~和太鼓のあり方は自由でいい。先人の思いを受け止めて未来を切り拓く~
海外にも広がる和太鼓。伊勢を太鼓の聖地にしたい
山部:拠点と言えば、最近では三重県の伊勢での活動にも力を入れています。
金丸:伊勢ですか。それはまたどうして?
山部:おかげ横丁や赤福創業者の濵田家の皆さんに以前からお世話になっていて。おかげ横丁には、真ん中に太鼓櫓(やぐら)があるんですよ。
金丸:ああ、そういえばありますよね。
山部:1992年におかげ横丁ができたときに、同時に太鼓のチームも結成されて、今も日々活動を続けています。それに、30年続いている太鼓のイベントもあって、「神恩感謝日本太鼓祭」(開始当初は「おかげ横丁 太鼓芸能祭『とことんどんどこ』」)というお祭りに、全国から多くの太鼓チームが集まるんですよ。私は16歳のときに初めてに参加して、2021年からは企画と監修を務めています。
金丸:そうだったんですか。濵田さんたちとは面識がありますが、こうした活動は知りませんでした。
山部:昔からお伊勢参りで来た旅人たちを、伊勢の人たちが伊勢音頭でもてなしていたそうです。だから伊勢音頭は「荷物にならないお土産」と言われていたとか。
金丸:確か、みんなが伊勢音頭をお土産として持ち帰ったから、全国にバリエーションが残っているんですよね。
山部:そうです。そして「今度は太鼓を振る舞いたい」という思いから、太鼓櫓を作ったそうです。そういったストーリーがあり、私自身がお世話になっていることから、伊勢を太鼓の聖地にしたいなと去年から始めたのが、「伊勢太鼓ギャザリング」です。年に1回、世界中の太鼓の愛好家と日本の奏者が伊勢に集まり、カンファレンスをして、フェスティバルをやって、それを伊勢神宮へ奉納するという。
金丸:それはいいですね。1回目はどんな反応でしたか?
山部:ものすごい熱量でした。海外の愛好家たちにとっては、良い先生や奏者がたくさんいる環境が当たり前ではありません。だから1週間を有意義なものにしようと、全力で吸収しようとする。太鼓だけじゃなくて、日本の文化を丸ごと持って帰ろうという姿勢で、日本人より熱心なくらいでしたね。
金丸:日本人の方が、日本にあるものの価値に気付いていない。これはすべてのジャンルで言えることです。ところで、海外にも和太鼓の愛好家や奏者がそんなにいるんですね。
山部:おそらく日本の楽器の中でも、和太鼓が一番世界に広がっているのではないでしょうか。ヨーロッパにも200以上の太鼓チームがありますし、ベルギーだけでも50数チームもあるんですよ。
金丸:えっ、そんなに!?1チーム何人くらいなんですか?
山部:5人とか10人とかです。向こうにもスクールがあって、生徒が200人以上いるそうです。
金丸:そんな状況だと、いずれ国外のほうが太鼓が盛んになりそうですね。
山部:円安もあって、世界中にいる愛好家が長期のバカンスで日本に来て、北海道から九州まで各地の先生に習いにいくという動きもあります。だからこそ、みんなに伊勢に集まってほしいと、ギャザリングを企画しました。




