2024.06.05
マティーニのほかにも Vol.4東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:港区の1LDKで彼氏と同棲して1年半。30歳女が深夜1時に帰宅すると、男が吐き捨てた一言とは
Vol.4 <ジンフィズ> 新田秀司(28)の場合
モニターを見つめる目の奥が、ズンと重い。
まだ20時だが、人がまばらになった夜のオフィスでキーボードを叩く秀司の体は、蓄積した疲労で悲鳴をあげていた。
― はぁ…。これ、今夜帰れるのか?
一橋大を卒業し、証券会社に入って6年。新卒からずっと投資銀行部門で働いている秀司だが、4月にあった異動で部署が変わり、まだ業務に慣れることができないでいる。
早く業務に慣れるため、朝は6時には出社し、夜は日付が変わるまでデスクに向かっているものの、成果はどこか空回りだ。
同棲している彼女・瑠美についての悩みが解決した分、仕事に集中できるかと思っていたけれど、どうやら考えが甘かったのかもしれない。
手がけているM&Aの案件が佳境を迎えており、もはや今の秀司は、プライベートのことなど1ミリも構っていられないほどに追い詰められている状況なのだった。
― あークソ…、また頭がおかしくなりそうだ…。
睡眠不足の頭は、モヤがかかったようにぼんやりとしていながらも、出所のわからない怒りのような気持ちも渦巻いている。
行き場のない疲労感と苛立ちに駆り立てられ、頭を掻きむしりそうになった、その瞬間──。
殺伐とした夜のオフィスには似合わない、気の抜けたのんきな声が背後から聞こえた。
「にーったくん!おつかれ〜」
え、もしや女?と思ったら上司だった!めちゃくちゃ素敵な上司。
この連載好きなのに、次から隔週になってしまうのは残念。 小説がどんどん減っていくのはさみしい限り。
本当そう。家族のために時間を使いたいから残業にならないよう人一倍頑張る、そしてそんな様子は微塵も見せない。素晴らしいね。呑気で冴えない上司から心から尊敬する上司へと、秀司の気持ちを上手く描いたなぁと。
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