東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:港区の1LDKで彼氏と同棲して1年半。30歳女が深夜1時に帰宅すると、男が吐き捨てた一言とは
Vol.4 <ジンフィズ> 新田秀司(28)の場合
モニターを見つめる目の奥が、ズンと重い。
まだ20時だが、人がまばらになった夜のオフィスでキーボードを叩く秀司の体は、蓄積した疲労で悲鳴をあげていた。
― はぁ…。これ、今夜帰れるのか?
一橋大を卒業し、証券会社に入って6年。新卒からずっと投資銀行部門で働いている秀......
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この記事へのコメント
え、もしや女?と思ったら上司だった!めちゃくちゃ素敵な上司。
この連載好きなのに、次から隔週になってしまうのは残念。 小説がどんどん減っていくのはさみしい限り。
本当そう。家族のために時間を使いたいから残業にならないよう人一倍頑張る、そしてそんな様子は微塵も見せない。素晴らしいね。呑気で冴えない上司から心から尊敬する上司へと、秀司の気持ちを上手く描いたなぁと。