学歴カレンダー Vol.4

学歴カレンダー:明治大卒の彼から受けたプロポーズ。「40万」の婚約指輪から見えた未来とは?

前回までのあらすじ

神奈川県の公立高校から、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、丸の内の大手人材会社に勤める絵理奈(28)。周りの友人たちは“恋愛対象になるのは最低でも早慶レベル"と口を揃え、彼女自身も様々な学歴の男とのデートを試みる。

早稲田卒の浩哉東大卒の宏太とデートをするが、なかなかうまくいかない。そんな状況に焦っていたときに出会ったのが日大卒の啓介だった。楽しいデートに心が揺れたが、彼は昔付き合っていたある男性によく似ていた。


「慶應ってガラじゃない。」バンカラ男のちっぽけなプライド


今日は、珍しく何もない日曜日。期末の忙しさを乗り切り、六本木の『MERCER BRUNCH』で一休み。疲れた体に上品な甘さのフレンチトーストが染み渡る。店の中心には暖炉があり、大きな窓からは自然光が差し込む。ここは都会の喧騒を忘れられるお気に入りスポットだ。

食後のコーヒーを飲んでいるとき、先週デートした啓介からのLINEが来た。啓介は高校時代の元彼によく似ていた。

元彼の名前は哲也という。ふと、神奈川県で過ごした高校生活を思い出した。

絵理奈は高校時代、バスケ部だった。放課後の練習が終わり、部室棟の前を通るときにいつも目で追ってしまう男の子がいた。サッカー部のエースで、いつも皆の中心にいた哲也だった。

部室前で軽口をたたくのが日課になり、告白されて付き合うことになった。県内でも有名な進学校だったが、部活や行事が盛んだったので、楽しい高校生活を送った。

高校3年生になり、受験大学を決める時期になった。絵理奈は慶應、哲也は早稲田が第一志望だった。絵理奈の父親は慶應出身で、大学時代の人脈を仕事に活かしている姿を見て育った。第一志望は慶應、自然とそう決めた。

結果、絵理奈は慶應に合格。彼は早稲田に落ちて、明治に進学することになった。バンカラな雰囲気の高校だったので、明治に行く人は多かった。

「俺は慶應ってガラじゃない」

そう言いながら、早稲田を片っ端から受けていた。そんな幼稚なプライド捨てて、慶應も受ければいいのに。喉まで出かかった言葉を引っ込めた。

年上の男性とのコンラッド東京での一夜。黄色のアヒルしか知らない自分にはもう戻れない?


大学は別々になってしまったが、2人の仲に大きな変化はなかった。海外旅行やバイトに明け暮れていたら、あっという間に就職活動が始まった。

リーマンショック後の就活は苦戦したが、2人とも無事に内定が出た。絵理奈は大手人材会社、哲也は中堅の電機メーカー。彼の最終面接の結果が出たときは一緒にいた。大手町のスタバで鳴ったiPhone。電話を切った瞬間、ハイタッチして喜んだ。

就職したてに迎えた誕生日、麻布十番の『ヒルトップカシータ』を予約してくれた。屋上で食べたコース料理の最後のデザート。4月上旬の少し肌寒い日だったが、綺麗な夜景に感激して全く気にならなかった。

今年はちょっと奮発した、と照れくさそうにネックレスを渡された。長い付き合いだが、アクセサリーをもらうのは初めてだった。目の前の東京タワーを見ながら、この人とずっと一緒にいたいと心から思った。

社会人になっても安定した付き合いが続き、結婚の話も出始めたとき、絵理奈は大学のゼミのOB会で魅力的なある男性に出会った。

その男性は、40歳でバツイチの独身。外資系の投資銀行でトレーダーをしていた。完璧に鍛えあげられた体と年齢を感じさせない若々しい笑顔。NYに5年ほど赴任しており、最近帰国したらしい。

26歳だった絵理奈はその頃面白いくらいにモテており、彼氏がいると言っても様々な男性からのアプローチがあった。しかし、彼ほど魅力がある男性はいなかった。お互いの連絡先を交換し、頻繁に会うようになった。

海外出張に行くたびに贈られるブランドのバッグやアクセサリー。知り合いにツテがあるから、と予約困難なレストランにもすぐ行ける。年上の彼の手品のようなデートに魅了され、その出会いから1ヶ月後。悩んだ末に哲也に別れを告げた。

彼とのデートで印象的だったのは、クリスマスに行ったコンラッドだった。バラの花びらが浮いていた浴槽。しかし、バラより心を奪われたのは、豪華な浴槽にぷかぷかと浮かぶ2匹のモノクロのアヒルだった。大人の遊び心を感じさせるセンスに感激した。

黄色のアヒルしか知らない自分には戻れない、そんな気がした。

【学歴カレンダー】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ