2025.03.21
SPECIAL TALK Vol.126
文系・理系で分けるのは可能性を狭めている
金丸:数学オリンピックの成績は、どうだったんですか?
中島:高2のときに金メダル、高3で銀メダルを獲りました。
金丸:それはすごい!
中島:といっても、参加者のうち半分がメダルをもらえるんですよ。12分の1が金、12分の2が銀、12分の3が銅、というふうに。
金丸:それでもすごいじゃないですか。ちなみに女性って、どのくらいの割合なんですか?
中島:とても低いです。全体でも「10%の壁」と言われており、特に金メダルは3%程度。日本は毎年ほぼ男子のみ。日本は35年ほどの歴史で、のべ約210の選手のうち、女性はわずか3名。私が2回、もうひとり(山下真由子氏)が1回。
金丸:たった3人?
中島:1.5%ですね。もうひとりの方はいま、数学者としてバリバリ活躍されています。
金丸:海外との差がありますよね……。何だか、日本の弱い部分を見せつけられた気がします。
中島:日本に限った話ではありませんが、理数系で活躍する女性は少ないですよね。STEM分野の女性たちをつなぐコミュニティを作りたくて、いま、アジア財団で「STEM ConnectHER」というプログラムを進めています。主に理工系の女子学生とその相談に乗るメンターとが交流できる場を設けています。
金丸:多くの日本人は、海外も日本と同じように文系・理系で分けていると思っています。でも、海外ではそもそも理系・文系というのはありません。たとえばイギリスやフランスでは、文系エリートも理系エリートも、弁護士も医者も政治家も、数学ができる人が有利ですよね。日本では「数学が苦手だから文系に進む」のが当たり前になっているけど、世界では「数学ができる」ことがベースなんです。
中島:そうですね。
金丸:もっとも、日本の“受験のための数学”だと、中島さんのように数学の魅力に気付くことなく、嫌いになってしまうのも仕方ないかもしれません。
中島:STEMとかSTEAMは、Science(科学)とMathematics(数学)を分けているじゃないですか。実験を積み上げて法則を見いだす科学と、もうちょっと哲学的というか、物事の本質を見るという側面のある数学は、それぞれの物の見方の違いを表しているように感じて、面白いなと思うんです。例えば数学は哲学や経営にも通じる。科学や工学も領域を横断する。だから、自分の進路を文系か理系の一方に絞るのは、もったいないですよね。
金丸:中島さんは文系科目もお好きだったんですよね。
中島:周りの友達からすれば、私は「文系の子」に見えていたと思います。
金丸:数学オリンピックで金メダルを獲る文系の子って、すごい素敵じゃないですか。
中島:もちろん、ひとつに絞るのもいいんだけど、「マルチでやりたい」という人が生きづらい社会はすごくもったいない。
金丸:ところで、中島さんはどんな大学生活だったんでしょう。サークルには入らなかったんですか?
中島:実はテニスサークルに。1年間だけですが。
金丸:急に軟派になりましたね(笑)。スポーツも得意なんですか?
中島:見事にできないです(笑)。なのに何を血迷ったか、かなり練習の厳しいサークルに。1年間すごい頑張ったんですけど、才能がないのがはっきりしたのでやめました。
金丸:合コンとかは?
中島:してないですよ(笑)。あとは、ジャズ研究会に入りましたね。在学中は部室に入り浸ってました。
金丸:音楽への熱が盛り返したんですね。
中島:それで、卒業後はジャズピアニストに。
金丸:えっ!?いきなり過ぎませんか(笑)。
中島:どんどん音楽にのめり込んでいった結果ですね。迷いがなかったわけではないけど、大学を卒業する頃には音楽でやっていこうと決めていました。
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