僕らの世代の東京ソング Vol.1

僕らの世代の東京ソング:アラフォーに捧ぐ'87~'96の東京ソング特集

「世代の音楽」とは、人生でもっとも感受性が豊かで多感な時期、つまりその世代が「中学生から高校生までの間に触れた音楽」である。

アラフォーとは、40歳を境として前後2歳、38歳~42歳くらいまでの人たち。
今日は、彼らが中高生だったころ、'87~'96までの「東京」をテーマにした歌をピックアップして、当時の時代背景を考察しよう。



アラフォーに見る音楽的特徴

実はこの世代は、音楽的には「谷間の世代」。

この頃はまだ「R&B」なる言葉もなく、ヒップホップなどはMCハマーくらい。
マイケルジャクソンやボンジョビに代表される、海外で吹き荒れた80年代の産業ロック全盛期は完全に終わりかけ。

90年代中期からのミスチルに代表されるお洒落ミュージックや、96年頃に全盛期を迎える小室ファミリーも、微妙に高校生活を終えた時期のものであり、思い入れは意外と少ない。

さらには、宇多田ヒカルが鮮烈なデビューを飾った98年には、既に社会人生活スタートで、音楽など聞いていられない、もっとも余裕の無い時期を過ごしているのだ。

だがしかし!
世の音楽が、フォーマットを模索してどんどんと変わっていく様をリアルタイムに最も体感した世代とも言え、ゆえに音楽的な許容範囲が非常に広いのがこの世代の特徴ともいえる。

それでは、彼らが中高生時代に愛した「東京」をテーマにした楽曲を一挙にプレイバック!!

カルアミルク ~岡村靖幸~

1990年12月1日発売

「勉強なんかやめてさ 六本木で会おうよ」

稀代の天才、岡村靖幸の奇跡のアルバム「家庭教師」に収められたナンバー。

六本木で飲むなんていう事が果てしなく大人な世界に思えた当時のアラフォーにとって、この部分を歌うだけで大人な気分に浸れた青春ソングである。

最近では、大ヒット映画「モテキ」でも利用されたことから、存在を知った若いファンも多いはず。

当時「和製プリンス」とも称されたそのあまりに独特で鬱屈した世界観に、決して「クラス中の皆が大好き」という存在ではなかったが、逆に中毒に陥る思春期の若者が続出。

家のスピーカーでは後ろめたくて大音量で流せないエロティックな歌詞が「私だけの岡村ちゃん」感を増長し、「岡村好きはカラオケで岡村しか歌わないから面倒なので呼ばれない」という現象を巻き起こした。

2011年の大復活アルバム「エチケット(ピンク)」にも極上のライブバージョンが収録されており、当時より声に艶気を増した渾身のパフォーマンスが堪能できる。


80年代当時、尾崎豊、吉川晃司、岡村靖幸の3人は大の仲良しでしょっちゅう六本木で飲んでいたんだそう。皆高校を出てすぐに大スターになった同い年の3人。
そして25年を経て、尾崎は伝説になり、吉川はロマンスグレーの似合う財前部長に、岡村は数度の服役を経て、未だ自身の追求する音楽に熱中。

現代でも、作詞作曲・アレンジをこなし、これだけピンで歌って踊れる彼を超えるアーティストがいるだろうか?

現在全国ツアー真っ最中。充電期間が長かった分「枯れていない本物の天才」を生で目撃するチャンスは、今だ。

最新ツアー情報はこちら

動画:カルアミルク 【エチケット(ピンク)】

==23歳当時の岡村靖幸インタビューより==

「僕は昭和40年生まれですけど、それより上の世代と下の世代じゃ全然違うと思う。
はっきり言って、僕を含めた下の世代は、上の世代より情けないというか。
でもこれは、僕らだけの問題じゃなく、世の中の問題でもあるんじゃないかな。

だって今は、レンタルビデオがあって、ファミコンがあって、コンビニエンスストアがあって、
楽しみたい、という欲望が全部家で叶うようになっちゃったから。
苦労してでも何かを手に入れるということが難しくなってきていると思う」

ー 時代は巡るのである。

それでは、怒涛のアラフォー世代ソングを一緒にバンバン紐解いていこう。

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