1月28日(木) AM10:00
「実は私、今日初めてスターフライヤーに乗って、福岡入りしたんです。」
冒頭、恵介は今朝体験したことから切り出した。
まず、スターフライヤーのブラックの美しい機体について触れ、フォトジェニックであることがSNSを前提としたマーケティングにおいてどれくらい重要になっているかという話を説いた。
その後に機内で目にした光景、過ごした快適な時間など、今朝の素晴らしい体験を基に、デザインだけではなく、ユーザー体験まで一貫してクオリティが担保されることこそが継続的なマーケティングになりうるということを力説した。
もちろん、クライアントもよく利用し、愛着を持っている地元の航空会社の話題であれば、なじみもあり共感を得やすいだろうという狙いもある。ただ、商談において意味のない会話など一つもない。詰将棋のように一つずつ駒を配置し、提案の意図が正しく伝わるように会話を重ねることが重要だ。
阿吽の呼吸で理沙がプレゼンの本編スライドを開始する。
「本日のご提案の骨子はこの3点です」
1月28日(木) PM17:30
その日の午後は、久々の福岡出張ということもあり、日頃挨拶に行けない地元の得意先に挨拶に回った。
18:00からはクライアントからの食事のお誘いを受けている。少し早いが博多の街へ向かい、午後の行脚の疲れを持ちこまないよう、喫茶店に入り束の間の休憩を取ることにした。
「それにしても、今日の飛沢さんのプレゼン、完璧でしたね~。その場でGOがでるなんて、ほんとなかなか無いですよ!しかも昨日遅くまで飲んでたのに」
「いやいや、理沙ちゃんが手配した飛行機のおかげだよ。って、なんで飲んでたの知ってるの?」
「だってあの空港ついたときの死にそうな顔!」
1月28日(木) PM19:50
酒席では、先方のキーマンから今日のプレゼン内容への期待をあらためて寄せられた。福岡の街の魅力を説かれたり、時にいじられたり、と良き関係を築ける確信を持つこともできた。
ただ、宴の席は大いに盛り上がりを見せているが、明日は9:00から月末の全社営業会議を控えており、今日に残された時間は少ない。
理沙に確認を入れる。「最終便の時間、そろそろ出ないとまずいよな。」
悪戯っぽい表情を浮かべながら理沙が答えた。
「私、裏ワザ知ってますけど笑」
理沙が言うには、朝3:20天神発のバスに乗れば、北九州空港を経由し、羽田に7:00に着けるらしい。
これは恵介にとって願ってもない提案だった。今日の勝利の美酒を味わうには少し物足りないと思っていたのだ。
先ほど教えてもらった屋台にも今から行けると思うと、テンションが一気に上がる。
— よし。今日は福岡の街を満喫することに決めた! —
……
この後、すっかり意気投合した先方の担当が、3軒目の屋台まで付き合ってくれることとなった。結局2時過ぎまで飲むことになるのだが、九州男児の夜の勢いを甘く見ていたのはここだけの話だ。
1月29日(金) AM03:20
「天神」から北九州空港行きのリムジンバスに乗り込む。福岡の街をたっぷりと満喫することができたのも、理沙の情報網のおかげである。
出発のアナウンスを聞きながら、この1日を振り返る。思えば別の会食で飲んでいた24時間とちょっと前の状況から考えると、なんともドラマティックな1日であった。
提案したプランが本格的に始動すれば、早ければ2週間後には、また理沙とラフデザインを抱えて福岡に行くことになるだろう。
いつもであれば、億劫になりがちな出張だが、バスの窓に映る自分の表情は、何かが楽しみで仕方がないような笑顔であることに気づいた。
バスが揺れ出すと、充実感と共に、恵介はあっという間に眠りに落ちた。4時50分、北九州空港に到着。すぐさま、5時30分発のスターフライヤー始発便(SFJ70便)に搭乗し羽田に向かう。
帰りの機内では、この後の会議に向けて休息に充てることにした。例の革張りのゆったりしたシートに身を埋め、成果を報告できる喜びを噛みしめながら、再び心地よい眠りについた。
※電子書籍の閲覧は一部機材のみとなります。
できるビジネスパーソンは知っている。7年連続顧客満足度No.1の空の便はこちら。
http://www.starflyer.jp/index.html