28fa180dbfae467b25776882c3401f

賢い大人は、予約困難店の姉妹店を狙う。今、注目の銀座の和食店『銀座 きた川』とは

銀座という街は一流のためにある。歴史や品格を伴う店はもちろん、全国からこの街で勝負をと職人たちが集ってくる。

飲食店においてはきら星のような店が並び、もはや手の届かない存在となった店も多々。

近い将来、銀座でそんな名店の仲間入りを果たすであろう『銀座 きた川』にフォーカスした。



東京カレンダーアプリ(iOSの方Androidの方)なら、発売中の月刊誌最新号の電子書籍がどこよりもお得に購入いただけます!また、この記事から1クリックで、レストラン予約サイト「グルカレ by 東京カレンダー」へ。すぐに店の予約ができます!

楽しんでもらいたい。その想いが溢れるコース

銀座一丁目『銀座 きた川』の内観

こぢんまりとしていながらも、白木のカウンターがすがすがしい店内は、いつも若々しい熱気と和やかな空気に包まれている。無駄な装飾を排し、すっきりとまとめた空間は、シンプルな中に品格を漂わせる


予約の取れない人気店『銀座 しのはら』の姉妹店として、2022年にオープンした『銀座 きた川』。

銀座一丁目『銀座 きた川』の武井氏、金城氏、北川氏、田中氏、山口氏

和気あいあいとした雰囲気は、ムードメーカーなスタッフの方々のチームワークによるもの。左から山口さん、田中さん、ご主人の北川さん、金城さん、武井さんの面々。平均年齢は30代後半。北川さんは、神戸出身の41歳。有馬のホテルからキャリアをスタート


すっきりとした白木のカウンターの向こうで笑顔を絶やさず客をもてなす北川一行さんは、篠原武将氏の右腕として『銀座 しのはら』を支えてきた実力派。

独り立ちしたこの店では、「しのはら」の流れをくみつつも独自のスタイルを貫いている。

まず、手渡された献立表を見て、その料理の多彩さに目を見張った。季節の汲み出しに始まるコースは、向付やお椀はもとより、鮨や小鍋、ご飯ものまで15品余りがずらりと並び、実に圧巻。

さりげないひとひねりが加えられたその一皿一皿からは、お客様に目いっぱい楽しんでもらいたいという熱い思いが伝わってくるようだ。その最たるものが“揚げ料理”だろう。

銀座一丁目『銀座 きた川』の調理風景

こちらはカウンター奥の客席から見た様子。まるで天ぷら店のように、カウンターに面する形で美しい天ぷら鍋が置かれる。北川さんが揚げ場を担当し、コースの随所で揚げの技術を堪能できる


元来、和食の要と言われる“椀刺し”に注力する料理人が多い中、北川さんはそれを踏まえた上で揚げ物に重点を置いている。

理由を聞けば、「この店を立ち上げる際、視野を広げるべく『銀座大石』をはじめ、『鮨 龍次郎』や『鮨なんば』などで研修させていただいたのですが、中でも静岡の『成生』で食した唯一無二の天ぷらに衝撃を受けた」のだとか。

ゆえに、コースにはさまざまな形で“揚げ”の調理法が取り入れられている。

銀座一丁目『銀座 きた川』の「天バラご飯」

コースの〆に出される「天バラご飯」。エビ、イカ、赤満願寺唐辛子にモロッコインゲン、牛蒡等々をバラバラに揚げ、胡麻と塩昆布と共にご飯と混ぜている


いわく「油の温度を自在に操ることで、焼きとは異なる素材の表情を引き出せる点が魅力」とのこと。

独特な揚げ方をした天だねをあえる〆の天バラご飯も、北川さんならではのスペシャリテだ。

食材や器使いを駆使し、自由闊達に四季を表現


「和食ならではの魅力といえば、やはり、季節感を感じる料理でしょう。旬の食材を扱うのはもちろん、器使いやあしらいなどで四季折々の風情を表現する。これは日本特有の文化だと思うんです」

こう語るのは北川さん。

銀座一丁目『銀座 きた川』の「八寸」

“しのはら”譲りのみやびな「八寸」。竹ザルに盛り込まれているのは、手前左から時計回りに「柿の白和え」「イチジクの胡麻餡掛け」「鱧の南蛮漬け」「すっぽん煮凝り」「鮎の有馬煮」「石垣豆腐」。中央の柚子釜は「新いくら」


その言葉どおり、数々の酒肴が竹ザルに盛りまれた八寸には色とりどりの落葉があしらわれ、錦秋の訪れを目と舌で楽しませてくれる。

和食の正統的なセオリーは大切ながらも、“揚げ料理”をテーマとする北川料理は、進取の気性に富んだ味わいが持ち味だ。

銀座一丁目『銀座 きた川』の「鮎の唐揚げ」

「鮎の唐揚げ」。鮎は長良川の天然もの。粉をつけてカラリと揚げ、燻製にしたキャビアをあしらっている


例えば鮎。旬の頃とは違って骨が硬くなった鮎は、揚げることで骨まで食べられるようになり、それと共に油で旨みも補われるという寸法だ。

また、お椀の鱧真薯は味わいにコクが出るよう一度揚げてから椀種にするなど“揚げ”の技法を調理過程の一工程として取り入れる手法も北川流。こうすることで食材の旨みの幅が広がり、味に抑揚が生まれる。

銀座一丁目『銀座 きた川』の「キャビアとうにの逸品」

豪華に盛り付けた「キャビアとうにの逸品」。下には、生湯葉と枝豆、更に白エビを忍ばせ、ジュレをかけてある。八寸とお椀の合間に出され、口をリセットしてくれる。プレゼンテーションにも高揚する


揚げ物が続いて重くならぬよう途中で箸休め的一品を挟むなど緩急をつけた流れも見事。

銀座一丁目『銀座 きた川』の「すっぽんの串焼き」

「すっぽんの串焼き」。すっぽんのすべての部位を使用し、生から火を入れ、独特の食感に仕上げる。料理は¥31,900のコースより


独自の視点で現今の和食に挑む期待の新星から目が離せない。

北川氏が薫陶を受けた3人のシェフが見る『銀座 きた川』の魅力

『成生』志村剛生氏より

~応援したくなるような人間力を持っている~

「魅力は人柄じゃないでしょうか。今でも折を見ては挨拶に来てくれるなど、すごく丁寧。多くの方が応援したくなるのも分かります。また、謙虚ゆえに学ぶ姿勢がありますね。それが彼独自の料理を生み出しているのだと思います」


『銀座大石』大石義一氏より

~チーム力の高さが抜群。季節ごとに通いたいお店です~

「大将の優しい人柄と何よりもチームとしてのレベルが高い。それぞれの得意とする天ぷらや鮨などの武器が集まったメニューと、“しのはら譲り”の季節感、日本料理の枠を超えた独創性のある構成になっていると思います」


『銀座 しのはら』篠原武将氏より

~柔軟な姿勢があるから、ここだけの料理がある~

「常に挑戦し続ける姿勢、ユニークな人柄、そしてスタッフたちの仕事に対する真摯な姿勢が魅力です。しのはら出身の料理人が大事にする『お客様に心から楽しんでいただきたい』という気持ちを忘れず、常に精進してほしいです」

銀座 きた川(銀座一丁目) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

▶このほか:銀座で息づく100年の老舗。天ぷらの天一、日本最初のビアホール、ジョン・レノンが通った喫茶店まで

東京カレンダー2025年12月号

さらに詳しく知りたい方は「銀座の表と裏」を今すぐ手に入れよう!

『東京カレンダー』2025年12月号は「銀座の表と裏」。東京最高峰の街の王道も深部も、今こそ知り尽くす!

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

東京カレンダー2026年1月号

月刊誌最新号「2025年、最強の新店」はこちらから!

今月の『東京カレンダー』は「2025年、最強の新店」。この一年のレストランシーンがこの一冊ですべてわかる!

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。