2024.02.21
SPECIAL TALK Vol.113令和のニューリーダーたちに告ぐ
東京・三鷹市に教室を構える探究学舎は、“学び舎”という名前から連想されるように、塾の一種だ。
しかし、一般的な塾とは違い、講義を静かに聞いたり黙々と問題を解いたりしない。
勉強も受験対策も教えず、いつも授業はにぎやかで、好奇心を刺激された子どもたちはじっと座っているのではなく、目を輝かせて身を乗り出す。
探究学舎の創業者で、講義も担当している宝槻泰伸氏は、高校を中退したものの、学習塾を経営していた父の指導により京都大学に進学した。
自身の経験からも、「子どもに興味を持ってもらうことが第一だ」と語る。
異色の塾を立ち上げた宝槻氏のこれまでの歩みを振り返りながら、教育は、これからの日本はどうあるべきかを探る。
宝槻泰伸氏 1981年、東京都三鷹市生まれ。「探究心に火がつけば、子どもは自ら学び始める」がモットーの型破りな父親の教育を受ける。高校を中退し、大学入学資格検定を取得して京都大学に進学。2011年、三鷹に探究学舎を開校し、歴史・宇宙・元素・建築・ロボット・経済など、子どもたちの興味が広がる授業を独自に開発。「わあ!すごい!」と驚き、感動する世界にたったひとつの授業を求めて、北海道から沖縄まで、時にアメリカ・ヨーロッパ・アジアからも親子が集まる。2020年4月コロナ禍を機に、オンラインでの通塾事業を1,000世帯でスタート。2023年には、年間1万名の生徒が受講。19年「情熱大陸」に出演、21年「TEDx」に登壇。5児の父。
◆
金丸:本日は株式会社探究学舎の宝槻泰伸さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
宝槻:こちらこそお招きいただき光栄です。
金丸:今日の対談の舞台は『乃木坂 しん』です。2016年のオープンからミシュランで星を獲得し続けている名店ですが、昨年全面リニューアルしました。カウンターと調理場が近づき、繊細な技をいままで以上のライブ感で楽しめます。
宝槻:金丸さんとのお話も料理も、とても楽しみです。
金丸:宝槻さんは「探究学舎」を運営していらっしゃいます。探究学舎は「塾」というくくりでいいのでしょうか?
宝槻:塾は塾でも「受験も勉強も教えない塾」です。私たちは「驚きと感動の種をまく」と言っていますが、学校の教科や受験対策を教えるのではなく、子ども自身が好きなことややりたいことを見つけるきっかけを提供するのが目的です。
金丸:まず、探究学舎という名前がいいですよね。「勉強しなさい」ではなくて、「興味を持てることを見つけよう、探究しよう」というメッセージを感じます。いま、生徒数はどのくらいなんですか?
宝槻:5,000人くらいです。教室は三鷹市にありますが、オンライン配信もやっていて全国各地に生徒がいます。
金丸:授業料はどのくらいですか?
宝槻:リアルの教室だと月額2万円、オンラインだと月額8,000円から1万円くらいです。
金丸:探究学舎のホームページを見ると、授業で取り上げる題材が非常に幅広いですね。
宝槻:何が子どもの好奇心を刺激するのか分かりませんからね。宇宙、アート、クラシック音楽、ロボット、農業や経済、とにかくいろいろなワクワクドキドキの種を子どもに感じてもらうようにしています。
金丸:いろいろな分野の入り口を見せて、あとは子どもたちの好奇心に任せる、ということですか?
宝槻:そうです。学校や塾のほとんどは、知識を身に付けさせる「能力開発」に主眼を置いていますが、探究学舎は学問の入門編を提供する「興味開発」に特化しています。
金丸:学問ですか。日本では「学問=受験勉強」みたいなイメージがあって、触れるのも嫌という人が少なくないように思います。
宝槻:学問とは、人類が何千年にわたって蓄積してきた、再現性と普遍性のある知恵の固まりであり、知的な武器です。学問の入り口を楽しく体験すれば、夢や可能性を感じた子どもたちは大きく羽ばたけるはず、と考えています。
金丸:そんな授業をネット越しに、全国の子どもたちが受講できるというのがいいですね。教育の地域格差を減らせるじゃないですか。
宝槻:最初のうちは、直営校を増やす伝統的なモデルを考えていました。でも、新型コロナウイルス感染症の影響で、オンライン需要が喚起されたこともあって、500人規模から5,000人規模まで一気に成長しました。スケーラビリティという点において、オンラインはインパクトがありますね。
金丸:今日は宝槻さんがどのように育ち、どのような問題意識を持たれて探究学舎を開かれたのか。そして、日本の教育はこれからどうあるべきなのかをじっくり伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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