
ガストロノミーのセンスが光る、骨太ビストロ料理の最先端
※こちらの店舗は、現在休業しております。
パリの『ステラマリス』をはじめ、芝、汐留、銀座の3店舗を合わせて、全部で5つものミシュランの星を持つ名料理人、吉野建シェフ。これまで、ガストロノミーばかりを手掛けてきた吉野シェフが、この4月新たな挑戦の場として広尾にオープンしたのが、ここ『ラ トルチュ』。オーセンティックなフランス料理を中心にした、街場のビストロである。
「いくらおいしくても、“ガストロ”では出せないフランスの郷土料理や家庭の味は、いっぱいある。カスレとかね。素朴だけれど、しみじみと味わい深い、フランスの日常のごはんを食べられる店があってもいいんじゃないかなぁってね。フランスに長く住んでいて、そう常々思っていたんです」
ビストロ料理を提供することで、今一度、自らの料理の足元を見つめ直す思いもあったのかもしれない。フランスの伝統料理にこそ、吉野フレンチが旨とするテロワールの考え方の原点が根付いているのだから「居酒屋感覚で使ってほしい」の言葉通り、コースは一応用意されてはいるものの、ここではアラカルトが正解。
カウンター席でひとり、パテとワインで軽くやるもよし。ボリュームたっぷりの料理を仲間でシェアし、盛り上がるも一興。いずれの料理も、ビストロのエスプリをきかせた骨太な仕上がりながら、どこか繊細。
ガストロノミーをしのばせる、繊細さと下ごしらえの丁寧さが光る。