の今頃、グランドハイアットのBARマデュロで、私のテキーラ人生の幕は開いた。
「最年少?テキーラ?なになに、何のこと?」
不二子曰く、二十歳の誕生月に自身の母親に勧められて「テキーラ・ソムリエ講座」を受けに行ったのだそうだ。そんな発想もなければ、そんな粋な母親も持ち合わせていない私は、なんだか変な焦りのようなものを覚えた記憶がある。
「お母さんにテキーラ勧められるって、珍しいね...」
でも不二子は自信満々である。
「お酒の基礎知識の勉強にもなるし、お酒に飲まれない為にはお酒の知識を持つことはすごい大事だって言われたの♥」
さらに続ける。
「プレミアムテキーラ、超美味しいんだよ!アメリカではセレブのお酒。メキシコの原産地呼称のお酒で、テロワールの違いとかテイスティングするの楽しかったよ。」
当時の私は相当面食らった。テロワール?なんだかワインみたい。原産地呼称?フランス原産でもシャンパーニュ地方の発泡性ワインだと「シャンパン」って呼べる。みたいな?
溢れ出る好奇心の矛先はミステリアスなリカー・「テキーラ」に一直線に向かった。そこから不二子は私に相当質問責めにされていたと思う。ごめんね。
もともとお酒は大好きだった。深紅に輝く赤ワイン、色とりどりのカクテル、チャーミングで何かしら誕生秘話がありそうなネーミング(ブラッディ・メアリーとか!)、カクテルに飽きたら、ウィスキー、ウォッカ、ジン。みんなで飲んで盛り上がって、これ以上楽しい事がこの世にあるでしょうか。
そんな飲兵衛な私でも、ことテキーラに関しては、ショットグラスで塩とライムを舐めながら酔っ払うため「だけ」に飲むお酒であるという以上の認識はなかった。悲しいくらい、全くノーアイディアだった。
「幾つかテキーラあるみたいだから頼もうよ!」
左手に持ったベリー二を脇に置き、バーメニューのページをめくり始める不二子。私の期待は高まった。ここでも飲めるの?飲んじゃう?飲んじゃう?
「そしたら、樽熟成してないブランコ(スペイン語で「白」という意味)のパトロンと、少なくとも1年以上オーク樽で熟成した同じくアネホ(スペイン語でエイジングしたという意味)のパトロンにしようか」
パトロンはハリウッドスターにも愛好家が多く、特にアメリカでは抜群の知名度を誇るプレミアムテキーラである。熟成方法もユニークで、バーボン樽、フレンチオーク新樽、ハンガリアンオークの新樽の3種を使用しており、蜂蜜の香りがシグニチャーとなっている。
え、待って、いきなり樽熟成の話なんかされてもついていけないって?すみません。
兎に角、2年前のちょうど今頃、不二子がオーダーしたテキーラをゆっくり一口飲み、私は胸に決めたのである。
「私もテキーラ・ソムリエになる!」
次の瞬間にはiPhoneで次のテキーラ講座の開始日をチェックしていた。
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