基本的には碁盤の目状に広がる銀座の街。そこには中央通りや並木通りなど、誰もが知る華やかな道が数多くあるが、密かに共存するのが細い路地だ。
幾度の区画整理があってもなお残る昔からの道であり、ミステリアスな気配に吸い込まれて歩けば、並ぶ店は軒並みディープ。
ここを制してこそ、真の“銀座ツウ”だ。
今回は、田中角栄が議員時代に走り抜けた【出世街道】と、新旧の店が息づく石畳を進む【三原小路】を紹介する。
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高級クラブの送迎車が連なる見番通りと並木通りを結ぶ「出世街道」。並木通りからの目印は、『ビストロカシュカシュ』のトリコロールの看板だ。進めばギャラリーもあり、アートが描かれたシャッターにも注目したい
金曜夜11時の銀座8丁目見番通り。高級クラブが入る2棟のビルの狭間で、夜の蝶が通りを背にして手を振る。並木通りへと抜ける裏路地の手前にて、帰路につく客を見送っているのだ。
人ふたりがすれ違うには配慮の必要があるほど狭い小道。明かりは十分だが足元のコンクリートには凹凸が多く、ヒールを履いた女性は通る際に注意が必要だろう。
裏路地でありながら、そこは栄光が響く「出世街道」と呼ばれている。由来はあの田中角栄。若き議員時代、角栄は銀座8丁目でよく食事をしていて、急に呼び出された際にこの路地を走り国会に向かっていたとか。
やがて総理大臣にまで上り詰めたのは、周知のこと。ここから国会までの道が末広がりに続く様子が出世を象徴することからも、呼び名が定着した。
並木通りには名だたるメゾンのブティックや高級ブランドの旗艦店が並び、街行く人々も含めて華やかな印象だが、それとは対照的に、出世街道はモノトーンの世界で、『小笹寿し』やおでんの『ぎんざ魁』、1909年創業の『渡邊木版美術画舗』など、実は大人を成熟させるような店ぞろい。
この辺りで遊び、裏路地を抜けて帰れば、将来の野望が素敵に膨らみそうだ。
1.老舗グランメゾンで磨いた技と温かな人柄に常連絶えぬビストロ
『ビストロカシュカシュ』
名店『アピシウス』で研鑽を重ねた斎木辰也シェフの『ビストロカシュカシュ』の料理は、シンプルな味付けと美しい盛り付けで思わずうっとり。
10種を超える旬の野菜と海鮮で作る「季節の野菜と魚介のサラダ」(¥3,300)は、さまざまな味わいと食感が楽しく、ワインが進むひと皿。
その潔さがワインの重厚さを際立たせ、ひとりでボトルを飲み干す客も少なくない。
店を構えて28年。店主の気さくな人柄も相まって、多くの人々で賑わっている。
2.極上肉や洋食の豊富なアテで、気ままに酔える大人のワインバー
『レガル』
扉の先には、落ち着いた重厚感が漂う大人の空間が広がる『レガル』。
炭火で火入れするA5黒毛和牛や豚、濃厚な旨みを持つ鳥羽産の牡蠣。
そしてそれらの味わいを引き立てるワインたち。さらにはナポリタンまで、贅沢な美食から普段の延長のメニューまでがそろう。
2階には個室もあり接待にも利用可。使い勝手抜群の隠れ家だ。
銀座4丁目の交差点から徒歩1分。絶えず賑わう中心地と至近距離にして、あづま通りと三原通りを結ぶ「三原小路」には、喧騒を忘れさせる静寂が漂う。
あづま通りの入り口に立ち目に入るのは「あづま稲荷大明神」。ついさっきまで交差点で最新のショーウインドーを見ていたのに、赤い鳥居のある小さなお社の出現に、狐につままれたような気持ちになる。
その神社こそ、通りの守り神。三原小路はかつて戦後復興を表す繁華街で、割烹や小料理屋が並んでいた。
しかし火災が頻繁に発生していたのでこの通りの歴史を調べたところ、前はお稲荷様が祀られていたと判明し、京都の伏見稲荷大社から分霊してお社が建てられた。
そんな通りは新旧の店が混在するのもひとつの個性。1949年創業の『治郎長』でふぐを味わう紳士と、2015年開業の『SUSHI B GINZA』でデートするカップルがすれ違うような小径なのだ。
綺麗に舗装された石畳が時代を繋ぐ。そして三原通りに出て左に曲がり、集合看板の先を進めば、そこは袋小路。予約困難な焼肉店を抜ければ、NY風情のビストロがさりげなく佇む。
穴子の蒲焼の香ばしい香りを感じると同時にビル裏手に突き当たる。銀座の迷宮は食指まで動かすのだ。
3.骨太な料理をアラカルトで。洒脱に満たされるビストロ
『グラマシーテーブル』
袋小路を奥へ進むと、古き良き長屋の1階に洒落たビストロ『グラマシーテーブル』が現れる。
NYのフレンチの名店などで修業したソムリエ・神谷和誠さんがオーナー。
フレンチの技法がベースのボリュームある料理をアラカルトで楽しめると評判だ。
中央の大テーブルでワインと共に堪能したい。
4.銀座鮨を貸し切りで堪能する大人の贅
『SUSHI B GINZA』
鮮度抜群の魚介はもとより、海苔、米、酢とどれも厳選した食材を使ったつまみと握りの数々。
銀座の喧騒とかけ離れた静謐な空間で、それらを堪能できるのは1日1組だけ。
大間などで獲れた本まぐろのほか、握り7貫つまみ6種ほどが提供されるコース¥30,000~。
大切な人との食事でも接待でも、贅沢に貸し切れる鮨店は、銀座ツウの人々にもあまり知られていない穴場的存在だ。
5.ビール泥棒な点心が名物。シンガポール発祥の中華酒場
『京華小吃(ジンホアシャオチー)』
龍の描かれた壁が目印で、『京華小吃』の店内は広い。
本店シンガポールで大人気の小籠包と餃子が名物で、小籠包は豚骨スープを練り込んだ豚肉を使い濃厚。
両側を皮で閉じず、三鮮(海鮮、豚肉、野菜)を包んだ餃子とタイガービールを合わせれば、そこはもう異国の地。
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