許さない女、許す男 Vol.1

許さない女、許す男:「幼馴染みとディナー」はウソ?彼の“密会”を知り、女は意外な行動に

発覚の経緯は、ありきたりなものだ。

愛菜の友人・黒木瑠璃が、雄大と美女がいる店に偶然居合わせたというのだ。

瑠璃から突然『雄大君と美女がデートしてるんだけど!?』というLINEが届き、愛菜は気が動転した。

― たしか、昨晩寝る前に電話したとき、雄大は言っていた。

「明日の夜は幼馴染みとゴハンしてくる」と。

もちろん本当に幼馴染みなのかもしれない。でもそれならば「幼馴染みの女の子とゴハンしてくる」と言ってほしかったと愛菜は思う。

幼馴染みという“くくり”は一緒でも、同性と異性ではまったく印象が違うからだ。

はたして雄大の行為は浮気なのか。愛菜は、ひとりで考え込んだ。




翌日の土曜日。

お昼ごろになって雄大が、愛菜の家を訪れた。

週末は必ずどちらかの家に行くことになっている。

もちろん愛菜が雄大の家に行っても良かったが、そうしなかったのは、最悪の想像をしたからだ。

― 万が一、家に行って例の美女がベッドで寝ていたら…。

考えすぎかもしれないが、そんな現場に遭遇する覚悟は、愛菜にはない。

愛菜は、今すぐ問い詰めたい気持ちを抑え、雄大を出迎える。

愛菜の気も知らず、雄大は「朝ゴハンの代わりに」とコーヒーとドーナツを買ってきていた。

「俺、お腹が空いてるから、先に食うね」

ドーナツにかぶりつく雄大を尻目に、愛菜はドーナツどころかコーヒーにも手を伸ばすことができない。

「どうしたの?愛菜、変だよ?」

そう言われてやっと決心した愛菜は、昨夜瑠璃から送られてきたLINEのスクショを見せた。

「これが何?もしかして浮気を疑ってる?」

雄大は、平然と言ってのけた。

「ないないない。幼馴染みだよ?そういう関係になんてならないよ!」

「でも、女の人とふたりきりでデートなんて…」

「デートじゃないよ。幼馴染みとメシ食ってるだけじゃん」

雄大たちが行っていた店は、渋谷の『高太郎』

たしかに男女のデートだけでなく、友人同士の飲み会でも楽しめる店ではある。


「本当に浮気なんかじゃないよ」

「じゃ、その女の人、私に紹介できる?」

「もちろん、できるよ」

雄大が即答するので、愛菜は少しばかり安堵した。

だが直後、雄大の顔が曇る。

それを愛菜は見逃さなかった。

「できるけど…」

「けど…何?」

「家が遠いから」

「は?」

「幼馴染みはまだ地元に住んでるんだよ。出張で東京に来てるっていうからメシを食ったんだよね。会うなら地元に行かないと…」

雄大の地元は北海道だ。気軽に行ける距離ではない。

だからこそ出張で東京に来た幼馴染みと会ったのだろう。

理屈は通ると愛菜は思ったが、しかし心は乱れたままだ。

― だったら最初から『女の幼馴染みが出張で東京に来ていて、会う機会が少ない相手だから、ゴハンを食べてくるよ』と言えばいい。

雄大は、ウソはついてない。

でもすべてを正直に話しているわけではない。

「やっぱり、私、どうしても引っかかる」

愛菜は、あらためて雄大に想いをぶつけた。

この記事へのコメント

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No Name
考え方の違いは大事だと思うけど、そもそも雄大の性格がどうなのか。彼女とデート中に偶然すれ違った元カノに声をかける必要があったのか?かなり変だと思う。
2023/04/06 05:2499+返信1件
No Name
雄大の方が、この別れから学んで事を活かして次に進んだ所とか前向きでよろしい。結局、愛菜の方が精神的に幼いのかも。だから歳上とばかり付き合ってた?笑
2023/04/06 05:3661返信3件
No Name
うーん。 これは、人によって考え方が違うからどちらが正解とかそういう話じゃないのかな。個人的には異性の幼なじみとなら2人で飲みに行くのもどうぞどうぞと思うし、わざわざ異性だと伝えてくれなくても構わないけど、それがどうしても許せないタイプの人もいると思うし。 ただ愛菜がステキな女性とは思えなかった。
2023/04/06 05:2847返信1件
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