「…真逆?」
「あ、もちろん、悪い意味じゃなくて…うーん……てか、これもう電話でする話じゃなくない?」
「ともみさん、タフクキでしょ?」とルビーとともみ、そしてミチが時々…という、3人しか使わない店の略称で確認すると、今から向かうね、20分で着くからと、ともみの意思を確認しないまま、本当に20分で到着した。
朝からジムとネイルサロンに行っていたという休日のルビーは、濃いブラウンのタンクトップにタイトなジーンズ、ネイビーのキャップをかぶってやってきた。ノーメイクで休日モードのルビーは一気にあどけなくなる。
「ともみさんの分まで買ってきたよん」と、骨董通りのバーガーショップの袋を掲げたルビーは、人は誰もが自分と同じく、美味しいものならいつでも食べられると信じて疑わないのだが、袋の中には、アボカドチーズバーガーを2つと、2人とは思えぬ大量のフライドポテトが入っていた。
ともみは、昼食代わりにソイラテのグランデを飲んでしまいお腹が空いていないということは言わずに立ち上がり、何か飲む?と聞いた。
「ビールでもいい?」
「いいけど…珍しいね、ルビーが昼から飲みたいなんて」
ルビーは見かけによらず…と言えば失礼だが、アルコールを好んで頼むタイプではない。みんなと騒ぐのは好きだと飲んでいる様子を見ると酒に弱いというわけではないようだけど、そもそも「酒より食!」がモットーで、アルコールでお腹が膨らむことで食べられる量が減るのがイヤらしい。
「え~だって、今日めっちゃ天気いいし、バーガーとビールって最高じゃん」
7月初旬の青い夏日が差し込む天窓を指さしながら、ルビーは、いそいそと皿を選んでいる。ハンバーガーなんだからそのままでもいいのに、ルビーは、どんな食べ物にも敬意を払うのだと、そこにある中からベストな器を選び、丁寧に盛り付ける。
今日は、光江のお気に入りの作家が作った、ウォールナットの木目が美しいプレートを選んだようだ。その上に油を吸い取る茶色のペーパーを敷き、細切りのフライドポテトを盛りつけ終わったルビーが、席にプレートを運びながら、「ごめん、やっぱり、ウソ」といたずらっ子のように笑った。
「ウソ?」
「うん。天気が良いから飲みたいのもほんとだけど、ちょっとだけ、ウソ言った」
ルビーが飲みたい気分ならば、とビール用のうす張りの小グラスではなく、木村グラスの15オンスのワイングラスに生ビールを注いでいたともみに、ルビーは、えへっと、舌を出した。
「アタシ、失恋したんだ。だからここんとこずーっと飲みたい気分なの。ともみさんも見たでしょ、私とミチ兄が抱き合ってたとこ」




この記事へのコメント
ルビーの明るさとか性格の良さとか人を見る目とか…全部まとめて好きだからミチとの事やお母さんとの関係含めて応援したい!
ミチとともみお似合いなんだけどルビーに幸せになって欲しいのでルビーがんばれ