スペイン人親子シェフに聞いた「ここが変だよ日本のバル」

自由な空気感と心地よさで昨今急増するバル業態。が、しかし。「なんちゃって」疑惑の店も多々あるのも事実。
混沌の日本のバル界に一家言、日本で本物のバルを営むスパニッシュの親子鷹がモノ申す!
「日本のスペインバルは、このままでいいのか?」という2人の熱い思いが高まりをみせ、トークは予想以上に白熱した展開を見せた。

左.ビセンテ・ガルシア氏。1948年スペイン、トレド出身。青山『エル・カステリャーノ』オーナー。1977年に青山に同店を構え、伝統的なスペイン郷土の味を伝え続ける。 右.ビクトル・ガルシア。1982年東京都出身。代官山『アロセリアサルイアモール』オーナー。約7年間父が経営する店に勤務後、2012年に自身の店をオープンする。

そもそもここが間違い
スペインバルは一過性のブームではない

【父・ビセンテ】この数年、一気にバルが増えたけど、頭にくることが多いね!

【息子・ビクトル】早速始まった!確かに、注目されて人気が出るのはいいことだけど「なぜスペインバルを語っているんだろう」って疑問に思う店まで増えた気がするね。

【父・ビセンテ】内装ばっかり立派で気持ちがない店が多すぎる。

『エル・カステリャーノ』の「タラのバスク風」

【息子・ビクトル】スペインバルっていうのは、一時のブームや繁盛店をつくるためのヒットコンセプトじゃないんだよ。バルという名の店を作る人って、何かスペインに強烈に惹かれた経験があると思うんだけど、だったら自分の100%でそのときの感動を伝える努力をしてほしいよね。

【父・ビセンテ】メディアだって信用できない。気持ちをこめて努力している店をしっかり吟味して紹介しなさい!いい?これちゃんと書くんだよ!(取材スタッフにも喝!)お金さえ掛ければ見た目の良い店なんて誰でも作れる。

【息子・ビクトル】まず、食文化へのリスペクトがない店は論外。バルとして認められない!

『エル・カステリャーノ』の「牛の尾の煮込み」

食文化の意味すら変える「なんちゃって」の大罪

【父・ビセンテ】そもそも、スペインバルとは何かをわかっていないのに、バルを名乗っている店が多過ぎるよ。
生ハムを置けばいいってもんじゃない、オブジェじゃないんだからね。

【息子・ビクトル】その通り!切り方ひとつで口溶けも変わるんだから、まともに切れないなら置かない方がいい。
バルは、スペイン人にとっては「日常」。居酒屋とコンビニ、カフェを全部足したような……。お酒を飲むだけじゃなく、電話を借りに寄ったり、10分時間が空いたらスロットやってみたり。

【父・ビセンテ】まずはパンから始めるよ!パンが大事!例えば、「ガンバス・アル・アヒージョ」(海老のニンニクオイル煮)。あれはオイルをパンにつけて食べると美味しいのではなく、パンと一緒じゃないと成立しない料理なんだよ。それなのに、パンを出さない店がある。
アヒージョだけじゃ、単に脂っこくて塩っ辛いだけの料理になってしまう。
せめて、「パンはどうします?」ぐらいは聞くべき!

【息子・ビクトル】完全に伝え方を間違ってる!それで食文化の意味まで変わってしまうことが悲しいし、悔しい!パンはスペインの主食。日本人にとっては不思議かもしれないけど、パエリアだってパンと一緒に食べる。オーダーしなくても、一緒に出てきて当然なんだ。主食の扱い方を理解していないなら、バルを名乗る資格はない。

【父・ビセンテ】以前ある店でパンを注文したら、「後に出る料理についてます」って言われたんだよ。僕は今、欲しいのに。料理が美味しくても、パンがなければ何の意味もない!

【息子・ビクトル】「パンの出し方がわかっている」ことが、まずは必須!

『アロセリア サル イ アモール』名物の「ウサギとキノコのカルデロ」

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