2023.07.21
SPECIAL TALK Vol.106
小学生時代の呼び名は「九十九里の神童」
金丸:早速ですが、堀江さんはどちらのお生まれですか?
堀江:東京都大田区ですが、しばらくして千葉の九十九里に引っ越しました。小学生の頃は「九十九里の神童」と呼ばれていましたね(笑)。
金丸:では小さい頃から優秀だったんですね。ご両親もお医者さんだったのですか?
堀江:どちらも違います。父は秋田県の湯沢というところの生まれで、父の両親、つまり私の祖父母は早くに亡くなりました。その後、父はおばに預けられ、大学進学で東京に出てきました。
金丸:たしか、堀江さんは東京大学のご出身でしたね。ひょっとしてお父様も?
堀江:そうです。
金丸:親子そろって優秀ですね!
堀江:ただ、父は就職するにあたってすごく苦労したようです。最終面接までは進むけど、日本銀行や日本勧業銀行からなぜか内定がもらえない。私から見ても父は変わり者だったので、それが理由なのかもしれませんが、父は「両親がいないから落とされたんだ」と言っていました。
金丸:たしかに昔は、そういう理由で採用されないことがあったように記憶しています。「女性は実家住まいじゃないと落とされる」と、まことしやかにいわれていました。
堀江:結局、父は海運会社に就職しました。それなりの成績を上げて第一勧銀にも出向させてもらい、会社ではかわいがられたようです。
金丸:実は、私の父も海運業界で働いていました。私たちの親世代だと、海運はそれでも花形だったじゃないですか。景気の影響をモロに受ける、浮き沈みがある業界でもありましたが。
堀江:父の会社も吸収合併がありましたね。でも浮き沈みどころか、ある日突然、父は会社を辞めました。
金丸:えっ!それもうちの父と同じです。運命を感じますね(笑)。お父様は次に何をされたんですか?
堀江:それが、「俺は小説家になる」と。
金丸:ええっ、小説家!?すごい急展開ですね。
堀江:それで東京の家を売って、家族全員で千葉に引っ越しました。父はペンネームもすでに考えていて、なんとペンネームが入った原稿用紙を1,000枚も作って。
金丸:気合十分ですね。お父様の小説は堀江さんから見て、どうでしたか?
堀江:どうもこうも。生涯1枚も書かなかったと思います。1行くらいは書いたかもしれませんが、作品としては何も残っていません。
金丸:小説家になると言ったのに、小説は書かなかった。じゃあ、堀江家はどうやって生活していたのですか?
堀江:父は投資家になったんです。毎日、ラジオで短波放送を聞いて、株の取引をしていました。相場は15時に終わります。そのあと学校から帰ってきた私と一緒に遊んだり、テレビで相撲を見たり。
金丸:では、株で儲ける才能があったんですね。
堀江:普通の家だったら、「お父さん、いってらっしゃい」って子どもが見送りしていたのに、うちの父は起きるのは遅いし、ずっと家にいるから「お父さん、お帰りなさい」もない。特殊な環境でしたね。
開成中学校に進み、方言に悩まされる
金丸:ちなみにお母様はどんな方だったんですか?
堀江:母の実家は、銀座で食べ物屋を営んでいました。祖父が始めた、天ぷらの『銀座天一』という店です。
金丸:そうなんですか!知ってますよ。
堀江:祖父は非常に面白い人で、冷蔵庫と換気扇を日本で最初に店舗に導入したそうです。冷蔵庫は天ぷらのネタを冷やしておくため、換気扇は揚げるときに出る煙を外に出すために。
金丸:両家ともユニークですね。
堀江:『銀座百点』という70年くらい続いているタウン誌がありますが、私の母は創刊号から編集にかかわってきました。その母の一番下の弟の家庭教師としてやってきたのが父。そこで両親は出会ったそうです。
金丸:今の話だと、ひょっとして、お母様のほうが文才があったのではないですか(笑)。
堀江:そうかもしれません。おそらく、母もロマンチストだったんですよ。だから、いきなり東京から引っ越すと言う父についていけた。
金丸:お母様はグチも言わず?
堀江:そうです。今となっては、父は東京から離れたかったのかな、とも思います。母方のほうが商売をしていて、そこに組み込まれたくなかったのかもしれません。
金丸:そういうご両親のもとで、堀江さんはどのように育ったのでしょうか?なんとなく、悪さはしていないような。
堀江:九十九里ののんびりした田舎で育ちました(笑)。そういえば、小学校の壁に「大声、バカ声、バカ丸出し」というスローガンが書いてあって。
金丸:大きい声を出すなと?私なんか、すぐに叩き出されそうですけど(笑)。
堀江:それから学校の先生がよく「月給取りになれ」と言っていましたね。
金丸:日払いが当たり前だったのが、月給をもらうサラリーマンが増えて、会社勤めの付加価値が高くなった時代ですからね。ところで、中学校も地元の学校に?
堀江:いや、中学と高校は開成に通いました。
金丸:九十九里から東京の進学校へ。進学にあたって、ご両親の後押しがあったのですか?
堀江:ありました。高度成長期だったこともあり、父の株取引はかなり調子が良かった。だから、いい教育を受けさせようと考えたみたいです。戦前の町長が開成出身で、それ以来うちの小学校からは何年かおきに開成に入っていたので。
金丸:でも、九十九里から開成って、通える距離じゃないですよね。
堀江:景気がいいものだから、父が学校の近くに家を借りてくれて。ときどき母や親戚が来てくれました。
金丸:堀江さんはどんな中学時代を過ごしたんですか?
堀江:実は、最初につまずきました。学校のみんなで遊んでいるときに、ふとした拍子に方言が出てしまって。
金丸:方言といったって、千葉だからそこまでじゃないでしょう。
堀江:そうでもないですよ。たとえば、「疲れた」は「おいね」なんです。「おいねっぺや」と言うと、みんなが「えっ?」って。それから、イントネーションもちょっと変わっていた。それで、気になってしゃべれなくなってしまいました。
金丸:多感な年頃ですからね。
堀江:授業中に先生に当てられて、答えが分かっていても発言できない。
金丸:それは悔しい。でも、ずっとそのままだったわけじゃないでしょう?
堀江:悔しさを勉強にぶつけました。入学当初はビリに近いくらいだったんですが、たまたまある試験でクラスで一番になって。
金丸:普通は、いきなり一番なんてなりませんよ(笑)。
堀江:まだ中学1年生ですから、みんなは多分、そこまで勉強してなかったんじゃないかと。でも、それで自信がつきました。
金丸:部活もしていたんですか?
堀江:小学校のときから剣道をやっていました。千葉にいたときは、警察に習いにいっていましたね。
金丸:警察の剣道ってレベルが高いでしょう。
堀江:小学生なので、そこまでではありませんでした。中学でも剣道部に入って続けたんですが、私たちの上の学年が優秀で、東京都で優勝したんです。
金丸:すごいですね。
堀江:私も結構頑張って、東京都で準優勝し、全国大会に行きました。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
おすすめ記事
2023.06.21
SPECIAL TALK Vol.105
~現役復帰した今だからできることがある元オリンピアンとして伝えたいスポーツの力~
- PR
2025.02.27
とろっとろのフォアグラグラタンに悶絶!冬のごちそうを求めて青山へ行こう
2015.01.22
絶対に負けられない接待が、今宵はある
受注後の社長会食。『旬房』の個室で堅い握手
2023.08.02
ハラスメント探偵~解決編~
「あんた、バカじゃないの!」思わず新入社員の腕を掴み、怒鳴ってしまった!これってパワハラ?
- PR
2025.02.26
“自宅で鮨”は「握る」がトレンド!ホムパを格上げするプレミアムすし酢とは
- PR
2025.02.28
【潜入取材】ニセコの雪上VIPラウンジで乾杯!ラグジュアリーテキーラの真髄を体験してきた!
2016.08.05
銀座だけど堅苦しくない接待に!気軽に使えてビジネスに効く店4選
2023.07.19
ハラスメント探偵~解決編~
「お仕事できないんでちゅか?」と嘲笑う、スーパー上司のやりたい放題に限界!匿名の内部通報の結末
2016.05.19
この手があった!1か月超ステイなら高級サービスアパートメントという選択肢
2016.12.03
この週末に確保しよう!デキる幹事がお薦めする、予算5,000円の忘年会で絶対喜ばれる店6選
東京カレンダーショッピング
『かに物語』:〆まで楽しめる雑炊の素付き!蟹の旨みがたっぷりと溶け出すかに鍋セットミニ
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『東京京橋おばんざい醸』:肉を引き立てる3種の塩!A5黒毛和牛を使ったローストビーフ
『かに物語』:海老・帆立・蟹!ベシャメルソースに、各種海の幸をトッピングした贅沢グラタン
『UMIKARA』:薄切り・厚切り食べ比べ!特製出し汁で味わう若狭湾真鯛の鯛しゃぶセット
『パンツェロッテリア』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『オリベート』:黒トリュフ香る、口当たりクリーミーな究極のティラミス
『ミホ・シェフ・ショコラティエ』:日本を代表するショコラティエ―ルが作る、 ショコラ好きのための濃厚ガトーショコラ
『LOUANGE TOKYO』:アート感溢れるビジュアル!口溶けなめらかな大人の生チョコレートエクレア(6種)
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ
ロングヒット記事
2025.02.27
TOUGH COOKIES
「実は彼と…」32歳女が、抱える秘密。高校時代からの親友に言えずにいる“あの夜”のこと
2025.02.24
1LDKの彼方
29歳彼女と同棲しているのに、将来を考えていない男。結婚を迫られた彼がとった言動とは
2025.03.01
男と女の答えあわせ【Q】
家賃25万円の1LDKに同棲する場合、いくら負担する?女が34歳彼に抱いた違和感とは
2025.02.26
運命なんて、今さら
「彼女の通話履歴を見て…」28歳男のヤバい行動。爽やかエリート社長の裏の顔とは
2025.03.02
男と女の答えあわせ【A】
「家賃と光熱費の負担は…」恋人間のお金問題に、スプレッドシートを作成する34歳男に困惑