
2025年前半に、本連載で紹介した新店はすでに30軒!
美食の街・東京の進化におくれを取ることなく、新しき名店を味方につけて、2025年後半戦も“美味しく”駆け抜けたい。
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名工が手掛けた数寄屋建築の空間で、稀代の職人の系譜に連なる味を噛みしめる
東京を、否、日本を代表する江戸前鮨店としてあまりに有名な『すきやばし次郎』生え抜きの職人が、満を持して自身の店『日本橋 川口』を構えた。
端正な握りが示す江戸前の矜持がここに
店主である川口雄大さんは、ハワイの大学を卒業後、江戸前鮨の世界に憧れて『すきやばし次郎』へ。
黄綬褒章や「現代の名工」の栄誉にも輝いた師匠・小野二郎氏と長男・小野禎一氏のもとで、実に11年以上にわたり鮨職人の心構えと、江戸前鮨の技術とを身につけた。
様子がいい、流麗なフォルムの握りは「側面をびしっと締めるのが『すきやばし次郎』の伝統です」と、川口さん。
そして素材を吟味し、手をかけた鮨種と同じくらいに、酢飯が肝要だ。五ツ星お米マイスターの小池理雄さんがブレンドした米を選んでいる。
羽釜で硬めに炊いて米酢を合わせ、すっきりとした酸味を活かした白シャリは“人肌”で。その温度こそが米の甘みを引き立て、鮨種の旨みとの調和を生む。
まぐろは「赤身」「中とろ」「大とろ」と続けて供される。
修業先同様、名店御用達のまぐろ仲卸として知られる『フジタ水産』藤田浩毅さんが川口さんのために見立てる。
江戸前鮨を代表する鮨種である「小肌」は4日間かけてキリッと強めに締める。
鮨は師匠譲りを貫きつつ、つまみには江戸料理を盛り込む、ワインは日本ワインを取りそろえるなど、自身の色もちりばめて。熱視線を集める新鋭だ。
温かみのあるカウンターで料理を待つ楽しさあり
いまや、日本橋を代表するフレンチレストラン『La Paix』。オーナーシェフ・松本一平さんは自ら腕を振るうだけでなく、成長したスタッフたちが活躍できる場所を作ることにも力を入れている。
2021年オープンの『平ちゃん』、2023年オープンの『Peace』に続くグループ最新店『L'appét!t』が7月6日にグランドオープンを迎えた。
日本生まれの洋食と、フレンチの伝統がしなやかに融合するビストロ
今回のコンセプトは、『La Paix』の根幹であるフレンチと日本独自の「洋食」をかけあわせた、オリジナリティのあるビストロ。聞いただけでもワクワクする。
シェフに就任したのは『La Paix』に4年間在籍し、スーシェフとして松本さんを支えた廣瀬翔太郎さん。フランスでの修業経験もありこれまではフレンチ一筋ながら、新たなミッションに意欲的に取り組む。
郷土料理の「フロマージュ・ド・テット」は、山菜名人・奈潟 徹さんが採った山ウドと合わせてなじみ深いコロッケに。
ドリアのエビは、素材の良さを活かしさっとソテーして上に盛る、など細やかな工夫がお見事。
「山利のしらす 小川農園の新生姜のオープンサンド」。下に豆腐クリーム、上には卵黄の醤油漬けを乾かしたものを削りかけて。
いずれもディナーコース¥11,000から。
レトロさと、野菜を使うイマドキ感がミックス!
店名にある“appétit”は仏語で「食欲」。お腹いっぱい、召し上がれ!
選択肢がより広がったこの店で、シェフと組み立てる今宵のディナー
今年、開店10周年を迎えた広尾のイタリアン『Melograno』。
節目の年に移転し、これまで以上にレストランとしての魅力を増した新店舗が完成した。
オーナーシェフの後藤祐司さんを中心に、スタッフがキビキビと立ち働くカウンターは健在。厨房もダイニングも広くなり、より開放感が高まった。
キッチンが広がったことで、メニューの選択肢も多彩に。
「ピアッティーニ」と呼ばれる小皿料理やパスタの種類も増え、どれをオーダーしようかと悩む時間が楽しい。
加えて、移転を機に念願の肉専用の冷蔵庫も設えたそうで、料理人垂涎の精肉店「サカエヤ」が後藤さんの料理に合わせて手当てをした牛肉を使ったダイナミックなメインにも、これまで以上に力を入れている。
「オッソブーコミラネーゼ」はその好例だ。
スペシャリテの“タルトタタン”は不動
「トリュフのタルトタタン<14ヶ月熟成・幸>のソース」(¥4,200)は玉ねぎとじゃがいも、トリュフを入れた熱々のパイにフォンティーナチーズのソース、黒トリュフのジェラートを。
異なる温度や食感、味わいを一品に盛り込んだ。
ウンブリアとシチリアで腕を磨いた後藤さんによる骨太なイタリア料理の数々を、豊富なワインとともに、活気あるダイニングで大いに味わいたい。
陽気な酒飲みも、食いしん坊も寛大な振る舞いに拍手を送る
四谷三丁目交差点に程近い一角に「日本酒」と「ジビエ」を主役に据えたユニークな店が誕生した。
立ち上げの背景には「酒好きの人に心ゆくまで銘酒と料理を楽しんでほしい」という思いが。同時に「信頼を置く猟師や専門業者から直接仕入れるジビエ肉を通じて、食材という“命”のエネルギーを感じていただき、生産者とお客様をつなぎたい」という使命感も抱く。
「『鎹』という店名には、そうした思いを込めました」と、店主の宮里常嗣さん。
料理を担当する真壁 徹さんは泉岳寺『紋屋』などの日本料理店で経験を積んだ後、若い頃一緒に働いていた宮里さんと意気投合し、今回タッグを組むことに。
メニューは、和食とジビエを融合させた約5品で¥7,700のショートコースと約9品で¥12,000のフルコースの2種がある。
そしていずれも、日本酒を中心に豊富に取りそろえたフリーフロー付きなのがたまらない。
お酒が進む「前菜盛り合わせ」。
トウモロコシの茶碗蒸し、そら豆の蜜煮、ヤングコーンの天ぷら、メヒカリの一夜干しなど、季節の美味をおまかせで。
メインの「シカのロースト」には大葉ジェノベーゼソースとホースラディッシュを添えて香り豊かに。
バラ肉を柔らかく煮込んだ「イノシシの角煮」。
料理とお酒のハーモニーに、思う存分身を委ねたい。
旅館のような雅な表構えが、今宵への期待感をそっと煽る
あの『みかわ是山居』出身と聞けば、誰しも天ぷら店と思うもの。だが、「うちは、天ぷらと手打ち蕎麦の二刀流。どちらも同じように注力しています」と語るのは梅澤 崇さん。
2025年3月、湯島にオープンした『天々蕎々 うめ庵』のご主人だ。
若い頃は音楽関係の仕事に携わっていて天ぷらに目覚めたのは35歳というから、天ぷら職人としてはかなりスロースターターだが、蕎麦歴はすでに30年余。
10歳から独学で蕎麦打ちを始めたベテランだ。それゆえ、ここでは天ぷらと蕎麦、ふたつのコースを用意している。
サクッと絶妙な火入れの天ぷらが続き、ラストは温冷2種の蕎麦で、和の贅を味わい尽くす
ここはひとまず『みかわ』仕込みの天ぷらを堪能したいという向きには、9~10品の天ぷらを楽しめる天ぷらコースがいいだろう。
甘みを引き出すべくレアに揚げる車エビに始まり、香ばしさが際立つよう高温でサクッと仕上げる穴子まで、素材の特質に合わせた揚げ加減も実に精妙。
旬の鮎は少し低めの温度で、骨までじっくり火を入れる要領で揚げる。蓼酢おろしを添えていただく夏の味だ。
穴子は高温で香ばしく揚げ切る。箸を入れた瞬間、軽やかな音が響く。
エビ3本を串に刺して揚げた“筏揚げ”。サクサクとした歯触りも小気味よい江戸前の一品。
〆には温かな天ぷら蕎麦と、せいろ蕎麦。
手打ちならではの風味豊かな江戸の味を満喫したい。
1組限定のカウンターで、刺身から焼きまで蟹の旨みを堪能する
東京随一の活かに料理店として名を馳せる『きた福』が赤坂・銀座・新富町に続く新店を構えた。
この『活かに料理 麻布十番 きた福』で扱うのは、全国の名産地で水揚げされた極上のカニのみ。1組にひとりの料理人がつき、札幌の名店『活カニの花咲』譲りの技で、目の前で捌いて調理してくれるスタイルは不変だ。
もちろん、全席個室仕様も貫かれているから、ゆったりと心ゆくまでカニ尽くしの夜を過ごすことができる。
この日のたらばガニはオホーツク海育ちの3kg超のオス。活きの良いカニがベテランの手によってあっという間に捌かれていく様子は圧巻!
そして、まったく臭みがなく、甘みと旨みに満ちた味わいに陶酔させられる。生で良し、焼いて良し、揚げてまた良しだ。
炭の香りを纏った「焼き」は、加熱することで生まれる甘みが魅力。
絶妙な茹で上がりのカニを溢れんばかりに盛り付ける「甲羅盛り」。
食べごたえ十分の脚は、まずは「刺身」で。捌いたらすぐに氷水に放ち身を締めることで、繊維の1本1本がまるで花が咲いたような形状に。
料理はすべて「活たらば蟹のコース」¥47,300~(仕入れにより変動)の一例。
秋以降、カニの本格シーズンに突入すれば松葉ガニ、越前ガニなども入荷し予約困難度が上昇することは確実。
通年で頼める活たらばガニや毛ガニを今のうちに堪能するのが、賢い楽しみ方だ。
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