SPECIAL TALK Vol.142

~和太鼓のあり方は自由でいい。先人の思いを受け止めて未来を切り拓く~

令和のニューリーダーたちに告ぐ


五木ひろしや坂本冬美など演歌の大御所から、きゃりーぱみゅぱみゅやSPYAIRといった若手ミュージシャンとの共演、さらには世界30ヶ国・500万人を動員したショーへの参加。

太鼓演奏家の山部泰嗣氏はジャンルの壁を軽々と越え、唯一無二の存在感を放ち続けている。

私たちが一般に見る和太鼓のアンサンブル演奏は、戦後に生まれたものであり、和太鼓はほかの和楽器と比べると、「歴史が浅い」といわれる。しかし山部氏は「だからこそ、先人たちから直接教えてもらうことができた」と話す。

近年は奏者としてだけでなく、作曲や演出にも取り組み、和太鼓の世界を広げるべく活動しているトップランナーが、和太鼓の今とこれからを語り尽くす。

山部泰嗣氏 1988年岡山県倉敷市生まれ。父親の叩く太鼓と母親の弾くピアノを聴き育つ。3歳から太鼓に親しみ、6歳で初舞台に立つ。2004年「東京国際和太鼓コンテスト 大太鼓部門」に出場し、16歳にして史上最年少で最優秀賞を受賞。「50年に一度の逸材」と注目される。独特のリズムセンス、卓越した技術力とバランス感覚を特徴とし、演奏者として唯一無二の存在感を放つ。活動は太鼓界に留まることなく、さまざまなアーティストとの競演も精力的に行っている。太鼓をはじめとする邦楽曲の作曲も手掛け、演奏活動のほか演出を担当するなど、創作者としての幅を広げている。12月11日にはNHK大阪ホールにて山部泰嗣コンサート「パンタレイ」を開催予定。



金丸:本日は太鼓演奏家の山部泰嗣さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。

山部:こちらこそ、お招きいただき光栄です。

金丸:今日の対談の舞台は六本木ヒルズの『御料理 無窮』です。店主の五十嵐庄大朗さんは老舗日本料理店の5代目という地位に安住することなく、各地の名店で修業をされて、昨年秋にこちらをオープンされました。

山部:料理もとても楽しみです。

金丸:さて、この対談では、これまでにも尺八奏者の田辺しおりさんや箏曲家のLEOさんといった、和楽器奏者の方に登場いただいています。

山部:おふたりともよく知っています。

金丸:山部さんは太鼓演奏家ということですが、太鼓も和楽器の一種ですよね。

山部:そうなんですが、実は和太鼓って、肩身が狭いんですよ。和楽器の中ではお琴と尺八がトップで、津軽三味線と太鼓は……。

金丸:それはひょっとして、歴史の長さに関係していますか?

山部:まさに。太鼓は楽器としての歴史は相当長いのですが、「芸能や音楽として舞台でやりだして50年だよね」と言われるんです。それに音が大きくて、主張が強すぎるから、なかなか演奏の仲間に入れてもらいにくいこともあり。

金丸:でも、私が最近行ったクラシックのコンサートでは、和太鼓が取り入れられていましたよ。

山部:先人の努力が認められてきたからですね。成功例があるから「太鼓を取り入れてみよう」という人が出てくる。もっともっと積み重ねていかないと、「太鼓がいるのが当たり前」にはなりません。今、そういう意味では勝負の時期かもしれません。

金丸:和太鼓の演奏を見ていていいなと思うのが、音だけじゃなくて、ビジュアルもいいじゃないですか。体の動きも含めて「見せる音楽」のように感じます。

山部:確かに。身体表現が音楽にあそこまでリンクしているのは、世界の中でも太鼓ぐらいかもしれない。一般の人にとっては、迫力やビジュアルが先行していたところもあるかと思います。

金丸:早速興味深いお話になりましたが、今日は山部さんの生い立ちから今に至るまで、そして和太鼓のこれからについてじっくりとお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

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