その名は、サエコ。 #東京悪女伝説 Vol.14

その名はサエコ:策に溺れた女。サエコの逆襲が始まる......?

前回までのあらすじ

サエコを中心に、5人の女たちが繰り広げる攻防戦。 身近な女の、大富豪との熱愛発覚。 その時、女たちは何を思うのだろうか?

サエコのサークル時代の同期で、現在地方局の女子アナをしている"アン”は、サエコの彼氏と一晩を越えることに成功した。

一方、サエコへの嫉妬に狂った会社同期のさとみは、タクミを振り向かせる事で、女としての存在意義を確かめるかの如く、体を許してしまったようだ。「私よりイイ男と結婚するなんて許せない。」心に潜んだ毒は女たちを狂わせていく...。

前回:「自分の実力値」をわかっている女は、この日本にどれほどいる?

ミイラ取りがミイラになる。


さとみは、先ほどから、木曜日の定例ミーティングの席で、貧乏揺すりをしている。タバコの禁断症状のように、イライラとしていて、落ち着きがない。手元に配られた資料を見ながら右手は、絶えずスマホの画面をチェックしている。

タクミと一線を越えてしまったのは、先週のことだ。

ふんだんに煽ったウォッカのおかげで、タクミと寝てしまった記憶は曖昧だ。
しかし、一線を越えてしまったという事実は、コーヒーのシミのようにさとみの心にこびりついていて、漂白を試みるもなかなか頑固で消えてくれない。

しかも、張本人のタクミからは、あれからパタリと連絡がない。


—何なのよ......あの男......—


女となれば見境がないタクミにとって、自分だけは「別枠」だと思うことで保たれていたさとみのプライドは、どんな言い訳も綺麗事も並べたところで、もはや風前の灯である。

世界の中心から高みの見物を決め込むように、マウンティング上位にいると信じて疑わなかったさとみは、今や、タクミからボロ雑巾のように使い捨てられた数多の愚かな女たちとなんら変わりがない。

その事実に打ちのめされつつも、どこかで自分だけは特別だという思い込みが抜けず、こうして、10秒と開けずスマホをチェックしてしまうが、ピンクのケースに身を包んださとみのスマートフォンは沈黙を決め込んでいる。

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