2023.12.07
大切な記念日や、ここ一番のデート…特別な夜を艶やかに、贅沢に彩ってくれるレストランは重宝するもの。
今回は“THE・港区”らしい、ラグジュアリーな人気店7軒をご紹介しよう。
星条旗通りの裏手で、唯一無二の個性を放つ新鋭
フレンチ激戦区でもある港区に今春、豪奢な店内が印象的な個性派がオープン。外観、そして料理までも未知のもので、コンセプトには“SFフレンチ”を掲げる。
大人の好奇心をくすぐる響きだが、果たして、その言葉が意味することとは?
世界でも似た店は絶対にない。そんな魅力を入店から退店まで絶えず感じるから誘いがいがある
西麻布の路地裏でホログラムに光る扉。まるで異次元にワープしてしまいそうで、入店すると不思議さは倍増。
壁に金の石が無数につき、聞けばオーナーが集めた約150個の石を金箔で包んだとか。カウンターには金のオブジェが4体。
そんなデザインを手掛けたのはあの森田恭通さん。
「石はひとつとして同じ形がない。この店も唯一無二になりたい」と『J'apprends』のテーマを形にしている。
噛むごとに広がるハーブ、スパイスの多彩な香りに楽しみが尽きない
“SFフレンチ”とは、スパイスやハーブを使った半歩先ゆくフレンチの意。元シェフのオーナーが国内外で見つけた食材をシェフの小澤圭司さんに伝え、新メニューが完成する。
小澤さんは星付き店も含めフランスで4年研鑽を積み、本場の柔軟なスタイルを知るからこそ「自由なフレンチを提案したい」との言葉に説得力がある。
“鰹のたたき”という名からは想像できない美しいひと皿なら、鰹にはタジェットなどのハーブがのり、アサフェティダなどのスパイスでソースを仕立てる。
口にすればなるほど、確かにこれは新感覚。
「ブーダンノワール 林檎のタルトとクーリ」。
りんごのタルトに滑らかなブーダンノワールをのせ、セルフィーユ、かりんのソースを添えている。
そんなSF体験をふたりで共有すれば、いっそう遠くへ行けそうだ。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
日仏を中心に、スパイス&ハーブとの相性を追求。
「レ・ピエ・ロティ シノン」9,900円、「アルマン ジョフロワ ジュヴレ・シャンベルタン」19,800円、「キュヴェ三澤」49,500円。
■店舗概要
店名:J'apprends
住所:港区西麻布1-4-23 アルゴ西麻布 1F
TEL:03-4360-3627
営業時間:18:00~(L.O.20:00)
定休日:日曜、不定休
席数:カウンター7席、個室1(4席)
アメリカの大自然が育てた、自家製ブラックアンガス牛をコースで
神楽坂で人気を博したステーキハウスが赤坂に移転し、よりラグジュアリーな世界観を作った。
足を運ぶ目的はアメリカから直送するブラックアンガス牛。食べるサプリのように体を元気にする赤身肉が、彼女の笑顔を約束する。
◆
『COWMAN STEAK CLUB』が入るビルに着いても迷ってしまう。というのも、他のテナントとは別の場所に表札ほどのプレートがあるだけだから。
階段を下りると通用口のような鉄扉が現れ、中に入ればアートやシャンデリアで彩られた空間に一変。
そんな港区らしい贅沢な隠れ家のオーナーについてシェフに聞くと、「今日は自社牧場に行ってまして」との答え。
実はここ、アメリカに牧場をもつ日本人が運営する店で、牧場直送のブラックアンガス牛を本場スタイルで提供している。
牧場主がいい部位を牛舎の中で振る舞うことをイメージし、コンセプトは“肉好きのためのクラブ”だ。
こういうステーキが食べたかった!ヘルシー志向の彼女と、リュクスなダイニングで意気投合する夜
イタリアン歴6年、ステーキ歴6年の料理長によるコースは、各部位の特性を見極め、ユッケ、ミニバーガーとさまざまなスタイルで提供。
Tボーンのサーロインを使ってユッケ風に仕上げた「タルタル」。
薄くスライスしたローストビーフに、自家製BBQソースがベストマッチな「COWMAN 特製ミニバーガー」。
理想の気候で健やかに育った、究極のアメリカンステーキ
主役は900度まで上がるオーブンで焼く「Tボーンステーキ」で、1枚で2名分。「肉本来の味を知ってほしい」と熟成はかけず、放牧で育った牛の健やかな身質が際立つ。
毎週でも食べたくなる食後感で、肉に関して舌の肥えた相手を誘うに最適。
ふたりで楽しむ秘密基地のような肉処だ。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
ブルガリアの注目銘柄から“ボルドーの宝石”まで。
「エニーラ レゼルヴァ」8,800円、「アルテミス カベルネ・ソーヴィニヨン」22,000円、「シャトー・マルゴー」220,000円。
■店舗概要
店名:COWMAN STEAK CLUB
住所:港区赤坂2-20-19 赤坂菅井ビル B1F
TEL:03-6441-2503
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜、月曜
席数:カウンター10席、テーブル4席、個室2(12席)
六本木ヒルズの隠れ家で港区随一の“アフタヌーンティー”を
『アサヒナガストロノーム』といえば、日本橋にある二ツ星フレンチ。シェフの朝比奈 悟さんは名だたる店で星を獲得し続け、その料理は芸術の粋。
そんな大御所が監修する、セイボリーに特化した新業態が誕生した。
高貴なグリーンとシルバーを駆使したギャラリー的ラウンジ
けやき坂といってもビルの裏側で、静かな立地にある『ギャラリーアサヒナ』。扉を開けると、そこはブティックホテルのラウンジのような空間だ。
センス良くグリーンでまとめられ、ソファの座り心地も満点。なぜソファかといえば、ゆったりと会話を楽しみながら、朝比奈 悟さんのセイボリーやデザートを楽しむ場所だから。
卓上には本店同様「クリストフル」のカトラリーが置かれ、セッティングから心をときめかせる。
幻想的な白煙の上に広がるセイボリー。ブーケを贈るようにもてなせば、自然と彼女の笑みがこぼれる
見目麗しい「セイボリーコレクション」が登場したら、デートはほぼ成功。
そこには馬肉のタルタルやフォアグラのムースなど、『アサヒナガストロノーム』の象徴的な料理ものる。ひと口サイズながら繊細な味のレイヤーはさすがで、シャンパンが進むのはいわずもがな。
日本一贅沢な“飲めるアフタヌーンティー”といっても過言ではない。
スープのような「有機野菜のコールドプレスジュース」。
ミニトマトとパプリカ、パイナップルなどが入り、レース部分はタルト生地。
次に「フリヴォリテ」というグルメの地層のようなサンドイッチがきて、最後のお楽しみは本店のシグネチャーであるりんごのデザート「ポム・ダムール」。
流れる時間を愛でるようなコースは、大人の余裕を育んでくれる。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
ワインは4,950円でフリーフローを用意。
右から「ドメーヌ・カブロル ピクプール」、「シャンパーニュ マリードゥメ」。「ヴィンテンス スパークリング ロゼ」などノンアルも。
■店舗概要
店名:ギャラリーアサヒナ
住所:港区六本木6-12-2 六本木ヒルズ けやき坂通り 3F
TEL:03-6804-3306
営業時間:ランチ 12:00~
イブニング 15:00~
ディナー 19:00~
定休日:月曜、第2・4火曜
席数:テーブル22席
日本ならではの個性が光る中華の注目店が、オフィス街にひっそりと!
浜松町駅から徒歩5分。港区の中でもオフィス街として人が行き交うエリアに中華と和食が見事に融合する店はある。
大人の味覚を成長させるような新しい食体験は、気になる人を誘うにも最適。食後、感想を言い合う時まで充実するだろう。
◆
デートで『岩桧葉』に行くなら、コースが始まる少し前に店に着くのがいい。
3階でエレベーターの扉が開くと目に入るのは小体なバー。ここで食前酒を1杯飲んで食事を始めるのが小粋だからだ。
懐かしくも新しい。そんな空間で「和魂漢才」な中華と出合えるからどんな相手にも高揚感を抱かせる
ダイニングに入ると、そこはステンドグラスが映える少しノスタルジックな空間。
“大正ロマン”をテーマにデザインされ、店名である古典園芸植物“岩桧葉”の鉢も並ぶ。ライトやカウンターにはモダンなテイストを取り入れ、全体の艶やかさは申し分なし。
中華と和食の融合となるコースは、六本木の『虎峰』在籍時に小皿中華ブームに火をつけた山本 雅さんと、シェフの北川友透さんが話し合い決めている。
北川さんは和食歴18年のベテランで、山本さんによる中華のエッセンスをより鮮やかにしている。
鰻、刺身、茶碗蒸し……。和食の意外な取り込み方に驚く
例えば「フカヒレ茶碗蒸し」なら、茶碗蒸しは和食の出汁で作り、上にはフカヒレと白湯(ぱいたん)の餡といった塩梅。
そこに紹興酒のような口当たりの白ワインを飲めば、優美なマリアージュとなる。
「鰻の蒲焼き北京ダック風」。
蒲焼きにした鰻やキュウリを餅皮で包む。パチパチ音がするキャンディがのり、口内での刺激も楽しい。
メニューにはキーワードしか記載されないため、出てくる料理のサプライズ感もひとしおなのだ。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
ソムリエが常駐し、ペアリングも提案。
「テヌータ・デッレ・テッレ・ネーレ」8,800円、「ドメーヌ・レシュノー」16,500円(茶碗蒸しに合わせる白)、「リロイ ニーマン」35,000円。
■店舗概要
店名:岩桧葉
住所:港区浜松町2-1-6 ADsis Daimon 3F
TEL:03-6381-5277
営業時間:18:00~(L.O.22:00)
定休日:土曜、日曜
席数:カウンター11席、個室2(4席、4席)
日本料理の申し子が名店での研鑽を経て実家の屋号を継承
今年オープンした和食で注目を集める俊英といえば『割烹 室井』の二代目店主。
割烹店を営む両親のもとで育ち、修業先は港区を代表する人気店『山﨑』。確かな技量に自身の個性も光る新店は、カウンターでの臨場感が醍醐味だ。
◆
約3年前、西麻布の『山﨑』で修業を始める時から『割烹 室井』を移転開業させることを決めていた室井 豪さん。
そこは父が腕を振るい、銀座で40年以上愛された名店だ。移転先は、自身が「この辺りがいま飲食の中心」と思う西麻布交差点に近い路地裏。
入口を進むと繋ぎ目のない6mほどの檜カウンターに出迎えられる。
瞬間ごとの技、香り、味わいに刺激を受け、洗練された大人に一歩近づいた気持ちになる夜
「目の前で仕上げるライブ感を大切に」と室井さん。出汁も鰹節を削るところから始め、早くも漂う芳香と小気味良い音が食指を動かす。
特注の削り器は底が深く、十分溜まった鰹節をふわりと昆布だしに落とす瞬間、立ち上る香りに魅了される。
近年はまず出汁だけひと口飲ませる店も多いが、「出汁は引いてから少し置くと味が丸くなるし、お椀に期待してほしい」と時流にのらず個性を貫く。
蓋を開けた瞬間に心華やぎ、口にして至福に浸るお椀
お椀の蓋を開ければ、のどぐろと合わさった出汁に3度目の香りを感じる。
土鍋に入れる直前に切った松茸をのせた煮えばなは、カウンター中に松茸が香る。
ミンチにした鯛の身で骨の出汁を澄ませたスープで、米を炊いている。
食べ手の感性が磨かれる食体験こそ、大人な男女の贅沢だ。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
赤と白はブルゴーニュに特化している。
「ムルソー キュヴェ・デュ・パンドレア」47,000円、「デュジャック シャルム・シャンベルタン」90,000円、「サロン 2012」270,000円。
■店舗概要
店名:割烹 室井
住所:港区西麻布2-16-4 第二吉山ビル 1F
TEL:03-6805-1994
営業時間:18:00~ ※一斉スタート
定休日:日曜、祝日の月曜
席数:カウンター8席
横浜で50年以上愛され続ける、老舗焼肉店の高級業態がけやき坂に!
ラグジュアリーな焼肉の宝庫である港区。選択肢は多いが、けやき坂に確かな出自とひと際贅沢な空間をもつ店が誕生したことは意外と知られていない。
六本木らしい華やかさと老舗の実力を兼ね備えた焼肉店は、ここぞの夜にも最適だ。
◆
けやき坂沿いにありながら、階段を少し上った所にあるので人目につきづらい。
贅を凝らしたオリエンタル空間で肉とワインの宴に興じれば、六本木の夜が深く煌めく
扉を開けると、焼肉店には珍しいほど天井が高く、壁には巨大なワインセラー。
さらに年末はイルミネーションの特等席とあって、店内に入っただけで贅沢な夜を予感する。
『大徳壽TOKYO 六本木けやき坂』は、横浜で創業51年となる老舗の姉妹店。
港区ど真ん中を意識したオーナーの「モダンラグジュアリーと色気」を表現した空間となっている。
創業半世紀の老舗を母体にもつがゆえの、肉の品質に唸る
用意されるのは、神戸や宮崎をはじめ、日本全国から厳選した黒毛和牛。
50年近い付き合いの仕入れ業者との密な関係によりハイレベルな肉を常備し、中でも象徴となるのが「棒ハラミ」だ。
棒状の極太ハラミをステーキのように休ませながら焼いて食べる名物で、この形状で出せるのも特別な仕入れルートがあってこそ。
噛めば最高級ハラミの証である繊細なサシと肉肉しさの共存が堪らない。
「宮崎産黒毛和牛のシャトーブリアン」10,780円。
創業時から受け継がれる醤油ベースの下味を絡ませて。上質な脂が口内で甘く溶けていく瞬間が至福だ。
また、韓国にルーツがある店なので韓国料理も充実。
極上の肉とワインを楽しんだあと、冷麺やミノチャーハンで〆るなんていうのも、港区らしいこなれた遊びだ。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
ボルドーの弩級銘柄から、デイリーなシャブリまで常備。
「ラ シャブリ ジェンヌ シャブリ ラ ピエレレ」7,700円、「クリュッグ グランド キュヴェ」68,200円、「ペトリュス」990,000円。
■店舗概要
店名:大徳壽TOKYO 六本木けやき坂
住所:港区六本木6-9-1 テレビ朝日本社ビル けやき坂沿い 1F
TEL:03-6434-9037
営業時間:【月~金】17:00~(L.O.22:00)
【土・日・祝】ランチ 11:30~(L.O.14:30)
ディナー 17:00~(L.O.22:00)
定休日:無休
席数:テーブル38席、個室5(30席)
銀座の高級広東料理店が、人気ホテルに姉妹店をオープン
港区というと西麻布などを連想するが、お台場の海浜公園周辺もまた港区。
同エリアに立つ「ヒルトン東京お台場」の中華が、銀座の人気店の姉妹店として生まれ変わった。高級食材の真価をダイレクトに味わえる広東料理に注目だ。
◆
銀座の『家寳 跳龍門』といえば、香港出身の袁 家寳(エン カポ)さんが総料理長を務める広東料理店。
焼き物から蒸し物、スープまで、さすがは香港トップクラスの店の日本支店を長年任されたシェフの手腕、といった味わいだ。
そんな家寳さんが監修する姉妹店『中國料理 跳龍門』が、「ヒルトン東京お台場」に開業した。
重厚な観音扉を抜けると、まず見えるのは熱帯魚が泳ぐ大きな水槽。その先はバーで、ホテルオーナーが集めた日本有数のウイスキーコレクションが圧巻だ。
まるで現地の五ツ星老舗ホテルのようなクラシックな空間で、料理にも伝統の技が活きる。
素材の旨みを持ち上げる、手の込んだ仕事ににじむ矜持
料理長の並木功二さんは前職も広東料理の名店で、中華歴約30年のベテラン。
広東料理の象徴でもある干し鮑の煮込みは、自慢のスープで丁寧に炊いた逸品で、肉厚の身にとじ込められた干し鮑の旨みに陶然となる。
食材が高級になった時こそクラシックの底力を実感し、その潔さが食べ慣れたふたりにはかえって新鮮に映る。
「近江鴨のクレープ包み 鴨レバー添え」。クレープに自家製甜麺醤(テンメンジャン)を忍ばせる。
小細工なしの広東料理に香港を感じるけれど、帰り道に見るのはレインボーブリッジからの絶景
タクシーでレインボーブリッジを渡り、都心の夜景を楽しむコースで帰宅を。
それは大人の港区内遠足のような夜になるだろう。
【WINE TIPS】
気になって仕方ないワインの相場
フランスを中心に銘酒ぞろい。
「シャブリ ボワッソヌーズ」11,000円、「シャトー・ド・マルサネ シャンベルタン」24,000円、「テタンジェ・コント・ド・シャンパーニュ」78,000円。
■店舗概要
店名:中國料理 跳龍門
住所:港区台場1-9-1 ヒルトン東京お台場 2F
TEL:03-5962-1288
営業時間:ランチ 11:00~(L.O.14:30)
ディナー 17:30~(L.O.21:00)
定休日:木曜(祝日の場合は営業)
席数:テーブル16席、個室5(6席2室、10席3室)
今月の『東京カレンダー』は「港区」を特集。圧倒的にラグジュアリーな店からアットホームな一流店、費用対効果が高いカジュアル店まで完全網羅。
港区好きはもちろん、港区に興味がなかった大人にもぜひ手に取っていただきたい1冊になっている。
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※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は11/21(火)から。
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