エンジェル係数という言葉を、ご存知だろうか?
これはエンゲル係数にひっかけたワードで、全消費支出に占める教育費の割合のことを指す。
この連載では、普段絶対に知ることのできない“ある家庭の教育明細”を紹介していく。
他人の家計簿を覗き見して、我が家のエンジェル係数が高すぎないか、答え合わせをしてみよう。
取材・文/風間文子
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慶應中等部に合格させた世帯年収1,200万の家庭が、小6の1年間で費やした教育費の詳細
我が子を医学部に入れた一家の、家計薄はどうなっている?
【今回の取材対象者】
名前:三輪さん(52歳)
職種:一般事務(パート)
住居:中部地方の一戸建て住宅(持ち家)
家族構成:夫(52歳)、長男(21歳)、長女(18歳)
小・中学生を対象にした「将来なりたい職業ランキング」で依然として人気があるのが、医師という職業だ。
読者の中にも、かつて憧れた時期があったという人も少なくないだろう。
ただし、国内でこの職業に就くためには本人の努力ではどうにもならない壁がある。
医師として必要な国家資格を得るためには、医学部を卒業する必要があるわけだが…。同学部を卒業するまでには、最短でも6年を要する。
その間の学費はというと、6年間で約2,000万円。中には4,000万円もかかる大学などもあり、医師への道をより険しくさせているのが現実だ。
では、お金に余裕のある家庭に生まれなければ、医師にはなれないのだろうか。
今回取材をお願いしたのは、医学部に息子を入れたという母親・三輪さん(仮名・52歳)だ。
「夫がサラリーマンをしていて、私は一般事務のパートをしています。ごく普通の家庭で、夫婦ともに医者の家系というわけでもありません」
そう語る三輪さんの家計はどうなっているのだろうか。
【三輪家の家計簿】 ※長男が大学3年の現在
上の表は、息子が大学3年生となっている今現在の三輪さん一家の、1ヶ月の家計簿となる。
息子は大学近くのアパートで一人暮らしをしており、自宅には三輪さん夫婦と長女の3人で暮らす。
食費は月8万円以内に切り詰め、自分たちの老後に備えた貯金はほとんどできていない状況が伺える。おまけに、長女の教育費にもお金がかかっていた。
「娘は今、音楽の道に進もうとしていて。そちらにかかる費用が月10万円程度ですね。
持論として、子どもの教育費は集中してお金をかけないといけないタイミングがあると思っているので、とりあえず自分たちのことは後回しです」
その生活は決して楽とはいえないものの、子どもたちが各々の望む道を歩んでいることが、三輪さん夫婦にとって心の支えだという。
では、医学部に通う息子にかかる費用はというと…
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