西麻布と聞けば、派手でギラギラした印象をもつ人が多い。しかし、昔から本質的な美酒・美食を知る大人たちが生息しているのも事実だ。
今回はそのひとり、長年この街になじみのある杉山明日香さんの案内で、1〜4丁目を紹介する。
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ナビゲートするのは……
ワイン研究家、唎酒師、理論物理学博士・杉山明日香さん
有名予備校の数学講師として講義を行う傍ら、ワインスクールでソムリエ資格試験対策講座を主宰。その後、ワインの輸入業に携わる。パリにある『ENYAA』をはじめとして飲食店もプロデュース。ワイン関連の著書多数。
この街が“西麻布”と呼ばれ始めたのは1967年から。元は住宅街で陸の孤島的存在。それがバブル期に入ると高級クラブや飲食店が急増。1991年に伝説的クラブ『イエロー』がオープン、2003年にはテレビ朝日が六本木ヒルズに移転したこともあって、“選ばれた人だけが集う街”“業界人の遊び場”という印象がついていった。
一方、華やかなエリアに美酒美食はつきもので、それを好む人は、本質的なものの良さを心得てこの街に集まってきた。
「西麻布は私が学生時代から家族や友人とお酒を楽しんでいた場所。いまも東京での暮らしはほぼ西麻布にあります」と話す、杉山明日香さんもそのひとり。
美食家たちの間で愛され今年18年目を迎えるワインバーや、自身の名前を冠するワインショップなど、西麻布には杉山さんが手掛ける店も点在し、その繋がりは深く、強固だ。
今回は「この街の良店を巡ったら、おのずと1〜4丁目まで全網羅してしまう」という彼女の案内で、“ツウな西麻布の夜”をご紹介する。
【1軒目/17:30 START】まずは西麻布3丁目のお蕎麦屋さん。美味しいおつまみとお蕎麦で泡と日本酒の両方が進みます
『蕎麦たじま』
ハシゴ酒のスタートを飾るのは、西麻布3丁目のテレ朝通り沿いに居をかまえる『蕎麦たじま』。
同店の楽しみ方について、「店主の田島さんは和食の経験もあり、おつまみもとても美味しいです。それに合わせてシャンパーニュのハーフボトルで始めたら、続けてセンスのあるセレクトの日本酒をぐいぐい飲んでしまいます」と杉山さん。
揚げ玉をのせて香ばしくまとめた「小海老のかき揚げ」¥1,200。
蕎麦については、「お蕎麦が細めで私好み。お出汁も美味しいので、まずは一度かけ蕎麦を食べてもらいたいです」と称賛。
出汁にはむろ鯵節も使い、食通好みの上品な味わいとなっている。
【2軒目/18:50】1丁目で深夜も賑わう一軒です。割烹着姿の女将に出迎えられ、料理とお酒が並び目移り必至
『飯処 角と』
都会の夜を謳歌する人々の“整い場”といえば『テルマー湯 西麻布店』が有名だが、同じ1丁目エリアには、大人の胃袋をやさしく癒やす『飯処 角と』が。
福岡出身の女将がつくるおばんざいや博多の名物料理が評判。
「同じ九州出身の妹分が営む居酒屋は、何を食べても美味しい。ワインや日本酒のセレクトもよく、マッコリもあるのでついつい飲みすぎてしまいます」と杉山さんにとっても、ひと息つける心の拠りどころになっている。
「おばんざい5種盛り」¥2,800~。
茄子と鶏むね梅南蛮。ちくわ磯辺チーズ揚げ、蛸とジャガイモのピリ辛和え、福岡の醤油で炊いたぶり大根など、その日の品書きから好みで選ぶことができる。
「揚げ豚足」¥1,200。
タピオカ粉を加えた衣をまぶしてカリッ、ふわっとした食感に。
【3軒目/19:55】2丁目の裏路地にある、まさに“大人の遊び場”!ワイン好きが多く通います
『goblin NISHIAZABU』
食前や食後にちょっと一杯でも、料理とともにしっかりでも。
個性豊かなバーが軒を連ねる西麻布2丁目界隈で筋金入りのワイン好きの心を満たしているのが、杉山さんがオーナーを務める『goblin NISHIAZABU』だ。
「手前みそで恐縮ですが(笑)、ワインも料理も美味しい大人の遊び場がテーマ。おひとり様はもちろんのこと、個室もあるので人数が多めの会食にも」
自らも通いたくなる店には、上質なワインのように成熟した時間が流れている。
【4軒目/21:15】飲食店激戦区の4丁目。店を盛り上げるスタッフの明るさも魅力のひとつ!
『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』
西麻布は4丁目、笄坂沿いにある大きな提灯が印象的な『ロマンス お好み焼きとクラフトビール』は、2022年のオープン以降、深夜まで練り歩く大人の心をアツくしている。
多くの飲食店が入るビルの中にあり、大きな窓から賑やかなムードが漏れ出る。
オープンキッチンに鉄板が見当たらないと思いきやステンレスの焼き台で手際よくお好み焼きや神戸そばめし、グリル料理などを調理。
「カキとレンコンバター」¥980。広島県産の大ぶりのカキを鉄板でソテー。
「常陸野ネストビール ホワイトエール」¥950(手前)、「ベアードビール ライジングサン」¥950。
「深夜に訪れてもスタッフの皆さんが元気で気持ちがいいです」と杉山さんが言うように、西麻布のホットな夜を締めくくるテッパンとして覚えておきたい1軒だ。
街を愛する“ワインの人”が営む止まり木バーでひと休み
『Cave de ASUKA』
靴を脱いで上がれば、自宅に招かれた気分で寛げる
西麻布交差点から徒歩1分。ビルの2階にある『カーヴ・ド・アスカ』に入ると、外の喧騒から一転して穏やかな空気が流れている。
店は靴を脱いでスリッパで過ごすスタイル。それは、杉山さんが“誰もが寛いで楽しめる場所”を目指したから。
広く明るい店内は、無垢材の床や窓際に並ぶ植栽が相まって、センスがいい人の自宅にお邪魔したような空気感だ。
器や書籍、アートまで。新しい文化の出合いがある
オープンは杉山さんがワインの輸入業を始めて10年経った頃の2021年。
「自信をもって紹介したいと思える、私の“好きなもの”が詰まった空間です」と話す店では、ワインのほか自身が育った唐津の作家の器も販売する。
ショップも併設するから、家でのワイン時間の新しき扉が開く
ワインのラインナップについては、「実際に生産者のもとへ直接足を運び、味わいはもちろんのこと、その生産者さんのお人柄やワイン造りでの哲学も含めて愛すべきワインだけを輸入しています」と杉山さん。
基本的に日本で杉山さんだけが輸入するボトルがそろう。それらを「木村硝子店」のグラスで味わい、気に入ったら購入できるのが魅力だ。
1杯¥1,000からと手頃でグラスで常時10種以上用意。16時開店なので、隙間時間にふらりと寄ったり、仕事をしながら飲む人もいたりする。
ワイン教室から、着物や器の展示会、コンサートまで、イベントも随時開催。ここに通えばワインの偏差値が上がるだけではなく、文化度も高くなりそうだ。
つまり、西麻布の教養を感じる一面がある。それがこの店の真骨頂である。
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