ハレの日に行きたい もてなしの牛肉料理 Vol.2

テッパンヤキ ミヤチ

鉄板焼 宮地

脇役を主役に昇華
熟成の力で、新たなステージ

左.たらば蟹と夏野菜のゼリー寄せ。料理は全て、宮地お任せコース¥10,500より旬満載の皿

右.40日熟成の松永牛もも肉と50日熟成の北薩摩牛サーロイン。従来の格差を覆す甲乙つけがたい味

「熟成肉、何ものぞ」

リーガロイヤルホテル東京・鉄板焼シェフ時代、宮地康夫氏は日本各地の銘柄牛を訪ね歩いた。ここ数年、話題の熟成肉を使うレストランにも、無論足を運ぶ。だがそれらは硬く、旨みが充実していない。

「その程度のものなのか……」

失望はある食肉業者から入手した熟成牛もも肉で一転する。柔らかくコクがあり、何よりステーキになりえないはずの部位が、主役に化けるだけの力量を備えていた。だがホテルでは専用熟成庫を必要とする熟成肉は取り扱えない。震災で店は一時クローズ、自らの来し方行く末も去来した。思えば節目の50歳。銀座『鉄板焼 宮地』開業を決める。人生を動かす素材に出合い、わずか数カ月後のことだった。
『宮地』で使用する肉は鹿児島・北薩摩牛と島根・松永牛。一頭買いし、部位に合わせ最低40~50日、ドライエイジング(乾燥熟成)させる。“超熟成黒毛和牛鉄板焼”との看板に偽りはない。

熟成肉は通常より脂が甘く、融点が低い。常温に置くとみるみるキラキラと脂が湧き出すように溶ける。常温に置き、焼き、休ませる時間は、部位と状態により全て異なる。的確な作業で肉最大限の能力を引き出す技量は、ベテランならでは。焼き上がった肉を切り分け、時間差で提供し、味のふくらみの違いをも、お客に伝える。芸は細かい。

「元気を失いつつある食肉業界を盛り上げたい」。遅咲きの大輪は、牛もも肉か、料理人か。

左.表面を焼いた肉は鉄板の端を使い、じっくり低温で火入れする

右.わずかに炙ったみすじの鮨。強い甘みがまさにトロを思わせる。提供するのは必ず一貫。「また来たいと、思っていただきたくて」

シェフ・宮地康夫氏。’05年より、リーガロイヤルホテル東京の『日本料理なにわ』鉄板焼シェフを務め、2011年7月現店オープン

スタッフの多くはリーガロイヤルホテルの卒業生で、宮地氏とは気心の知れた仲。新店とは思えぬ、落ち着いた雰囲気が漂う

熟成庫内の温度はチルド状態。一頭買いした牛を部位に合わせて熟成させ、余すところなく使う


東カレアプリダウンロードはこちら >

【ハレの日に行きたい もてなしの牛肉料理】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ