SPECIAL TALK Vol.113

~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


教育分野以外にも新たな学びの体験を


宝槻:今後20年、30年と教育事業をライフワークとして続けるつもりですが、自分の得意技をもっといろいろな事業領域に広げていきたいと思っています。

金丸:得意技というと?

宝槻:僕は最近「LXデザイナー」と自称しています。LXというのは「ラーニング・エクスペリエンス」の略です。

金丸:新たな学びの体験をデザインするということですか?

宝槻:そうです。「なるほど」とか「そうだったんだ」というエモーショナルな価値は、教育以外でも求められていると思っています。

金丸:具体的に何か考えているんですか?

宝槻:いま、準備しているのは「体験レストラン」ですね。いきなりですが、金丸さんにクイズです。「世界中のワインを3種類に分けてみてください」。

金丸:フランス、イタリア、ニューワールド。

宝槻:正解!さすがですね。

金丸:え、常識じゃないですか?

宝槻:いやいや、金丸さんは勉強されているから(笑)。正解できるのは5%くらいで、多くの人は「赤と白と……」と考え込むんです。だから正解した人には「お客様、この方に拍手を」と、いつもやってます。

金丸:クイズやトークを通じて、食への理解を深めてもらうレストランということですね。

宝槻:まさに。「美味しい」は一瞬だけど、「なるほど」って一生なんですよ。知識や驚きは持って帰って、人と共有できる。ではもう1問、「あらゆる味噌を3種類に分けてください」。

金丸:白味噌、赤味噌、合わせ味噌、でしょうか?

宝槻:もっといい分け方があります。

金丸:麹に関係ありますか?

宝槻:さすがです。麹が豆、米、麦と3種類。味噌の8割は米麹を使う米味噌ですが、日本人でもほとんどの人が知らない。外国人ならなおさらです。だから、質問されて「えー?なんだろう」となった分、知ったときの感動が大きい。

金丸:いま、ものすごい数の外国人が、日本の食を楽しみに来日しています。「価値のある食材を使っています」と説明するだけでなく、「こういう文化や土壌で生まれたから価値がある」と知ってもらうのはいいことですね。

宝槻:料理に関する説明からもう一歩踏み込んで、味噌の歴史や味噌のテロワールまで知ってもらえば、さらに興味がわくと思います。

金丸:興味を持てば自分で調べたくなるし、日本の食や文化をもっと好きになる。それが「新たな学びの体験」なんですね。子どもたちは目を輝かせながら自分の好きなこと、得意なことを伸ばし、外国人も目を輝かせながらさらに日本のことを好きになってくれる。宝槻さんのこれからの活躍に期待しています。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

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