暦の上ではもう春で、麗らかな季節がやってくる。大切な人との会食の機会も増え、レストラン選びに気合が入る紳士淑女へ。
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設計は、数寄屋大工の経歴を持ち、日本文化に精通した建築家・佐野文彦さんが手掛けている。奄美大島の古材や丸太、漆喰といった素材を多く用い、自然な質感やフォルム、経年変化でより風合いが増す空間を作り上げた
発酵料理をアップデートし辿り着いた100歳まで健康に生きられる料理
唯一無二の魅力があるディスティネーションレストランとして知られる滋賀の『徳山鮓』。
鮒を発酵させた名物「熟鮓(なれずし)」は他とは一線を画す味わいで、一度は訪れて食してみたいと熱望している人が多数だ。
そんな『徳山鮓』の主・徳山浩明さんが監修し“体に良く、最高に美味しいお料理”という、なんとも嬉しいコンセプトを掲げた日本料理店『百薬 by 徳山鮓』が、銀座の「松屋通り」の一角に誕生した。
料理長の佐藤 均さんは、南青山『いち太』(現『御料理 太いち』)や西麻布のフレンチ『YAWYE』での修業経験に加え、優れた素材を扱う生産者を探し出す“食材ハンター”という一面も。
例えば「熟鮓」に合わせているニホンミツバチの蜜は、その活動の賜物だ。
それだけに、お品書きには徳山さんによる発酵・ジビエ料理と、佐藤さんが日本各地から厳選した上質な素材をふんだんに使う王道の日本料理とが盛りこまれ、ここでしか出合えない贅沢な晩餐を堪能できる。
椀種は、カニしんじょと自家製のからすみ、板餅。すっきりと上品な旨みが広がる出汁と抜群の相性だ。
滋賀の名店の熊鍋を東京で味わえる僥倖。野趣に富む贅沢な味わいに言葉を失う
コースの華ともいえる「熊鍋」。熊肉で取ったコンソメに昆布とかつおの出汁を合わせて。
朝鮮人参も忍ばせた、こちらならではの鍋だしで『徳山鮓』から届く熊のロース肉を味わう。
料理はいずれもおまかせコース(¥35,000)の一例。
満ち足りるコースで13,000円!圧倒的な多幸感に浸る
2016年に開店するや否や、焼き鳥店の激戦区である神楽坂でその名を轟かせた『焼鳥 茜』が、2025年2月に完全に生まれ変わり、麻布十番の地で新たな一歩を踏み出した。
店名は、『酉囃子』とし、店主の林 裕太さんは「“焼き鳥”というジャンルはもっと評価されて然るべき」という業界全体への情熱を抱いて、今回のリニューアルに挑んだ。
藁と薪の二刀流で焼き上げる数々の地鶏。堂々たる炎に、名店の貫禄を見る
「焼き鳥がゆくゆくは世界からも注目されるために、まず自分自身がさらなる高みに向けてチャレンジを」と、一本、一品ごとに細やかな工夫をこらす。
また新店では、紀州備長炭だけではなく薪火用の焼き台も設え、複数の熱源の掛け合わせにより細やかな火入れや味の表現が可能な環境を整えた。
確かな技術を下支えし、味わいを高めるハード面も万全だ。
厳選した地鶏の胸肉を使い、皮側は炭でパリッと、肉は薪でしっとりと焼き上げる「ねぎま」。フォルムの美しさも出色だ。
ワインはソムリエールの奥様がセレクト。
銀皮に加え砂肝の表面にある「えんがわ」と呼ばれる硬い膜も「余すことなく食べてもらえたら」と柔らかく煮込んだサステナブルな一品。
薪で火を通してから藁の香りを纏わせた白レバーは見事な酒肴に。
比内地鶏の「砂肝」は、中にぶどう山椒を忍ばせてあり、噛めば心地よいしびれ感が。
マダムが鹿児島出身であることから生まれた、神楽坂時代からのスペシャリテ。
野菜のさつま揚げと、チーズ&クミンのさつま揚げを1本の串に刺して供する。
骨を抜いて食べやすくした「手羽先」は、皮と肉の間に柚子皮を射込んであり、食せば爽やかな香りが時間差で口腔に広がる。
〆はコンソメといただく極細の手延素麺「ゆきやぎ」など。
料理はすべてコース(¥13,000)の一例。
神楽坂時代から二人三脚で営む妻・茜さんの柔らかな接客と確かなワイン選びにも磨きがかかり、実に美しい焼き鳥の世界に感嘆せざるを得ない。
5品選べる“アラカルトコース”は自由を求める今の気分にちょうどいい
食べ慣れた大人ほど「コースよりもアラカルトのほうがいい」というのはよくあること。
そんな、食いしん坊のわがままを叶えてくれるイタリアンが、東京のレストランシーンにまた一軒加わった。
オーナーシェフの山口 徹さんは、都内のイタリアンでの修業を経て、麻布十番『カーザヴィニタリア』へ。そして広尾の人気店『BOTTEGA』の立ち上げから参加。シェフの笹川尚平さんの右腕として活躍した人物だ。
2024年11月に晴れて構えた自身の城『Brando』では、ユニークなメニュー形式を採用。前菜5~6種・パスタ5~6種・メイン3種の中から、好きな5皿を選んで¥12,000(一部追加料金が発生するものもあり)のプリフィクススタイルなのだ。
入荷があればラッキー!な「海(ウニ)のカルボナーラ」(+¥4,000で選択可能)。
うにとアサリ出汁だけで味を調え、仕上げに「原了郭」の黒七味を振る贅沢な逸品だ。
「ウナギの白焼きとトリュフ」は、皮目を香ばしく焼いたウナギと削りたての旬のトリュフが想像以上の相性の良さを見せる。
“そら豆×ペコリーノ”という鉄板コンビでワインが進む「そら豆とバターとペコリーノチーズのソース」。
「黒毛和牛のボロネーゼ タリアテッレ」は希少部位のカメノコを使用。
前菜だけを5品選んでワインとゆっくり味わう、でも、いろいろな種類のパスタをひたすら食べたい!でもOK。
思いのままに組み立てるディナーを、厳選されたイタリアワインとともに楽しみたい。
パリッ、ふわっ食感のあとを追う濃厚なタレの旨み。東京育ちは知らないうなぎの世界に開眼する
名古屋のうなぎ=ひつまぶし、というイメージが強いが、必ずしもそうとは限らない。
うなぎ専門店『宮宇 浄心』は“ひつまぶさない”スタイルの鰻重と鰻丼で知られている。そんな名店が、信頼の味を引っ提げて、2024年12月に銀座5丁目に進出した。
『銀座うなぎノ宮宇』は、庶民的な本店とは趣を変え、会食にも最適な落ち着いた雰囲気ながら、主役のうなぎはその時期に最良のものを吟味。冬は、肉厚で柔らかく脂の乗った浜名湖産ブランドうなぎ「新仔(しんこ)」などを扱う。
そして、長年受け継がれたスピリットや技に基づいて備長炭でバシッと焼き上げ、本店譲りのしっかりとした味わいのタレをまとわせている。
目の前に運ばれてきた重箱の蓋を開ければ、艶をたたえた蒲焼きが目に飛び込み、同時に香ばしい匂いに鼻腔をくすぐられ、いやが応にも食欲が刺激される。
単品でも注文可能だが、一番人気の「鰻重御膳」ならば前菜や白焼きにうまき、東北沢『オオノ餅店』特製の甘味も付き、満ち足りることこの上ない。
「フレデリック・マニャン ジュヴレ・シャンベルタン スーヴレ2002」(¥29,000)など、うなぎによく合うブルゴーニュワインがそろう。
広尾に忽然と現れた気鋭の日本料理店に、食通たちが熱い視線を注いでいる
広尾商店街から1本奥まったエリアに誕生した真新しいビル。その一角にあるのが『日本料理 佐々』だ。
店主・佐々悠樹さんの経歴は華やか。地元・兵庫や大阪の日本料理店、そして東京屈指の鮨の名店『日本橋蛎殻町 すぎた』を経て、中国へ。上海で和食の料理人として経験を積み、やがて懐石料理店や鮨店など3店舗を経営するまでに成功を収めた。
そして2024年12月、いわば“凱旋”として上海と同名のこの店をオープン。
和食の根幹である出汁・米・魚を極めた品々が大人を魅了する
王道の料理は、どれも素材のポテンシャルの高さが際立つ。
北海道・川汲浜の真昆布と胡麻、本葛のみで作る名物の「胡麻豆腐」や、同じく真昆布と鹿児島・枕崎の本枯節、大阪の湧き水で取った一番だしを使うお椀、信頼を置く兵庫の鮮魚卸から届く魚介類のお造りetc.。
食材の力を信じているからこそ抑えめの味で仕上げる品々は、真の贅沢を教えてくれる。
芳しい一番だし、そしてパリッと焼かれたうろこと柔らかな身の食感のコントラストも見事な「シロアマダイのお椀」。
先付けの「とらふぐの霜造り」はその日の朝に淡路島最北の岩屋で揚がった天然トラフグを、すだちの果汁を絞った自家製昆布醤油でさっとヅケにし、蒸した白子を裏ごししたソースとともに。
「ツキノワグマと九条ネギの小鍋」は、寒い夜に嬉しい白味噌仕立てで。
料理はすべておまかせコース(¥35,200)の一例。
〆はピリ辛の小炒肉(シャオ チャオ ロウ)をお供に2種のご飯を食べ比べ!
最初に登場する繊細な食味のササニシキは宮城・鳴子温泉産。
続いては、粒立ちが良く、甘みとツヤのある長野・野沢温泉産コシヒカリ。
同じ条件で炊いたふたつの品種を同時に味わえる体験は貴重だ。
並々ならぬこだわりが生む白いご飯の味わいも、忘れがたい体験になる。
イタリア仕込みのモチモチ生地が具材と出合い、混然一体の味わいを生む
地域に根ざした商店街でありながら洗練された店が点在する代々木八幡の地蔵通りに、また一軒、気になるイタリアン『stelo』が仲間入りした。
しかも、松濤『erba』や青葉台『alloro』といった話題店と同系列、と聞けばおのずと期待も高まるというもの。
シグネチャーディッシュは「イタリアンクレープ」。
これは、ほうれん草、ビーツ、イカスミなどを混ぜて彩り良く焼き上げた生地の上に魚介や肉や野菜を乗せて華やかに仕上げる、料理としてのクレープ。具材と生地との味わいや彩りのバランスが考え抜かれている、秀逸なメニューだ。
その他パスタ類や、ワインが進むアンティパストも充実。
クレープ生地を巻いたり、インドのスナック「パニプリ」をアレンジしたりと、手をかけたお通しが登場。
「生ハムとゴルゴンゾーラのクリーム ほうれん草のタリアテッレ」¥2,200。パスタは厳選した生タイプを使用。
また「ナチュラルワインを気軽に楽しんでほしい」という思いから、グラス¥900~とゲストに優しいプライシングなのは大きな魅力。いろんなタイプにトライしたくなる。
さらに、愛犬家にとって朗報なのが、ペットも入店可能なこと。“小さな家族”と一緒にゆったりと過ごしたい。
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