東京レストラン・ストーリー Vol.39

友人の結婚式で同級生に再会。2次会で盛り上がり、そのままふたりで抜け出し六本木で…



2週間後。

レストランに詳しくない二宮くんに代わり、私は恵比寿にあるイタリアンを予約した。12月に入り街はキラキラしていて、私の気持ちも浮足立っている。

「今日のお店も素敵だね。亜紀ちゃんといると楽しいよ」

いつのまにか、呼び方が亜紀ちゃんに変わっているのも嬉しい。その日も楽しく過ごして、またすぐに会うことになった。

― 今日で再会してから会うのが3回目。クリスマスも近いし、進展したいな。

二宮くんも同じ気持ちだったのか、麻布十番で飲んだ後、帰り際に言われる。

「亜紀ちゃんって高校の時から変わらず本当に可愛い。亜紀ちゃんと付き合えたらとっても幸せだと思う。今日はもっと一緒にいたいな…」

少し迷ったが、二宮くんのことは信用できる気がして、私は彼を家に招いた。


シャワーを浴びてベッドで幸せな時間を過ごした後、明日早いからと二宮くんはすぐにタクシーで帰っていった。

「お医者さんって忙しいもんね。気をつけて」

「うん、ごめんね。今日は楽しかった。またすぐに連絡する」

寂しく感じたものの、私は笑顔で彼を見送った。


年が明けて早1ヶ月が過ぎ、2月に入った頃。

六本木駅から家に帰る途中、仙台に住んでいる高校の同級生男子からLINEがあった。

『来月、東京に行くからみんなで飲まない?』
『出張?二宮くんとかにも声かけとくよ』
『いや、その二宮の結婚式で東京に行くんだよ』
『え、二宮くんの結婚式?』

私たちまだ結婚してないけど、と思わず返しそうになる。

『うん。二宮、同じ職場の女医と結婚するんだよ』

聞けば、2年ほど同棲している彼女がいて来月入籍するという。

― 全然意味わかんない。私とのことは、結婚前の火遊びだったってこと…?

確かに、去年二宮くんが家に来て以来、クリスマスもお正月も彼には一度も会っていない。

でもそれは、彼が仕事や当直で忙しかったからで…。

地方出身の真面目な二宮くんに、自分が遊ばれたとは、にわかに信じがたかった。

見る目がなかった自分に愕然とする。

― 二宮くん、東京に慣れてないフリして、めちゃくちゃ東京に染まってるじゃん。


華やかなネオンがキラキラ光る六本木通りを、私は情けなさと落胆が入り交じった感情を抱きながらトボトボと歩いていた。

東京来て10年も経つのに、東京に慣れていないのは私。

いつになったら、私は高校生の自分が憧れていた東京の女になれるんだろう…。


▶前回:原宿のおしゃれな2LDKで「ルームシェア」する24歳女。でも、現実は一緒に住むのは難しくて…

▶1話目はこちら:港区女子が一晩でハマった男。しかし2人の仲を引き裂こうとする影が…

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この記事へのコメント

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No Name
二宮の奴やってくれたなぁ…
謎に感情移入してしまい亜紀がとてもかわいそうだと思った。
2024/11/25 05:2218返信1件
No Name
結婚前の火遊びだった? にはちょっと笑ってしまったけど正にその通りなのが辛いだろうね。 でもそんな火遊びする男は結婚後も夜勤だなんだで嘘ついて不倫するだろうから!
2024/11/25 05:3615返信1件
No Name
亜紀も、それなりにちやほやされ酸いも甘いも経験したなんて思ってるから、逆にやられちゃったんだよ。堕とすのは簡単だったと思うよ。
2024/11/25 06:056
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