付き合い始めたばかりの彼女に次の連休、近場で美味しいものを食べようか、と提案したら、長文で横浜の店リストが届いた。
いつになく積極的な行動に驚きつつ、見てみると「安くて旨い店」がズラリ。横浜出身の彼女が言っていた、「安くて美味しい、が横浜のスタンダードだよ」という台詞を思い出す。
ファインダイニングを食べ歩くのが好きな彼女にしては意外だったから。
思わず電話をすれば、饒舌に語る熱量に二度びっくり。安くて旨いを分かち合うこの横浜旅でふたりの関係がもっと親密になる予感がした。
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1.原価率50%の松阪牛と聞けば、色めき立たずにいられない
『つる屋』@関内
「松阪牛のイチボは甘い!」。部位を食べ比べて驚く、肉の王者のポテンシャル
23年前、会社を辞めて49歳で『つる屋』を開業した石山永徳さん。大胆に聞こえるが、母が三重で1952年から焼肉店を営んでいたためだ。
松阪牛を一頭買いできるつてもあり、仕入れ先は「日本一飼育が上手」と話す中尾畜産。それをきっぷ良く原価率50%で提供する姿勢こそ“安くて旨い”の真骨頂だ。
まずは松阪牛の盛り合わせを。希少部位を含むその日の4種が、注文が入ってから手切りされる。
七輪で焼いて口にすれば、甘く口溶けの良い松阪牛の脂が広がり、さっと消える。
最高級部位の「ヒレ」¥6,600。高品質な松阪牛がこの価格なことに驚く。
きめ細やかな赤身肉の「シンシン」¥3,300。
黒毛和牛の「ミノ」¥1,430。
鮮度の良いホルモン系はすべてなんの雑味もなく、健やかな食べ心地。
肉の余韻で飲む三重の日本酒やピュアな味わいの黒毛和牛ホルモンの注文もお忘れなく。
最高級肉を信じられない良心価格で堪能できる満足感と下町風情に魅了され、東京から片道わずか30分という近さも相まって、すぐに次回の来店計画を練るはずだ。
― 店主に聞いた!横浜デート ―
「中華街もいいですが、地元密着の町中華でローカルを満喫するのもオススメ。うちのはす向かいにある『元宝楼』は手頃で美味しく麻婆豆腐がオススメです」
2.横浜マダムもハマトラ嬢も。この店を知らぬハマ美女はいない!
『Le Petit Courageux』@石川町
「7品¥5,000」コースの愉悦がある
靴の「ミハマ」、バッグの「キタムラ」など、横浜発祥の老舗ブランドの本店が建ち並ぶ「元町ショッピングストリート」。
その1本裏手に店を構える『ル プティ クラージュ』は、感度の高い横浜女子が集う“街フレンチ”だ。
だが、カジュアルとはいえ、オーナーシェフの和田政克さんはコース構成やワインも「日本人の舌に合わせてアレンジするのではなく、フランス人が食べてもフランス料理であること」を徹底。
結果、2015年にはミシュラン調査員オススメの店にも選出された。
コースはアミューズ2品、前菜、メイン、デザート、小菓子まで。
これを目当てに通う常連客もいるという「自家製サーモンマリネ」(+¥600)。
甘みと歯応えをしっかりと感じられる厚切りが贅沢。
全7品が税込で¥5,000という値段設定も驚きだが、前菜とメインは5種以上のプリフィックスでスタンバイし、選ぶ楽しさがあるのも嬉しい。
気軽なフレンチディナーが叶う良店だ。
― 店主に聞いた!近所の2軒目 ―
「営業後に店のスタッフと訪れる『杵屋 WINE&TAPAS』。どっしりした木のカウンター、レコードがかかりセンスがいい。〆のパスタなど食事も充実しています」
3.ふぐと鯨、どじょうに鰻で酒を飲む。これぞ大衆酒場の最高峰!
『信濃屋』@阪東橋
横浜の文化遺産「市民酒場」は天国だ!
1944年頃から戦後にかけて、横浜では人々の心の拠り所として、市民酒場と呼ばれる横浜独自の大衆酒場の組合が発足した。
時代の変化や後継者問題で次々に閉業する中、変わらずの安さと旨さで地元で愛され続けているのが『信濃屋』だ。
創業は大正12〜13年の頃。現在は、三代目の小林市郎さん・克次さん兄弟、母の美恵子さん、弟妻の三保子さんが中心となり切り盛りする店の名物は、ふぐと鰻とどじょう鍋。
埋立地になる前の本牧沖ではドラム缶いっぱいの正才ふぐが揚がったことから、それを売りにする店が多くあったという。
「どぜうなべ」¥1,100。どじょうやごぼうなどを卵でとじた名物料理。
甘じょっぱい割下に郷愁がそそられる。どじょうを丸ごと煮た「丸煮鍋」も用意。
色艶の良い天然とらふぐは刺身や鍋で、香ばしい鰻は串焼きや蒲焼で。
ふぐをつまみ、さくっとうな重(¥3,980)で〆る常連さんも多い。
もちろん、樽酒が進む一品料理もすべて手頃な市民価格。
老舗の名酒場には、「旨いものを安く」というハマの心が息付いている。
― 店主に聞いた!横浜デート ―
「肩肘張らない横浜らしい気軽なデートなら、野毛周辺を散策しながら気になる店へ。伊勢佐木町の『つかさ鮨』はネタの鮮度が抜群、種類も豊富です」
4.午前中から朝5時まで、熱気が渦巻く異世界のような酒場を楽しむ
『今村商店、』@横浜
西口イチアツい令和のセンベロ!
“安旨酒場”の激戦区、横浜駅西口。無数にある選択肢の中で、いざどこに腰を落ち着けるかとなれば、それは当然、酒飲みのワガママをどれだけ叶えてくれるかが基準となる。
その点、人気店『今村商店、』は、150種以上のメニューほとんどが数百円台という驚異的なハイコスパ。
肝心の料理の味も備長炭で焼く串焼きを筆頭に、刺身の鮮魚は店でさばき、つまみも手作りにこだわるなど一切の妥協を許さないクオリティ。
「安く旨いものを楽しみたい」という呑ん兵衛の心を完璧に満たしてくれるのだ。
鉄板から香るケチャップの匂いが堪らない「昭和のナポリタン」¥768。
常連人気No.1の「作りたてポテトサラダ」¥438。
炭水化物メニューも充実しており、鶏ガラと魚介の出汁をブレンドした「白ラーメン」(¥988)は宴の〆に最適。
さらに駅徒歩3分、昼のハッピーアワー、朝まで営業と全方位で高スペック。昭和歌謡が流れる店内は、懐かしさ漂う大衆居酒屋の雰囲気そのもの。
その安旨に魅せられ、時間ごとに移り変わる客層が、横浜市民に愛される店であると物語る。
― 料理長に聞いた!近所の2軒目 ―
「和と洋、趣向を変えてのハシゴなら、同じく朝5時まで営業するスペイン料理の『BelloBello』がオススメ。1軒目と2軒目が逆でも楽しいと思います」
5.何を食べてもしみじみ旨い。こんな店があるから横浜に帰ってきたくなる
『たらふくちゃん』@関内
たらふく食べて飲む呑ん兵衛が集う
ハマスタ近くの路地裏で暖簾を掲げる『たらふくちゃん』。
酒場の激戦区にありながら、創業20年目を迎える今も連日満席の人気居酒屋だ。
角煮、あげ浸し、マカロニサラダといった、酒場好きをそそるツマミはほぼ数百円台で、どれもしみじみ味わいたくなる美味しさ。
その理由は、平飼いたまごを使っていたり、長時間鍋でコトコトと煮込んだりと、素材にこだわり、ひと手間かけて作っているから。
小サイズのメニューもあり、あれこれつまみたい欲張りな胃袋も満足できる。
大ぶりでジューシーな旨みの「自家製しゅうまい」(7個¥780)は、必ず頼みたい看板メニュー。
中央卸売市場や三崎から仕入れる鮮魚も充実し、こちらも¥1,000前後の破格。
カジュアルに家庭料理を堪能できる酒好きにはたまらない一軒だ。
大人が普段使いしたい“いい店”とは、今夜も食べたくなる家庭料理が庶民価格でそろうこんな店なのである。
― 店主の奥様に聞いた!横浜デート ―
「伊勢佐木町の『エイトセンタービル』は知る人ぞ知るレトロスポット。小箱のバーや酒場を巡り、東京にはない、横浜随一のディープな雰囲気を楽しんで!」
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