エンジェル係数という言葉を、ご存知だろうか?
これはエンゲル係数にひっかけたワードで、全消費支出に占める教育費の割合のことを指す。
この連載では、普段絶対に知ることのできない“ある家庭の教育明細”を紹介していく。
他人の家計簿を覗き見して、我が家のエンジェル係数が高すぎないか、答え合わせをしてみよう。
取材・文/風間文子
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夫婦共働きで世帯年収1,800万の一家。子ども2人の大学進学にかかった費用が意外と少なかったワケ
ある日突然、我が子が留学したいと言い出した…
【今回の取材対象者】
名前:西野さん(40歳)
職種:不動産業
住居:マンション(賃貸)
家族構成:娘(17歳)
さて、今回取材に協力してくれたのは東京都在住の女性・西野さん(仮名、40歳)だ。
まずは西野さん一家の家計簿をご覧いただこう。下の表は2023年のある月の、主な支出金額となる。
気になるのは住居費が月3万円と異常に安く抑えられているのに対し、雑貨・日用品が月13万円と、やたらと高いこと。これは、どういうことだろうか。
「実は私、娘が小学生に上がる頃に離婚しておりまして…。以来、母娘2人の家庭なんです。住居はそうした私たちに対して、親戚がご厚意で安く貸してくれている。
そして今や娘は高校2年生、17歳の年頃ということもあって、化粧品やら衣服代やらとお金がかかる。それが雑貨・日用品にかける金額が高くなる大きな理由です。
『精神的にも経済的にも自立した人間に育てる』が娘に対する教育モットーなんですが、ひとり親ということで、つい甘くなってしまうんですよね」
家庭の事情はそれぞれ。家計簿にも、それなりの特徴が出るものだ。
では教育費にいくらかけているのかだが、聞くと西野さんの娘は現在、アメリカの高校に1年間の留学中だという。帰国は半年後を予定している。
「というのも、娘が中学2年生のときに『海外に留学したい。アメリカの大学に進学したい』と、突然言い出しまして。
考えられるキッカケとしては、娘が通っている英語塾です。その塾では高校に進学するまでに英検1級に合格するような人がザラにいて、何人かはアメリカの名門、イェール大学やハーバード大学にも行っていて…。
娘は、そういう先輩を見て憧れたんだと思います」
とはいえアメリカの名門大学へ留学となると、費用は学費だけで年間600万円、4年間で2,400万円かかるといわれる。加えて円安の影響で、その金額はさらに膨れ上がる。
親としては「どうする!?」と頭を悩ます非常事態だろう。
「当時は新型コロナが流行し始めた頃で、幸いにも決断は先送りすることになりました。
ですが娘の留学したい気持ちは依然として無くならず、高校に進学する頃には英検2級に合格していました。母としては、そんな娘を何とか応援してあげたいという気持ちと不安で、葛藤する日々が続きましたね」
そして西野さん母娘が出した答えが、今の状況のようだ。
新型コロナの影響が落ち着いたタイミングで、高校在学中に1年間だけ“お試し留学”をしてみることにしたのだ。
西野さん一家の教育費には、こうした留学費用が含まれる。では1年間のアメリカ高校留学に、一体いくらかかるのだろうか…。
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