2023.10.11
日本酒好きの彼女とのデート…店選びにはセンスが問われる。
そんな時に重宝したい、お洒落な雰囲気で日本酒を楽しめる店、珠玉の5軒をご紹介。
今夜は“和”の気分。という日におすすめ!
池尻大橋の246沿い。ビルの5階にあるお店の窓からは首都高が見え、実に都会的。
カウンターを主体にした一軒『sake restaurant & shop めでたし』は、成り立ちからして斬新だ。
オーナーの柴田亜希子さんは、外資系金融機関からの転身組。スペイン料理と日本酒のペアリングに衝撃を受けたことをきっかけに日本酒業界に入った。
「元々、経営をミクロからもマクロからも見る仕事だったので、各業界を俯瞰で見るクセがついていました。その中で、日本酒は世界に認められる価値があるのに、価格が見合っていない業界のひとつ。そこに可能性を感じました」
以来、酒蔵などで修業を重ね、ペアリングをテーマに据えた店をオープンした。
シェフを務めるのは、これまで香港のレストランや赤坂『sansa』で日本酒やビールと料理とのペアリングを模索してきた五嶋千裕さん。
こちらでは旬の食材を使ったイノベーティブな料理を展開。
センス溢れる料理は、抜群に華やかでどのお皿もアートのように美しく繊細。
焼とうもろこしに着想を得た、美しい「夏祭り」。焼いた白身魚とバナナを、とうもろこしと麦味噌の濃厚なソースでいただく、甘みと香ばしさにあふれた一品。
合わせるのは、サラッと広がるような純米酒「会津娘 芳醇純米酒 一火」。濃厚な料理を日本酒が支える。
夏の涼をイメージした「滝涼し」は、桃とズッキーニ、モッツアレラ、生ハムを、桃とズッキーニの緑茶のような色のソースで合わせた一品。
甘く爽やかなひと皿を、透明感のある純米吟醸と合わせ、輝くようなペアリングが完成。「朝日榮 純米吟醸 Summer Edition」。
柔らかいアイスランドラムを、酒粕入りのカレーソースでいただく「向日葵」。
こちらは、完熟メロンのような甘みと複雑味のある純米吟醸で。強いもの同士の一体感がある組み合わせ。「にいだしぜんしゅ 生酛めろん3.33」。
すべて「季節のペアリングコース」(13,600円)より。
◆
料理は、麹やフルーツの甘みで味付けされているため、旨みの相乗効果となり、一期一会の味が完成する。
最高のペアリングで日本酒の新たな魅力に触れてみてほしい。
■店舗概要
店名:sake restaurant & shop めでたし
住所:目黒区大橋2-16-26 CRIMSON ONE 5F
TEL:非公開
営業時間:18:00~(L.O.20:00)
定休日:月曜
席数:カウンター6席、テーブル4席
まるで映画のセットのようなお洒落リノベに、高揚感が止まらない
神楽坂の路地裏には、隠れた良店が点在する。そんな中でも目を引くのが、テラスと庭付きの開放的な一軒家『のいえ』だ。
まるで南国の邸宅のような存在感だが、階段の先にはよく酒蔵の軒先などで見かける杉玉が。
中にはトタンや鉄骨柱で囲まれた空間が広がり、映画のセットのような計算し尽くされたお洒落感がある。
お馴染みの銘柄から希少な一本まで!玄人をも唸らすラインナップ
驚くべきは、この空間で日本酒の飲み放題が楽しめること。しかも、2時間2,950円とリーズナブルながら、日本酒は100種類以上というから驚き。
システムは単純明快。各フロアにショーケースがあるので、セルフで注ぐだけ。
「メニューを見て注文するより、見た目のフィーリングで選んで自分で注ぐこのシステムが楽しいようです。酒器を選べるのも好評です。“実家の冷蔵庫を開けている感覚”というお客様もいらっしゃいました」と店長の佐藤 喬さん。
日本酒初心者向けに、と選んでもらった3本。
左からレア度の高い「田林テロワール」、白ワインのような味わいの「笑四季 Sensation 純白ラベル火入れ」、海鮮に合う王道キリッと系の「陸奥八仙ISARIBI」特別純米(火入)。
ズラリと並ぶ酒器も100種類以上あり圧巻。
勇ましいラベルの王道ボトルから希少なボトルまでを、自分の感覚で飲み比べられるのだ。
料理は顔の見える生産者から届いた食材や、しょっつるなどが隠し味に使われたアテが豊富。
新鮮なアジをその日のうちに揚げた「境港のアジフライ」750円。
秋田県東成瀬村の手作りのいぶりがっこが入ったタルタルソースでいただく。
「ホタテの自家製ドレッシングサラダ」(750円)は、北海道猿払村でとれた大きめの貝柱を使用。自家製ドレッシングはしょっつると塩辛が入って磯の香りが漂う。
日本酒を誘う“飲めるサラダ”とも。
スマホオーダー限定の隠れメニューにも注目!
注文は口頭でもできるが、スマホオーダーも可。しかも、スマホオーダーにしかない隠れメニューもあるので、それを楽しみに通う人も多いとか。
パスタ、お茶漬け、バターライスなど〆ものが中心となっている。
写真は「〆の和風パスタ」1,200円。
東京とは思えない非日常の空間で、全国各地の銘酒との巡り合いをぜひ。
■店舗概要
店名:のいえ
住所:新宿区神楽坂6-23 2F
TEL:03-6770-0634
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.13:30)
ディナー 18:00~(L.O.22:00)
定休日:不定休
席数:テーブル38席、カウンター8席
ミクソロジストの手によって、日本酒の新たな扉が開く
本来、日本酒は冷やす、温めるといった飲み方はあれど、そのままを味わう酒。
だが、“お酒は自由なものである”という考えから、ここ『FOLKLORE』ではカクテルの構成要素として、日本酒と向き合う。
店に立つ陰山翔吾さんは「日本の風土で育まれてきた酒を使って、日本でしか味わえないカクテルを作る。僕たちがこの店で目指していることです」と話す。
オーナーはミクソロジストとして知られる南雲主于三さん。それだけに、エイヒレの香りをウォッカに移したオリジナルスピリッツを使うなど、発想も大胆かつ斬新。
「エイヒレ」1,760円。酒蔵のある石川県という海に近いテロワールに着想を得た一杯。
エイヒレの香りを移したオリジナルウオッカと純米酒を掛け合わせることで、魚の旨みが確かに感じられる。
「オリジン」1,650円。
岩手県・遠野の「権化どぶろく」。強い酸味にカモミールと洋梨のウオッカをミックス。華やかな香りと酸っぱさが溶け合う。
◆
店で使う日本酒は、いずれも実際に酒蔵を訪れ、造り手の思いを直接耳にしたものばかり。
現地を訪れることで、その土地ならではの水や気候に触れ、新しいカクテルのインスピレーションに役立てているとか。
日本酒で作るクラシックカクテルから唯一無二のオリジナルカクテルまで、どのグラスにも貫かれているのは、確かな日本酒の舌触り。
飲んだ瞬間にガツンと味を感じることもあれば、アフターテイストに含ませることも。
焼酎を使ったカクテルも用意
新なアイデアから生まれた一杯からは、日本酒の無限の可能性を感じるに違いない。
日本酒に寄り添う新作つまみが登場!
北海道のブランド銘柄「神威豚」を使った「豚の角煮」750円。
系列店のシェフが手掛けており、日本酒カクテルとの相性は抜群。
ミクソロジーの定義とは?
そもそも、ミクソロジーとは「Mix(混ぜる)」と「Ology(~論、~話)」を組み合わせた造語。
ハーブ、スパイスなど使用する素材は多岐にわたる。南雲さんの店ではさらに広義に捉え、香木や特製リキュールなどを使い、まったく新しい味を作り出す。
■店舗概要
店名:FOLKLORE
住所:千代田区内幸町1-7-1 日比谷OKUROJI
TEL:03-6770-8785
営業時間:14:00~(L.O.23:00)
定休日:第2月曜
席数:カウンター8席、テーブル4席
店内は見渡す限り、お洒落要素にあふれている
浅草と蔵前の中間。路地裏に、まるでブルックリンのバーのようなレンガ作りのお洒落な一軒がある。
店に入ると、左手にタンクがあり、奥にはカウンターとテーブルが。
店を入ってすぐの場所にタンクがある。ここで仕込みから梱包まで行われている。
ここが全国でも希少などぶろく専門の醸造所として産声を上げた「木花之醸造所」の併設バル『ALL WRIGHT sake place』だ。
これまでのイメージを覆すスマートないでたちに目を見張る
どぶろくといえば、とろりとした舌触りに白濁したテクスチャー、甘みと酸味が特徴の酒。日本酒好きには知られるものの、玄人が飲むイメージも強かった。
だが、ここではそんな印象を一変させる“スタイリッシュなどぶろく”を楽しめる。
ボトルデザインも秀逸で、酒造りの神様として知られる木花之開耶姫がモチーフ。当初から海外での展開を狙っており、シンガポールや香港でも好評だという。
店内では、オリジナルラベルをはじめ、ジャスミン、トロピカル、桜といったフレーバーを加えたフレッシュなどぶろくを複数飲み比べすることが可能。
フードメニューには“どぶろくに合う最強のアテ”が並ぶ。
「どぶろくはテクスチャーがあるからこそ、合わせる料理は選びますが、それがまた面白い」とは、代表の細井洋佑さん。
オススメはヨーグルトを使わず、塩麹と甘酒、スパイスに漬け込んだ「タンドリーチキン」1,500円。
店内でのグラスサイズは、飲み比べにぴったりな90ml(550円)としっかり味わえる144ml(780円)の2種類。
◆
ラベルごとに異なる個性あふれる香りと豊かな風味のバリエーションは、日本酒の原体験としても驚きと発見の連続。
旨みを強調した料理とともに、スタイリッシュな夜を楽しみたい。
ラッパーの漢が所属する鎖グループとのコラボアイテムは、どぶろく仕立てのCBD微炭酸日本酒。
■店舗概要
店名:ALL WRIGHT sake place
住所:台東区駒形2-5-5 小宮ビル B1F
TEL:03-5811-1905
営業時間:【月~金】17:00~(L.O.21:30)
【土・日・祝】15:00~(L.O.21:00)
定休日:不定休
席数:テーブル30席
大人が知っておくべき、使える一軒の最適解がここに
都内に展開する系列店は全6店。昨年には、吉祥寺の『PLAT STAND 酛』がオープン10周年を迎え、“日本酒といえば”の筆頭に“酛”の名が挙がるのは誰もが認めるところ。
「伝統文化である日本酒の素晴らしさを伝えていきたい」という思いは、もはやグループ共通のコンセプトというよりは、使命感といった方がしっくりくるかもしれない。
今春、開業と同時に話題を集めた「東京ミッドタウン八重洲」に構えた『酛TOKYO』も根底は同じだが、ここでは新たに食というキーワードを加え、スタンディングエリアと扉一枚隔てた奥に割烹スペースを設置。
世界にその魅力を伝える最前線の発信基地として、存在感を高めている。
シーンに応じてスタンディングと割烹を楽しめる2WAYスタイルは、近隣のワーカーならずとも使い勝手がすこぶるいい。
どちらの空間も和の設えとモダンなインテリアがミックスされ、デートシーンにも十二分に対応。
唎酒師のスタッフも常駐しているので、好みの一杯を見つけることも容易だ。
日本酒シーンを支えてきたからこそ提供できる、小規模酒蔵の味に注目
真骨頂は小規模な酒蔵を中心とした“まだ知られていない”一本に出合えること。『酛TOKYO』のみの限定品も。
左から「左大臣 酛TOKYO 限定おりがらみ」、「萩乃露 純米大吟醸 短稈渡船40 直汲み 生原酒」、「川鶴純米大吟醸 きもと さぬきよいまい40 直汲み 生原酒」。グラス 800円~。
目にも美しい旬の味が、厳選した日本酒に寄り添う
割烹スペースでの料理はコースのみ。料理長が毎朝、豊洲市場で自ら買い付けた旬の食材を堪能できる。
鱧と京野菜“絹かわなす”の「お椀」。
まぐろ、鯛、鱧、甘エビ、アオリイカの「造り」。
知られざる銘柄や食材とのペアリングなど、新たな出合いに胸ときめかせる夜になるに違いない。
個室で会食も、フラッと立ち飲みも叶う
割烹スペースは扉で入口付近と仕切られており、商業施設の喧騒を感じさせない。こちらが個室。
立ち飲みスペースにはショーケースが。
平日は仕事帰りの一杯を求める客で賑わう。
■店舗概要
店名:酛TOKYO
住所:中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 3F
TEL:03-6910-3877
営業時間:[割烹スペース]16:00~(L.O.22:00)
[スタンディングスペース]15:00~(L.O.22:00)
定休日:月曜
席数:[割烹スペース]カウンター6席、テーブル2(6名)
[スタンディングスペース]12席
今月の『東京カレンダー』は「密やかなる青山へ。」特集。上質で艶やかなデートでお株が上がる店だけを厳選してピックアップ。
昼のイメージが強いエリアの夜の美食体験は、ふたりの関係をより濃密にしてくれるはずだ。
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※東京カレンダーは毎月21日頃の発売です。今号は9/21(木)から。
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