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#東京悪女伝説 Vol.13

その名はサエコ:「自分の実力値」をわかっている女は、この日本にどれほどいる?

※本記事は、2016年に公開された記事の再掲です。当時の空気感も含めて、お楽しみください。

サエコを中心に、5人の女たちが繰り広げる攻防戦。 身近な女の、大富豪との熱愛発覚。 その時、女たちは何を思うのだろうか?

サエコのサークル時代の同期で、現在地方局の女子アナをしている"アン”が、サエコ熱愛の噂を聞き、悪意剥き出しに、何かを"成し遂げた”ようだ。

また、サエコへの嫉妬に狂った会社同期のさとみは、タクミを振り向かせる事で、女としての存在意義を確かめようと、体を許してしまったようだが...「私よりイイ男と結婚するなんて許せない。」心に潜んだ毒は女たちを狂わせていく...。

前回:身体を許してしまった夜。「バカな女」と笑うことなど誰にもできない。

賢い女は、チキンレースを制する覇者のようなもの...?



「賢い女はね、チキンレースを制する覇者のようなもの。」

サエコの後輩・奈々は、サエコが語ったセリフを頭の中で反芻していた。


昨日、奈々は、恵比寿の『ビストロアム』に、サエコといた。

言わずもがなの人気店『ビストロ間』が銀座へ移転したあとにリニューアルした『ビストロアム』は、恵比寿東口から約5分、明治通りに平行して流れる渋谷川沿いにひっそりと佇む。4,500円というコースから想像もできないほどの本格的な味と、男性でも満足するボリュームで、2015年にオープン以後早くも予約のとれない人気店となっていて、2016年の女子会定番店としての呼び声も高い。


『ビストロアム』で、サエコは、定番の野菜のパフェを細長いスプーンでカシャカシャとかき混ぜながら言った。

「女性は、持って生まれたポテンシャルの幅があってね、その実力値の限りなく最高の男でぴたりと止めて、全てをツモれる女こそが、真の賢い女なのよ。」

奈々は、ふむふむと首を大きく振りながら聞いていたが、どうにもサエコらしくない話の展開に若干の戸惑いがあった。大富豪の恋人を持つサエコは、「自分の持って生まれたポテンシャルの最高値でツモった」という自慢が展開されるのだろうか?

ーいや、講釈をたれるだなんて、サエコさんらしくもない。ー

奈々は、釈然としない心持ちで黙って話を聞くことにした。

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絶世の美女ではない。だけどなぜかあの子には男が途切れない。あなたの周りにもきっといる、そんな女のお話です。

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