夜が明けたばかりの、港区六本木。
ほんの少し前までの喧騒とは打って変わり、静寂が街を包み込むこの時間。
愛犬の散歩をする主婦や、ランニングに勤しむサラリーマン。さらには、昨晩何かがあったのであろう男女が気だるく歩いている。
そしてここは、六本木駅から少し離れた場所にあるカフェ。
AM9時。この店では、港区で生きる人々の“裏側の姿”があらわになる…。
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Vol.7:理玖(26)「プロポーズする前に、関係が切れて良かった」
「杏里と連絡が取れないんだ」
虎ノ門横丁のガヤガヤとした雑音に紛れて、消え入りそうな声で雅人がそう言った。俺と彗は返す言葉が見つからないまま、数秒ほど互いを見つめ合う。
「いつから?」
沈黙を破ったのは彗だった。
「…1ヶ月前から」
「調子が悪いとか、仕......
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