A869bce729f877dbbaba22cb5dcc83

料理と酒がとにかくうまい港区・西麻布の4軒。ソムリエが教える、美食家が通う名店

西麻布と聞けば、派手でギラギラした印象をもつ人が多い。しかし、昔から本質的な美酒・美食を知る大人たちが生息しているのも事実だ。

今回はそのひとり、長年この街になじみのある杉山明日香さんの案内で、1〜4丁目を紹介する。



東京カレンダーアプリ(iOSの方Androidの方)なら、発売中の月刊誌最新号の電子書籍がどこよりもお得に購入いただけます!また、この記事から1クリックで、レストラン予約サイト「グルカレ by 東京カレンダー」へ。すぐに店の予約ができます!

ナビゲートするのは……


ワイン研究家、唎酒師、理論物理学博士・杉山明日香さん

有名予備校の数学講師として講義を行う傍ら、ワインスクールでソムリエ資格試験対策講座を主宰。その後、ワインの輸入業に携わる。パリにある『ENYAA』をはじめとして飲食店もプロデュース。ワイン関連の著書多数。

西麻布「西麻布交差点」

六本木通りと外苑西通りが交わる西麻布交差点。角のアイスクリーム店『ホブソンズ』は創業40年、『権八 西麻布』は24年と老舗の域


この街が“西麻布”と呼ばれ始めたのは1967年から。元は住宅街で陸の孤島的存在。それがバブル期に入ると高級クラブや飲食店が急増。1991年に伝説的クラブ『イエロー』がオープン、2003年にはテレビ朝日が六本木ヒルズに移転したこともあって、“選ばれた人だけが集う街”“業界人の遊び場”という印象がついていった。

一方、華やかなエリアに美酒美食はつきもので、それを好む人は、本質的なものの良さを心得てこの街に集まってきた。

「西麻布は私が学生時代から家族や友人とお酒を楽しんでいた場所。いまも東京での暮らしはほぼ西麻布にあります」と話す、杉山明日香さんもそのひとり。

美食家たちの間で愛され今年18年目を迎えるワインバーや、自身の名前を冠するワインショップなど、西麻布には杉山さんが手掛ける店も点在し、その繋がりは深く、強固だ。

今回は「この街の良店を巡ったら、おのずと1〜4丁目まで全網羅してしまう」という彼女の案内で、“ツウな西麻布の夜”をご紹介する。

【1軒目/17:30 START】まずは西麻布3丁目のお蕎麦屋さん。美味しいおつまみとお蕎麦で泡と日本酒の両方が進みます
『蕎麦たじま』

広尾『蕎麦たじま』の外観

道路を挟めば南麻布という閑静なエリアに立地。オフホワイトの壁の向こうに石畳の小さなアプローチを設け、夜の雰囲気は艶やか。元蕎麦屋の建物を改築して2005年に開業


ハシゴ酒のスタートを飾るのは、西麻布3丁目のテレ朝通り沿いに居をかまえる『蕎麦たじま』

広尾『蕎麦たじま』の「白そいの昆布締め」

石川県の漁師から直送される魚を使い、刺身や昆布締めを提供。写真は「白そい(タヌキメバル)の昆布締め」¥1,750


同店の楽しみ方について、「店主の田島さんは和食の経験もあり、おつまみもとても美味しいです。それに合わせてシャンパーニュのハーフボトルで始めたら、続けてセンスのあるセレクトの日本酒をぐいぐい飲んでしまいます」と杉山さん。

広尾『蕎麦たじま』の「小海老のかき揚げ」


揚げ玉をのせて香ばしくまとめた「小海老のかき揚げ」¥1,200。

広尾『蕎麦たじま』のかけそば

北海道、茨城、栃木、福井の蕎麦を日毎にブレンド。提供の前日に石臼で挽き、当日朝に打つ。蕎麦の香りと出汁の香りが心地よく混じり合うかけそばは、つるっとした喉越しの良さも魅力のひとつ。¥800


蕎麦については、「お蕎麦が細めで私好み。お出汁も美味しいので、まずは一度かけ蕎麦を食べてもらいたいです」と称賛。

出汁にはむろ鯵節も使い、食通好みの上品な味わいとなっている。

蕎麦たじま(広尾) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

【2軒目/18:50】1丁目で深夜も賑わう一軒です。割烹着姿の女将に出迎えられ、料理とお酒が並び目移り必至
『飯処 角と』

六本木『飯処 角と』の提灯

六本木通りの反対側、霞坂沿いに店を構える。提灯が目印に


都会の夜を謳歌する人々の“整い場”といえば『テルマー湯 西麻布店』が有名だが、同じ1丁目エリアには、大人の胃袋をやさしく癒やす『飯処 角と』が。

六本木『飯処 角と』の内観

カウンターには何種類ものおばんざいが並ぶ


福岡出身の女将がつくるおばんざいや博多の名物料理が評判。

「同じ九州出身の妹分が営む居酒屋は、何を食べても美味しい。ワインや日本酒のセレクトもよく、マッコリもあるのでついつい飲みすぎてしまいます」と杉山さんにとっても、ひと息つける心の拠りどころになっている。

六本木『飯処 角と』の「おばんざい5種盛り」


「おばんざい5種盛り」¥2,800~。

茄子と鶏むね梅南蛮。ちくわ磯辺チーズ揚げ、蛸とジャガイモのピリ辛和え、福岡の醤油で炊いたぶり大根など、その日の品書きから好みで選ぶことができる。

六本木『飯処 角と』の「揚げ豚足」


「揚げ豚足」¥1,200。

タピオカ粉を加えた衣をまぶしてカリッ、ふわっとした食感に。

飯処 角と(六本木) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

【3軒目/19:55】2丁目の裏路地にある、まさに“大人の遊び場”!ワイン好きが多く通います
『goblin NISHIAZABU』

乃木坂『goblin NISHIAZABU』の内観

大きなカウンターが鎮座した、重厚感のある店内


食前や食後にちょっと一杯でも、料理とともにしっかりでも。

個性豊かなバーが軒を連ねる西麻布2丁目界隈で筋金入りのワイン好きの心を満たしているのが、杉山さんがオーナーを務める『goblin NISHIAZABU』だ。

乃木坂『goblin NISHIAZABU』の「黒毛和牛の欧風カレー」、「ゴブリンの特製ぬか漬け」

「黒毛和牛の欧風カレー」¥2,600。フォンから仕込む深みのある味わい。「ゴブリンの特製ぬか漬け」(¥800)も常連客のファンが多数


「手前みそで恐縮ですが(笑)、ワインも料理も美味しい大人の遊び場がテーマ。おひとり様はもちろんのこと、個室もあるので人数が多めの会食にも」

乃木坂『goblin NISHIAZABU』で提供しているワイン

杉山さんがセレクトしたワインは¥7,000台から用意。自社輸入のRMシャンパーニュなども人気。杉山さんも「店に来たらまずシャンパーニュ」だとか


自らも通いたくなる店には、上質なワインのように成熟した時間が流れている。

goblin NISHIAZABU(乃木坂) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

【4軒目/21:15】飲食店激戦区の4丁目。店を盛り上げるスタッフの明るさも魅力のひとつ!
『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』

六本木『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』の外観

大きなガラス窓越しにも店内の楽しげな雰囲気が伝わる。ゴールデンタイムはもちろん、週末は24時以降も満席ということも珍しくない人気店。奥にはカジュアルな個室も


西麻布は4丁目、笄坂沿いにある大きな提灯が印象的な『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』は、2022年のオープン以降、深夜まで練り歩く大人の心をアツくしている。

多くの飲食店が入るビルの中にあり、大きな窓から賑やかなムードが漏れ出る。

六本木『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』の「ロマンス焼き」

「ロマンス焼き」¥1,500。オリジナルのレシピでつくるお好み焼きはふわとろ食感がやみつきに。旨みが濃い出汁をきかせているのがポイント


オープンキッチンに鉄板が見当たらないと思いきやステンレスの焼き台で手際よくお好み焼きや神戸そばめし、グリル料理などを調理。

六本木『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』の「カキとレンコンバター」


「カキとレンコンバター」¥980。広島県産の大ぶりのカキを鉄板でソテー。

六本木『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』で提供している「常陸野ネストビール ホワイトエール」、「ベアードビール ライジングサン」


「常陸野ネストビール ホワイトエール」¥950(手前)、「ベアードビール ライジングサン」¥950。

六本木『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』のビールを注いでいる様子

タップから注がれるクラフトビールで喉を潤せば、アツい夏の夜は気分が上がる


「深夜に訪れてもスタッフの皆さんが元気で気持ちがいいです」と杉山さんが言うように、西麻布のホットな夜を締めくくるテッパンとして覚えておきたい1軒だ。

ロマンス お好み焼きとクラフトビール(六本木) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

◆とことんくつろぐ西麻布

街を愛する“ワインの人”が営む止まり木バーでひと休み
『Cave de ASUKA』

六本木『Cave de ASUKA』のスリッパ

靴からスリッパに履き替え入店。「学生時代から家族や友人とお酒を楽しんできた場所で、自分の店を出すときも西麻布以外は考えられませんでした」と話す、杉山さんの自宅さながら


靴を脱いで上がれば、自宅に招かれた気分で寛げる


西麻布交差点から徒歩1分。ビルの2階にある『カーヴ・ド・アスカ』に入ると、外の喧騒から一転して穏やかな空気が流れている。

店は靴を脱いでスリッパで過ごすスタイル。それは、杉山さんが“誰もが寛いで楽しめる場所”を目指したから。

広く明るい店内は、無垢材の床や窓際に並ぶ植栽が相まって、センスがいい人の自宅にお邪魔したような空気感だ。

器や書籍、アートまで。新しい文化の出合いがある

六本木『Cave de ASUKA』で販売している唐津焼の器

唐津焼「隆太窯」の3代目・中里健太さんの作品などを販売。杉山さんのワインに関する著書も購入できる


オープンは杉山さんがワインの輸入業を始めて10年経った頃の2021年。

「自信をもって紹介したいと思える、私の“好きなもの”が詰まった空間です」と話す店では、ワインのほか自身が育った唐津の作家の器も販売する。

ショップも併設するから、家でのワイン時間の新しき扉が開く

六本木『Cave de ASUKA』で提供しているワイン

フランスを中心に、イタリア、ポルトガル、ルクセンブルクの高品質なワインを取りそろえる。生産本数が少ないボトルも並ぶ


ワインのラインナップについては、「実際に生産者のもとへ直接足を運び、味わいはもちろんのこと、その生産者さんのお人柄やワイン造りでの哲学も含めて愛すべきワインだけを輸入しています」と杉山さん。

基本的に日本で杉山さんだけが輸入するボトルがそろう。それらを「木村硝子店」のグラスで味わい、気に入ったら購入できるのが魅力だ。

六本木『Cave de ASUKA』で提供しているワイン(「ルドウィック・マルタン ブルゴーニュ ルージュ」)

「すでにワイン好きな方だけでなく、これからワインを知りたい方、お食事の前に軽くアペリティフを楽しみたい方、どんな方でもウエルカムです!」と杉山さん。赤ワインのグラスで注目は、写真の「ルドウィック・マルタン ブルゴーニュ ルージュ」グラス¥1,800~(キュヴェごとに価格に変更あり)


1杯¥1,000からと手頃でグラスで常時10種以上用意。16時開店なので、隙間時間にふらりと寄ったり、仕事をしながら飲む人もいたりする。

ワイン教室から、着物や器の展示会、コンサートまで、イベントも随時開催。ここに通えばワインの偏差値が上がるだけではなく、文化度も高くなりそうだ。

つまり、西麻布の教養を感じる一面がある。それがこの店の真骨頂である。

Cave de ASUKA(六本木) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

▶このほか:小説家「麻布競馬場」が提案する美食、十番ハシゴ5軒!知る人ぞ知る名店も

東京カレンダー2025年10月号

さらに詳しく知りたい方は「達人たちの“夜の街ブラ”」を今すぐ手に入れよう!

『東京カレンダー』2025年10月号は「達人たちの“夜の街ブラ”」。東京の夜を存分に楽しもう!

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

東京カレンダー2025年11月号

月刊誌最新号「会食の極意。」はこちらから!

今月の『東京カレンダー』は「会食の極意」。AI時代、”同じ釜の飯を食う”時間が仕事の勝機となる!

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。